建設業 採用

「給与がよい」「休暇が取れる」「希望が持てる」そして「かっこいい」!建設業の新4Kとは?

かつて建設業界は、「きつい・汚い・危険」という「3K」のイメージで語られることがありました。

しかし現在、建設業界は大きな転換期を迎えています。

働き方改革やデジタル技術の導入、処遇改善などを進め、より働きやすく、将来に希望を持てる業界を目指す動きが広がっています。

その象徴の一つが、「給与が良い」「休暇がとれる」「希望がもてる」という新「3K」に、「かっこいい」を加えた、新「4K」です。

国土交通省も、2024年4月から建設業に時間外労働の上限規制が適用されたことを一つの契機として、建設業をより魅力的な産業へ変えていく取り組みを紹介しています。

この記事では、建設業の「新4K」が意味するものや、これから建設業を目指す人にとっての変化、そして建設業者が業界を盛り上げるためにできることを解説します。

建設業が目指す新しい「4K」とは

建設業の仕事は、建物や道路、橋、インフラなどを実際に形にする「ものづくり」の仕事です。

一方で、仕事の魅力や将来性が十分に伝わらなければ、建設業を目指す人を増やし、長く働いてもらうことはできません。

そこで重要になるのが、建設業で働くことの価値を「待遇」「働き方」「キャリア」「仕事の魅力」というさまざまな角度から見直すことです。

新「4K」は、こうした建設業の魅力を4つの言葉で表したものです。

そしてこの新「4K」は、現在すでに実現している状態ではなく、建設業が目指す方向性です。

ここからはそれぞれの「K」が何を意味し、実際の建設現場ではどのような取り組みが進められているのかを見ていきましょう。

「3K」といわれていた時代

建設業界は、建物や道路、橋、上下水道など、生活を支えるものをつくる重要な産業です。

一方で、以前から「きつい・汚い・危険」という「3K」のイメージを持たれることがありました。

建設業では、長時間労働や休日の少なさ、屋外での厳しい作業環境などが課題とされてきたことから、こうしたイメージが形成された背景があります。

こうしたイメージは、若い世代の建設業への入職にも影響します。

建設業は社会に欠かせない仕事であるにもかかわらず、「大変そう」という印象だけが先行してしまうと、仕事として選ばれにくくなるからです。

そこで重要になるのが、単に「3Kではない」と説明することではなく、実際の職場環境や待遇を改善し、建設業で働く魅力そのものを高めていくことです。

その方向性を示す言葉の一つが新「4K」です。

新「4K」への具体的な取り組み

新「4K」は、建設業を「給与が良い」「休暇がとれる」「希望がもてる」「かっこいい」産業へ変えていこうという考え方です。

賃金や休日、キャリア形成、デジタル技術の活用、仕事の魅力発信など、建設業が抱えてきた課題を一つずつ改善していくことが重要です。

例えば、時間外労働の上限規制への対応では、工事の進め方や労働時間を見直す必要があります。

また、週休2日の確保、生産性向上、適正な賃金の確保なども、担い手を確保するうえで重要なテーマです。

国土交通省も、適正な工期設定や週休2日工事、生産性向上などを働き方改革の取り組みとして進めています。

「給与が良い」

新4Kの最初の「K」は「給与が良い」です。

建設業で働く人が長く安心して働くためには、技能や経験に見合った賃金を受け取れる環境が欠かせません。

特に、これまで建設業では「経験を積めば給料が上がる」というキャリアの見通しが、若い世代から見えにくいという課題がありました。

そのため、技能や経験を適切に評価し、処遇へつなげる仕組みが重要になります。

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の資格や就業履歴などを登録・蓄積し、能力評価につなげる仕組みです。

また、働き方改革によって労働時間が短くなると、日給制などの場合には単純に収入が減ってしまう可能性があります。

そのため、企業側には生産性を高めながら、従業員の賃金を確保していく取り組みも求められます。

「長時間働かなければ稼げない」という働き方から、「効率よく働き、技能や経験に応じて適正に評価される」働き方へ転換していくことが求められています。

「休暇がとれる」

2つ目の「K」は「休暇がとれる」です。

建設業では、工期を守るために休日にも現場を稼働させるケースがあり、長時間労働や休日の少なさが課題となってきました。

しかし、仕事と生活を両立できなければ、若い人が建設業を職業として選び、長く働き続けることは難しくなります。

2024年4月からは、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。

これをきっかけに、4週8閉所や週休2日の確保に向けた取り組みも進められています。

国土交通省では、直轄工事において完全週休2日(土日)を原則として発注するなど、週休2日の確保に向けた取り組みを進めています。

ただし、「休めるようにする」だけでは十分ではありません。

限られた時間で工事を完成させるため、工程管理の改善やICTの活用、書類業務の効率化なども必要です。

休暇をきちんと確保しながら、品質と安全を維持する、そのための仕組みづくりが、新4Kの実現には欠かせません。

「希望がもてる」

3つ目の「K」は「希望がもてる」です。

建設業を仕事として選ぶ人にとって、「10年後、20年後にどのような仕事をしているのか」が見えることは重要です。

入社したばかりの時期だけでなく、技能を身につけ、資格を取得し、職長や施工管理などへステップアップできる道筋があれば、将来をイメージしやすくなります。

そのためには、企業がキャリアパスを明確にすることが大切です。

「まずこの仕事を覚える」「次にこの資格を取得する」「経験を積んだら現場を任せる」といった成長の道筋を示せば、従業員も自分の将来を考えやすくなります。

建設業の担い手を確保するには、技能や経験に応じた処遇改善やキャリア形成を進め、CCUSなども活用しながら将来のキャリアを見える化することが重要です。

建設業には、現場作業だけでなく、施工管理、設計、積算、営業、ICTなど、さまざまな仕事があります。

自分の得意分野を見つけて成長できる環境をつくることが、「希望がもてる」建設業につながります。

「かっこいい」

4つ目の「K」は「かっこいい」です。

「かっこいい」と聞くと、服装や見た目をイメージするかもしれません。

しかし、新4Kでいう「かっこいい」は、それだけではありません。

建設業は、建物や道路などを実際につくり、社会の基盤を形にする仕事です。

完成した建物やインフラが長く使われることを考えれば、「自分の仕事が街や人の暮らしを支えている」と実感できる仕事でもあります。

さらに、ドローンやAI、ICT施工などの新しい技術を取り入れる取り組みも進んでいます。

「昔ながらの仕事」というイメージだけでなく、「最新技術を使って街をつくる仕事」という姿を見せることも大切です。

これから建設業を目指す人へ

建設業を目指すなら、「現場で体を動かす仕事」というイメージだけで進路を考えるのはもったいありません。

現在の建設業では、働き方だけでなく、施工方法や必要とされるスキル、人材の活躍の場も変化しています。

これから業界に入る人にとっては、こうした変化を知っておくことが、自分に合った仕事や会社を見つけるヒントになります。

ここでは、労務環境の変化、デジタル技術を活用したスマート施工、人材の多様化やキャリア形成について、これから建設業を目指す人が知っておきたいポイントを紹介します。

働き方や労務環境の変化

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、これまで以上に労働時間を適正に管理することが求められるようになりました。

また、週休2日の確保や現場環境の改善なども進められています。

こうした取り組みは、建設業を目指す人にとって大きな意味があります。

もちろん、建設現場は天候や工程などの影響を受けるため、すべての現場が同じ働き方になるわけではありません。

しかし、「建設業だから長時間労働が当たり前」という考え方から、適正な労働時間と休暇を確保する方向へ業界が変わっていることは重要です。

就職先を選ぶときには、給与だけでなく、休日、教育制度、資格取得支援、福利厚生なども確認してみましょう。

技術革新によるスマート施工

建設業を目指す人に知っておいてほしいもう一つの変化が、デジタル技術の進歩です。

建設現場では、ドローンによる測量、ICT建機、3次元データ、遠隔操作、AIなど、さまざまな技術が活用され始めています。

危険な作業を減らしたり、作業時間を短縮したり、施工や管理の効率化を図ったりする役割が期待されています。

これから建設業に入る人は、「体力だけが必要な仕事」と考える必要はありません。

現場の知識に加えて、ITやデジタル技術を扱える人材は、今後さらに活躍の場が広がるでしょう。

人材の多様化とキャリア形成

これからの建設業では、さまざまな人材が活躍できる環境づくりも重要になります。

若い世代だけでなく、女性、高齢者、外国人など、多様な人材が建設業を支える時代になっています。

また、建設業には多くの職種があります。

現場で技能を磨く道だけでなく、施工管理技士などの資格取得を目指したり、現場経験を生かして管理職や教育担当になったりする道もあります。

「建設業に入ったら一生同じ仕事」というわけではありません。

経験や資格を積み重ねながら、自分に合ったキャリアをつくっていけます。

就職を考える際には、「どんな工事をしている会社なのか」だけでなく、「入社後にどのように成長できる会社なのか」という視点から企業を見ることも大切です。

建設業を盛り上げたい建設業者へ

建設業界のイメージを変えていくには、行政や業界団体だけでなく、現場を担う一つひとつの企業の取り組みが欠かせません。

働く人に選ばれる会社をつくることは、人材不足への対応だけでなく、建設業全体の魅力を高めることにもつながります。

そのためには、待遇や労働環境を整えるだけでなく、社員が成長できる仕組みをつくり、建設業の仕事の面白さや社会的な役割を積極的に発信することも重要です。

ここでは、建設業者が「新4K」の実現に向けて取り組める、職場環境の改善、人材育成、情報発信、業界連携や地域貢献について紹介します。

職場環境の改善

建設業を盛り上げるために、企業がまず取り組みたいのが職場環境の改善です。

給与を上げることはもちろん重要ですが、それだけではありません。

休日を確保する、労働時間を適正に管理する、安全な作業環境を整える、現場の設備を改善するなど、従業員が安心して働ける環境を総合的につくる必要があります。

特に、働き方改革が進む中では「仕事が終わるまで働く」という考え方から脱却し、決められた時間の中で効率よく仕事を進めることが重要です。

ICTや業務システムを導入して書類作成や工程管理を効率化することも、その一つです。

小さな改善でも、積み重ねれば会社の魅力になります。

「この会社なら長く働ける」と思ってもらえる環境づくりが、人材の採用と定着につながります。

キャリア支援と人材の育成

採用した人材に長く働いてもらうためには、「育てる仕組み」をつくることも重要です。

建設業では、現場で先輩から仕事を教わるOJTが重要ですが、「見て覚えろ」だけでは若い世代が成長しにくい場合があります。

仕事内容を段階的に教え、資格取得を支援し、できるようになった仕事を適切に評価する仕組みを整えることが大切です。

例えば、入社1年目は基本的な安全作業、2~3年目には担当できる作業を増やし、その後は資格取得や職長などを目指す、といったキャリアパスを示す方法があります。

「頑張れば成長できる」「成長すれば評価される」という環境をつくることが、希望を持てる建設業につながります。

建設業の魅力発信や広報活動

建設業の魅力を高めても、それが外部に伝わらなければ、採用にはつながりません。

そこで重要になるのが、会社や現場の情報発信です。

例えば、完成した建物だけを紹介するのではなく、「どのような仕事をしたのか」「どんな技術を使ったのか」「若手社員がどのように成長しているのか」などを、ホームページやSNSなどで発信してみましょう。

建設業には、実際にものをつくる面白さ、完成したときの達成感、地域の暮らしを支えるやりがいがあります。

こうした魅力は、建設業で働いている人にとっては当たり前でも、業界外の人には新鮮に映ることがあります。

ドローンやAI、ICTなどを導入している企業であれば、「建設業=昔ながらの仕事」というイメージを変える材料にもなります。

「かっこいい仕事」であることを、企業自身が積極的に発信していくことが大切です。

若年者の入職・定着を促す取り組み

建設業の人手不足・技能継承の問題に対して、若い人に建設業へ入ってもらい、長く働いてもらいながら技能者として育成していく取り組みがすすめられています。

厚生労働省は2026年3月に「第11次建設雇用改善計画」を策定しており、最重点事項として「次世代を担う若者が夢を描き安心して働ける魅力ある職場づくり」を掲げています。

その一つとして「若年者等への建設業の魅力発信、入職・定着促進による担い手の確保・育成」を位置付けています。

若い人を建設業に呼び込むだけなら、SNSや求人広告などで「建設業はかっこいい」「ものづくりの仕事は楽しい」とPRする方法があります。

しかし、実際に入社した後の職場環境が以前と変わっていなければ、定着にはつながりません。

業界連携と地域貢献

建設業は、一つの企業だけでは成り立たない仕事でもあります。

元請企業、下請企業、専門工事業者、資材会社、設計者、発注者など、多くの関係者が協力して一つの工事を完成させます。

だからこそ、建設業全体を盛り上げるには、企業同士が連携することも重要です。

例えば、地域の学校で職業体験を実施したり、建設現場の見学会を開催したり、業界団体と合同で採用イベントをしたりすることが考えられます。

地域の災害時に道路や建物の復旧を担うなど、地域貢献を通じて建設業の役割を知ってもらうこともできます。

建設業は、建物をつくるだけではありません。

道路や橋、上下水道などのインフラを整備し、災害が起きたときには復旧・復興を支える役割も担っています。

「自社だけが良くなればいい」と考えるのではなく、「建設業そのものを魅力ある産業にしていく」という視点を持つことが、これからの建設業者には求められるでしょう。

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