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建設業の監督処分とは?現場で気をつけたいポイントを解説!

建設業を営むうえで、特に注意したいのが「建設業法をはじめとする関係法令を守ること」です。

建設業法に違反した場合、行政庁から「指示処分」「営業停止処分」「許可取消処分」などの監督処分を受ける可能性があります。

監督処分というと、大規模な建設会社だけの問題と思われがちですが、対象となるのは中小企業や個人事業主も例外ではありません。

今回は、建設業者が知っておきたい監督処分の種類や代表的な違反事例、日頃からできる予防策について解説します。

どんなときに監督処分をうけるのか

建設業における監督処分とは、建設業者が法令違反や不正行為などをした場合に、許可行政庁が行う行政上の処分です。

国土交通省の監督処分基準では、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進することが基本的な考え方とされています。

処分の重さは、違反行為の内容や程度、社会的影響、故意・重過失の有無などを総合的に考慮して判断されます。

単純に「違反したらすぐ営業停止」というわけではありません。

一方で、重大な違反や悪質な行為については、営業停止や許可取消しにつながる可能性があります。

虚偽申請

公共工事を受注している建設業者は、入札や経営事項審査などに関する申請内容を正確にする必要があります。

したがって競争参加資格の確認申請書や入札前の資料などに虚偽の記載をすることは、監督処分の対象となる場合があります。

特に注意したいのが、完成工事高の水増しなどによって実際より高い経営事項審査結果を取得し、その結果を公共工事の資格審査に利用したケースです。

この場合、国土交通省の監督処分基準では30日以上の営業停止処分が基準とされています。

「経審の点数を少し高く見せたい」「実績が足りないから数字を調整する」といった考えは非常に危険です。

申請書類は、元となる契約書や工事台帳、決算書などと照合できる状態にしておきましょう。

主任技術者の不設

建設工事を適正に施工するため、建設業法では工事現場に主任技術者または監理技術者を配置することが定められています。

必要な技術者を配置しなかった場合や、資格要件を満たさない人を配置した場合には、監督処分につながる可能性があります。

国土交通省の監督処分基準では、主任技術者または監理技術者を置かなかった場合、原則として15日以上の営業停止処分が基準とされています。

資格取得のために虚偽の実務経験を証明し、その資格などを取得した者を配置した場合は、30日以上が基準です。

また、専任が必要な現場で専任義務に違反した場合は、まず指示処分の対象となることがあります。

一括下請負

「一括下請負」とは、元請業者が請け負った工事について、施工上の責任を十分に果たさないまま、工事の全部または主要な部分を別の建設業者に一括して請け負わせるような行為を指します。

建設業法では、一括下請負が原則として禁止されています。

元請として工事を受注したものの、実質的な施工管理をせず、工事を丸ごと別会社へ任せるような形になっていないか注意が必要です。

国土交通省の監督処分基準では、建設業法第22条に違反した場合、原則として15日以上の営業停止処分とされています。

下請に工事を依頼する場合でも、元請として必要な施工管理をしているか、契約関係や施工体制を適切に整理しておくことが重要です。

安全管理の不備

建設現場では、安全管理上の問題が重大な事故につながることがあります。

そのため、労働安全衛生法など建設業法以外の法令違反であっても、内容によっては建設業者に対する監督処分の対象となります。

国土交通省の基準では、労働安全衛生法違反によって刑に処せられた場合、原則として指示処分の対象とされています。

また、工事関係者に死亡者または3人以上の負傷者が生じ、業務上過失致死傷罪などにより刑に処せられた場合で、特に重大な事故と認められるときは、3日以上の営業停止処分とする基準があります。

「小規模な現場だから大丈夫」と考えず、作業手順、資格者の配置、足場や機械設備などの安全確認を徹底しましょう。

談合・贈賄などの不正行為

公共工事に関係する談合や贈賄、詐欺などの不正行為は、特に重い監督処分につながる可能性があります。

国土交通省の監督処分基準では、代表権のある役員等が談合罪や贈賄罪などで刑に処せられた場合、1年間の営業停止処分を行う基準が示されています。

代表権のない役員等や政令で定める使用人の場合も120日以上、それ以外の場合も60日以上が基準となっています。

また、独占禁止法に基づく排除措置命令や課徴金納付命令が確定した場合も、30日以上の営業停止処分が基準です。

公共工事を受注する会社だけでなく、経営者や役員、従業員を含めてコンプライアンス意識を持つことが重要です。

監督処分の種類と内容

監督処分には、主に「指示処分」「営業停止処分」「許可取消処分」があります。

どの処分になるかは、違反の内容や程度、故意・重過失の有無、社会的影響などによって判断されます。

たとえば、一定の法令違反では指示処分が基本となる一方、故意または重過失による重大な不正行為では営業停止処分が原則となる場合があります。

また、特に情状が重い場合や営業停止処分に違反した場合には、許可取消処分となることがあります。

指示処分

指示処分は、法令違反などをした建設業者に対して、必要な改善措置を講じるよう行政庁が命じる処分です。

たとえば、建設業法や入札契約適正化法などの規定に違反した場合、内容によっては指示処分の対象となります。

また、主任技術者・監理技術者の専任義務違反や、労働安全衛生法違反などについても、一定の場合に指示処分となる基準があります。

指示処分を受けた場合は、「処分を受けたから終わり」と考えるのではなく、指示された内容を確実に実施することが重要です。

国土交通省の監督処分基準では、指示に従わなかった場合、より重い営業停止処分につながることがあります。

営業停止処分

営業停止処分は、一定期間、建設工事の請負契約に関する営業を停止させる処分です。

単に「現場作業をすべて止める」という意味ではなく、営業停止の対象となる行為には、請負契約の締結、入札、見積りなどが含まれます。

また、処分の原因となった工事の種類や公共工事・公共工事以外の工事との関係などによって、停止される営業の範囲が決まります。

したがって、「営業停止=すべての工事が一律にできなくなる」とは限りません。

ただし、営業停止期間中に対象となる営業行為をすれば、さらに重い処分につながる可能性があります。

処分を受けた場合は、停止の範囲を正確に確認する必要があります。

許可取消処分

許可取消処分は、建設業許可そのものを取り消す処分です。

指示処分や営業停止処分よりも重い処分といえます。

国土交通省の監督処分基準では、不正行為などについて建設業者の情状が特に重い場合や、営業停止処分に違反した場合には、建設業法第29条に基づいて許可取消しをするとされています。

建設業許可を取り消されると、許可を前提として請け負っていた工事などに大きな影響が生じる可能性があります。

特に「営業停止中でも仕事を受ければいい」と安易に考えるのは危険です。

処分を受けた場合は、何ができて何ができないのかを行政庁に確認し、指示に従うことが重要です。

監督処分の防止策とは

監督処分を防ぐためには、「違反しないように気をつける」だけでは不十分です。

現場の技術者配置、下請契約、見積書、契約書、施工体制、労務管理など、日々の業務を一つずつ適正に管理する必要があります。

特に中小建設業者や一人親方の場合、社長自身が営業・現場・経理を兼任していることも珍しくありません。

だからこそ、重要な手続きや書類を後回しにせず、チェックする仕組みを作っておくことが大切です。

現場でできること

現場では、まず「誰が、どの工事を、どの立場で管理しているのか」を明確にしましょう。

主任技術者や監理技術者が必要な工事では、資格要件や専任の必要性を事前に確認します。

また、下請業者に工事を依頼する場合は、工事の範囲や役割分担を明確にし、元請として必要な施工管理をすることが重要です。

一括下請負に該当しないかについても確認しましょう。

さらに、施工体制台帳や施工体系図が必要となる工事では、作成・更新を忘れないようにします。

国土交通省の監督処分基準では、施工体制台帳等を作成しなかった場合や虚偽の作成をした場合も、7日以上の営業停止処分の基準があります。

経営や書類面での対策

監督処分を防ぐには、書類を「作る」だけでなく、「事実と一致させる」ことが重要です。

公共工事を受注する会社であれば、経審や入札参加資格に関する資料の数字を、決算書や工事台帳などの根拠資料と照合しましょう。

工事の契約内容についても、見積書、契約書、注文書・請書、変更協議の記録などを整理して保管しておくと安心です。

また、下請取引では、労務費や材料費などの内訳を明確にした見積書を作成し、価格や工期について協議した記録を残すことも大切です。

相談窓口の活用

「この契約方法は建設業法に違反しないか」「下請からこのような要求を受けたが問題ないか」など、判断に迷う場合は、早めに専門の相談窓口を利用しましょう。

国土交通省には、建設業フォローアップ相談ダイヤルや建設業取引適正化センターなどの相談窓口があります。

建設業フォローアップ相談ダイヤルでは、建設業法令遵守ガイドラインの内容や取引に関する法令上の規定などについて相談できます。

また、請負契約のトラブルについては建設業取引適正化センターが相談に対応しています。

建設業法違反に関する通報窓口として「駆け込みホットライン」も設けられています。

国土交通省の建設業所管部局の職員が、建設工事の請負契約に関する取引実態を調査する「建設Gメン」などの取り組みも行われています。

下請取引の実態調査(令和8年度調査)について

国土交通省と中小企業庁は、建設工事の取引実態を把握するため、毎年「下請取引等実態調査」を実施しています。

令和8年度は全国の建設業者3万業者を無作為に抽出し、オンラインで調査を行いました。

調査では、元請・下請間や発注者・元請間の取引について、見積り、価格転嫁、工期設定、約束手形・電子記録債権、インボイス制度への対応などが確認されます。

この調査は、建設業法に基づいて実施されるものです。

令和7年度の調査では、指導が必要と認められた17,207業者に指導票が送付されました。

日頃から契約書や見積書、工事台帳を適切に整理しておくことが、取引適正化だけでなく、行政からの確認への対応にも役立ちます。

監督処分に関するよくある質問

監督処分については、「処分後に工事はどうなるのか」「公共工事の入札に参加できるのか」「過去の処分歴を調べられるのか」など、実務上の疑問も多くあります。

ここでは、建設業者が特に気になるポイントを整理します。

監督処分を受けたらそのあとどうすればよい?

まず重要なのは、処分通知書などを確認し、処分の内容・対象となる営業・期間・指示事項を正確に把握することです。

特に営業停止処分の場合は、停止期間中にどのような行為が禁止されているのかを確認する必要があります。

指示処分の場合は、行政庁から求められた改善措置を確実に実施しましょう。

指示に従わなかったり、処分後に再び類似する違反をすると、より重い処分につながる可能性があります。

また、原因となった問題だけを修正するのではなく、契約書や現場管理、技術者配置、社内チェック体制などを見直すことも大切です。

必要に応じて、許可行政庁や建設業に詳しい専門家へ相談し、再発防止策を具体化しましょう。

入札参加資格はどうなる?

監督処分を受けた場合、公共工事の入札参加資格についても影響する可能性があります。

ただし、監督処分と入札参加資格の扱いは同じ制度ではなく、発注者ごとの資格要件や指名停止などの制度も関係するため、「営業停止になったら全国の入札に一律で参加できなくなる」と単純にはいえません。

特に公共工事に関する虚偽申請や談合などの場合は、監督処分だけでなく、発注者側の資格審査や指名停止等にも影響する可能性があります。

公共工事を主な受注先としている事業者は、監督処分の内容だけでなく、発注者が定める入札参加資格や指名停止措置についても確認しましょう。

再犯した場合はどうなる?

監督処分を受けた後に、再び同じような違反をすると、処分が重くなる可能性があります。

国土交通省の監督処分基準では、営業停止処分を受けた建設業者が、営業停止期間の満了後3年を経過するまでに再び同種の不正行為をし、営業停止処分を受ける場合には、情状に応じて処分を加重するとされています。

また、指示処分を受けた事業者が指示内容を実行しなかった場合や、指示処分の日から3年以内に類似する不正行為を再び行った場合には、情状を重く見て営業停止処分とする基準があります。

一度処分を受けた場合こそ、原因を分析し再発防止策を徹底することが重要です。

監督処分の情報を確認するには?

自社や取引先の監督処分歴を確認したい場合は、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」を利用できます。

同サイトでは、国土交通大臣、地方整備局長、北海道開発局長、沖縄総合事務局長、地方公共団体などが建設業者に対して行った行政処分等について、最近5年分の情報を検索できます。

商号・名称、所在地、代表者名、処分内容、処分理由などから検索可能です。

自社の過去の処分歴を確認するだけでなく、公共工事の受注前や新たな協力会社との取引開始前に、相手先の行政処分歴を確認するなど、取引先の信用チェックにも活用できます

工事受注前に「信用チェック」は必要?

工事を受注する前には、取引先や協力会社について簡単な信用チェックをすると安心です。

まず、建設業許可の有無や許可業種を確認し、次に国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで行政処分歴を確認します。

さらに発注者が公表している指名停止情報なども確認しましょう。

そのうえで、実際の工事を依頼する場合には、契約内容、工事範囲、技術者の配置、施工体制などを確認します。

重要なのは、一度確認して終わりにするのではなく、工事の開始前や契約変更時にも必要な事項をチェックすることです。

【参考サイト】

建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準(令和8年1月28日最終改正)

建設業法令遵守ガイドライン・各種ガイドライン

令和8年度下請取引等実態調査

建設Gメンの取り組み概要

建設業に関する各種相談窓口

建設業法令遵守・指導監督

ネガティブ情報等検索サイト

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