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【2026年最新】建設業の熱中症対策まとめ|WBGT基準とは?助成金も解説!

建設業界では、熱中症対策がこれまでの「安全のための取り組み」から、企業の生産性や人材確保にも影響する「経営課題」へと位置づけが大きく変わりつつあります。

現場では死傷者の増加、猛暑日の連続、気温上昇による作業効率の低下など、暑さがもたらすリスクが年々深刻化しています。

こうした状況の中、2026年3月6日に鴻池組が業界で初の試みとされる「包括的熱中症対策ロードマップ」を策定しました。

これをきっかけに、暑熱対策を強化する動きが業界全体で広がり始めています。

今回は、最新の動向と現場で求められる実践的な対策を紹介していきます。

建設業の熱中症対策に関する基礎知識

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建設現場での熱中症対策を考えるうえで、まず押さえておきたいのが「国が示す最新の基準」と「建設業ならではのリスク」です。

近年では厚生労働省や国土交通省が暑熱環境に関する指針を強化しており、現場の運用にも影響するポイントが増えています。

ここからは最新ガイドラインの内容、WBGT基準と作業中止の考え方、そして建設業が熱中症リスクを抱えやすい理由を順に見ていきます。

厚労省・国交省の最新ガイドライン

厚労省・国交省の最新ガイドラインは、「熱中症対策は現場任せではなく、事業者が計画的に管理すべきもの」 という考えに基づいています。

以下の3つは、2026年の建設業において特に重要なポイントです。

  • WBGTによるリスク管理の徹底
  • 33℃以上の作業中止を含む運用の明確化
  • 休憩所・作業環境の改善の強化

次に、最新のガイドラインのポイントを詳しく見ていきましょう。

WBGT(暑さ指数)を用いたリスク管理の徹底

厚労省は、従来の「気温」ではなく、湿度・輻射熱・気流を含めた総合指標である WBGT を使った管理を強く推奨しています。

WBGT計を現場に設置し、定期的に測定する  
測定値に応じて、休憩時間や作業強度を調整する  
高温時は作業計画そのものを見直す  

特に2025年以降は、事業者の「暑熱リスク管理」がより明確に求められるようになりました。

作業中止ラインの明確化

法令で一律に「作業中止義務」が定められているわけではありませんが、厚労省の指針や多くの企業の自主基準では、WBGT33℃以上を作業中止の目安としています。

建設業界では、大手企業がこの基準を明確化し、「33℃以上は作業を止める」という運用が広がりつつあります。

休憩・水分補給のルール化

ガイドラインでは、暑熱環境下での休憩を「努力義務」ではなく、計画的に組み込むべきものとして扱っています。

  • 20〜30分ごとの短時間・高頻度休憩  
  • 水分・塩分補給の徹底  
  • 経口補水液の常備  
  • 体調不良者の早期発見

特に新人・高齢者はリスクが高いため、重点的な管理をすることが求められています。

休憩所・作業環境の改善

厚労省・国交省は、「休憩所の冷房強化」や「風通しの改善」を求めています。

  • 冷房の効いた休憩所の設置  
  • ミスト・スポットクーラーの活用  
  • 仮囲い内の換気改善  
  • 日陰スペースの確保  

これらは「努力義務」ではありますが、  熱中症災害が増えている現状では、実質的に必須の対策とされています。

作業計画の見直し(早朝・夜間作業の活用)

ガイドラインでは、暑さのピークを避けるために、作業時間帯の調整を推奨しています。

  • 早朝作業の活用  
  • 日中の重作業を避ける  
  • 夜間作業の検討  

特にWBGTが高くなりやすい午後は、作業負荷を下げることが推奨されています。

教育・周知の強化

熱中症は「知識があるかどうか」で防げるケースが多いため、ガイドラインでは教育の強化が明記されています。

  • 作業員への熱中症教育  
  • 協力会社への周知  
  • 体調申告制度の導入  
  • 緊急時の連絡体制整備

建設業は多重下請け構造のため、協力会社への教育徹底が特に重要とされています。

WBGT基準と作業中止ライン

建設現場の暑さを判断するうえで、いま最も重視されているのが WBGT(暑さ指数) です。

気温だけでなく、湿度・風・輻射熱といった要素をまとめて評価できるため、熱中症リスクをより正確に把握できます。

厚生労働省の指針では、WBGTの数値に応じて休憩の頻度や作業負荷を調整することが推奨されています。

一般的な目安としては、次のような基準が使われています。

  • WBGT28℃以上:警戒レベル(休憩を増やす、作業負荷を下げる)
  • WBGT31℃以上:厳重警戒(重作業は避ける、こまめな休憩が必須)
  • WBGT33℃以上:強い危険域

特に WBGT33℃以上 は、熱中症の発生リスクが急激に高まります。

多くの企業が 「原則として作業を中止する」 という基準を自主的に設けています。

法令で一律に作業中止が義務づけられているわけではありませんが、現場の安全を守るためには、WBGTを定期的に測定し数値に応じた判断を行うことが欠かせません。

建設業が特に危険な理由

建設業では、熱中症のリスクが他の産業より高くなりやすいと言われています。

その背景には、作業環境・作業内容・作業者の特性といった複数の要因が重なっています。

  • 屋外の場合は直射日光や地面からの照り返しがある
  • 体を大きく動かしたりする「重作業」が中心
  • ヘルメットや安全帯の装着で熱の発散ができない
  • 高齢の作業者が多い

夏場のコンクリートやアスファルトは非常に高温になり、周囲の気温以上の暑さを感じることも珍しくありません。

加えて、保護具を着用することで、体の熱が逃げにくくなるリスクがあります。

さらに、建設業では高齢の作業者が多いという業界特性があります。

高齢者は暑さに対する感覚が鈍くなりやすく、脱水にも気づきにくいため、熱中症の発生率が高くなる傾向があります。

建設業の熱中症に関する最新データ

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建設業における熱中症の深刻さは、数字を見るとよりはっきりと分かります。

近年は猛暑日の増加に加え、現場の高齢化や重作業の多さが重なり、熱中症による労働災害は増加傾向にあります。

ここでは最新の統計データをもとに、建設業で何が起きているのかを整理していきます。

死傷者・死亡者の最新統計

建設業の熱中症による労働災害は、毎年のように発生しています。

厚生労働省「職場の熱中症による死傷災害の発生状況」によると、2020〜2024年の5年間で 死傷者は961人、死亡者は54人 に達しました。

特に、気温が高くなる7〜9月に事故が集中しており、WBGTが上昇する午後の時間帯に発生件数が増える傾向があります。

こうしたデータは、熱中症が「予防すれば防げる災害」であるにもかかわらず、現場の環境や作業負荷によって危険が高まりやすいことを示しています。

2026年の猛暑日予測

2026年の夏は、これまで以上に厳しい暑さになると見込まれています。

気象庁や国内外の研究機関の見通しでは、地球温暖化の進行に加えてエルニーニョ・ラニーニャ現象の影響も重なり、全国的に高温傾向が続く可能性が高いとされています。

特に懸念されているのは、猛暑日(最高気温35℃以上)が増える見込みであることです。

建設現場では、直射日光や照り返し、風通しの悪い仮囲い内などの条件が重なるため、気温以上に厳しい暑さになるケースが多く、WBGTが急上昇する場面も増えると考えられます。

こうした気象の変化は、作業計画や休憩の取り方、装備の選び方にも影響します。

2026年は、これまで以上に「暑さを前提とした現場運営」が求められる年になると言えるでしょう。

生産性の変化

気温が高くなると、建設現場の作業効率は大きく落ち込みます。

建設作業は体を大きく動かす重作業が多く、暑さによって体力の消耗が早まるため、集中力が続きにくくなります。

作業スピードが落ちるだけでなく、熱中症を防ぐために休憩を増やす必要があるため、実際に作業できる時間も短くなります。

一部の研究では、気温が高くなると建設作業の生産性が大きく低下することが指摘されています。

これは工期や現場の進捗に直接影響するだけでなく、判断力の低下によって転倒や接触事故など、別の労働災害につながるリスクも高まります。

建設現場で使える最新の熱中症対策

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建設現場の熱中症を防ぐためには、「暑さを避ける」「体を冷やす」「無理をしない」という基本を、現場の実情に合わせて具体的な対策に反映させることが重要です。

近年は、装備(PPE)の進化や冷房機器の性能向上、WBGTを使った運用改善など、現場で実践できる対策が大きく広がっています。

個人の装備だけでなく、休憩所の環境改善や作業時間の調整など、現場全体で暑さをコントロールする仕組みづくりが重要になってきます。

個人でできる対策

現場で特に効果が高いとされる装備は次のものです。

  • 空調服の最新モデル
  • 冷却ベスト・ネッククーラー
  • 冷感インナー

まず作業員一人ひとりが「身につけるもの」で暑さを和らげることが大切です。

近年は、空調服や冷却ベストなどの装備が大きく進化しており、従来よりも快適に作業できるようになってきました。

暑さを完全に避けることはできませんが、適切な装備を選ぶことで、体温の上昇を抑え、熱中症のリスクを大きく減らすことができます。

現場でできる対策

現場で取り入れやすく、実際に効果が高いとされる具体的な対策は次のものです。

  • ミスト・スポットクーラー
  • 休憩所の冷房強化
  • 仮囲い内の換気改善

個人の装備だけではカバーしきれない暑さも多いため、現場全体で環境を整えることが欠かせません。

特に建設現場は、日差し・照り返し・風通しの悪さなど、暑さがこもりやすい条件が重なりやすいため、設備面での対策が効果を発揮します。

運用面の対策

次のものは、実際の現場で取り入れやすい対策です。

  • WBGT計測の徹底
  • 早朝・夜間作業の活用
  • 短時間・高頻度の休憩
  • 水分・塩分補給の推奨

建設現場の暑さ対策は、装備や設備だけでは十分ではありません。

「いつ作業するか」「どのように休憩を取るか」といった運用面の工夫が加わることで、熱中症のリスクは大きく下がります。

熱中症対策に使える助成金・補助金

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建設現場の暑さ対策には、国や自治体の助成金・補助金を活用することで費用負担を大きく抑えることができます。

ただし、制度ごとに目的や対象が異なるため、「熱中症対策として使えるかどうか」を正しく理解することが大切です。

ここでは、建設業で活用されることが多い主要な助成金・補助金を、目的と対象を整理しながら紹介します。

厚労省の「業務改善助成金」

「業務改善助成金」は、熱中症対策専用の制度ではありません。

本来の目的は、賃上げを行う企業に対して、生産性向上につながる設備投資を支援するものです。

目的:賃上げ+生産性向上のための設備投資支援
対象:生産性向上に資する設備(空調設備・休憩所改善が該当する場合あり)
注意:空調服やミスト設備など「熱中症対策機器そのもの」は対象外のことが多い

熱中症対策として使えるケースもありますが、制度の趣旨を理解したうえで申請する必要があります。

厚労省の「エイジフレンドリー補助金」

熱中症対策と最も相性が良いのが、この「エイジフレンドリー補助金」です。

高齢者が安全に働ける職場環境を整えることを目的としており、暑熱対策機器が幅広く対象になります。

目的:高齢者が安全に働ける職場環境の整備
対象:空調服、WBGT計、送風機、遮熱対策など
注意:年度ごとに補助率・上限額が変わる

建設業で最も使いやすい暑熱対策系の補助金と言えます。

厚労省の「働き方改革推進支援助成金」

この助成金も熱中症対策専用ではありません。

本来の目的は、労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進など、働き方改革を進めるための支援です。

目的:労働時間削減・年休取得促進
対象:作業効率化設備、休憩所環境改善など
注意:熱中症対策専用ではない

休憩所の改善など、間接的に熱中症対策につながるケースで活用されます。

経産省の「省エネルギー投資促進支援補助金」

こちらは、省エネを目的とした補助金です。

暑熱対策はあくまで「結果として効果がある」という位置づけになります。

目的:省エネ設備導入支援
対象:高効率空調、断熱改修、換気設備など
注意:熱中症対策を目的とした制度ではない

休憩所の空調改善など、暑さ対策と省エネが両立する設備で活用されることがあります。

自治体の「暑熱対策補助金」

自治体独自の補助金も増えており、建設現場で使いやすい制度が多くあります。

ただし、制度名や対象範囲は自治体ごとに大きく異なります。

対象:スポットクーラー、ミスト設備、遮熱シートなど
注意:補助率・上限額・対象機器も自治体によってバラバラ

最新情報を自治体の公式サイトで確認することが重要です。

建設業の熱中症対策に関するFAQ

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建設現場の暑熱リスクが年々高まる中、「どこまで会社が対応すべきか」「現場では何を徹底すればいいのか」など、熱中症対策に関する疑問は多くの企業で共通しています。

このFAQでは、現場から寄せられやすい質問を中心にポイントを整理しました。

空調服の費用は会社に請求できる?

空調服は法令で支給義務がある装備ではないため、請求できるかどうかは会社の規定や現場の運用によって大きく変わります。

  • 会社が支給しているか
  • 補助制度があるか
  • 現場予算で対応しているか
  • 指定モデルが決まっているか

これらを確認したうえで、個人購入するかどうかを判断するのが安心です。

休憩頻度の目安はどれくらい?

休憩頻度は「何分ごとに必ず何分休む」といった法律上の決まりはありません。

下記のような厚生労働省の指針(WBGT基準)をもとにした目安が存在します。

  • WBGT 25〜28℃:軽度の警戒
    →60〜90分に1回程度の休憩
  • WBGT 28〜31℃:警戒レベル(休憩を増やす必要あり)
    →30〜45分に1回程度の休憩
  • WBGT 31〜33℃:厳重警戒(熱中症リスクが急上昇)
    →20〜30分に1回程度の休憩

熱中症対策では、「暑くなったら休む」ではなく、「暑くなる前に休む」という考え方が重要です。

熱中症対策に関する教育は必要?

元請には協力会社を指導・教育する義務が法律で定められています。

現場全体でのルールづくり(休憩頻度、WBGT測定、作業時間調整)を行ったり、協議会やKY活動を通じての情報共有などを行います。

さらに、協力会社にも自社の労働者に対しての教育義務があります。

雇入れ時教育や特別教育と同様に、熱中症の基礎知識として下記の項目を教える必要があります。

  • 熱中症の症状
  • 予防方法(休憩・水分・装備)
  • WBGTの意味
  • 体調不良時の報告ルール

おさだ事務所では、建設業者様のお手伝いを承っております。

建設業許可や労務に関するご相談は、ぜひおさだ事務所までご連絡ください。


【参考サイト】
環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数とは?

0022828970023092.pdf

002309236.pdf

【こちらもご覧ください】

【働き方改革】建設業の労働時間問題に決着?労働基準法改正の要点を解説! | 建設業専門 おさだ事務所

 

 

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