「建設業許可が下りた後、どんな知らせや書面が来るのか。それぞれの意味と必要なケースは。」「認可され、まもなくすると建設業許可証の写しが欲しいと言われた。発行する手続きはどうやるの?管理方法も教えて!」「似ている呼び方の証明書類がいくつもあって、迷うのでうまく説明して欲しい。」といった不安がありませんか?
建設業許可が下りると、取引先から承認された書面を求められることが多くなります。今回は許可が下りた後よく見られる書面のうち、混同しやすい「建設業許可証明書」「建設業許可通知書」「建設業許可票」について解説します。
この記事を最後まで読めば各証明書類の意味と交付の流れがしっかり理解でき、関連した業務がスムーズに行くことでしょう。はじめに関連の書面で一番大切な「建設業許可証明書」について解説します。
建設業許可証明書について
建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除いて、前もって建設業法に基づく建設業の許可を受けなければなりません。そのため建設業許可証明書の交付により、承認された業務内容を証明します。許可は建設会社が法令や規則に違反していないかどうかを監督するための重要な手法です。
許可が下りた会社でも許可の条件に違反した場合は、許可を取り消されることがあります。
この書面には許可が下りた事業所の交付番号、住所と名称、代表者、許可日、交付先機関と押印、許可番号、許可された業務などが記されています。建設会社はこの書面の提示や写しの提出で、自社が建設業を合法的に行っていることを表明します。慣例として「建設業許可証」と呼ぶ所もあります。一方で建設業許可票も「建設業許可証」と呼ぶことがあるのでうっかり間違わないようにしましょう。
あわせて許可が下りた事業所に対し、現時点の有効な最新の許可内容を表します。許可が下りた後変更があったときは入手先に申込むと、書き換えた最新の証明書を取り寄せられます。
許可を下すのは国土交通大臣または都道府県知事です。なお東京都であれば東京都都市整備局の「建設業許可証明書(確認書)の申請」ページで申込み方法を案内しています。
東京都都市整備局の案内によると、相手先へ建設業許可があることを証明するときなどに利用していただくとしています。
この許可証を多く使うパターン
多く使うのは建設工事を請け負うときや、公共工事に入札するときです。
とはいえ許可の手続き後、許可の有効期間を過ぎても更新の承認処分がまだされてないパターンが少なくありません。更新の申込みが期限直前のときなどです。このタイミングで取引先から許可証を求められたときは、まだ更新前の許可内容が効力を持つので承認処分が下りるまでの間は、更新前の内容で証明書を入手→提出となります。
取引先から急に許可証を要求されたら、すぐに用意したいですよね。
もちろんあなたの会社の下請の許可内容の証明には、下請が入手した許可証が不可欠です。
この許可証の入手方法
許可の申込み先で入手します。申込み先は、2つ以上の都道府県に営業所を持つ事業者には国土交通大臣、1つの都道府県だけに営業所を持つ事業者はその都道府県知事です。東京都都市整備局は証明書1通が400円となります。この許可証の申請のページでは申込方法が「電子申請・建設業窓口・郵送」の3通りです。
電子申請についての詳しい内容はこちらをご覧ください。
しかしながら現在新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、建設業許可の申込みについては原則、郵送で受付とさせていただいているとのこと。
ただやむを得ない場合は持参できます。郵送・持参の詳細は、まず(PDF:建設業許可申請・届出受付窓口について)を読みましょう。同時に国土交通大臣許可建設業者の許可の申込み窓口も変わりました。都道府県の窓口ではなく、関東地方整備局 建政部 建設産業第一課(PDF:送付用の宛名ラベル)に直接提出することになります。
ポイント
令和2年4月1日より国土交通大臣許可(関東地方整備局)の許可証明書の申込みでは、次の2つのパターンに限り原則1部発行のみです(PDF:建設業許可証明書の取り扱いについて)。
- 現在更新許可申込み中のとき(要請は1者につき1回のみ)
- 災害による許可通知書の滅失、海外建設工事の受注に必要な場合等特段の事情がある者
多方面で許可を取り、事業内容の変更も多い会社には最新の内容がわかるこの「許可証明書」があると便利です。ただし次の「許可通知書」は許可を受けた時点の内容にとどまります。
建設業許可通知書について
この書面は申込者へ許可の入手や更新が完了したことを知らせるものです。申込み時の許可内容をA4の1枚で送ります。建設会社の住所と名称、許可番号や許可期間、許可された業務の種類などが記されています。
この書面や許可証明書は、申込者が許可を入手していることを確かめるのに必須なものです。その他通知書についての疑問には、(株)建設業経営情報分析センターのよくある質問で回答しています。
相手先に許可が下りているかを証明するだけなら、通知書の写しだけでもOKです。注意点は後で許可内容に変更があっても、新たに通知書は送られず最新ではなくなることです。社名、所在地や代表者名などの変更においては通知書が送られませんので、許可証明書の申込みにより毎回最新の証明ができます。
また通知書は一度失くすと再発行不可です。きちんと保管しましょう。
もし失くしたら、許可証明書を取り寄せて代用が可能です。そんなに焦らなくてもよいでしょう。
通知書の交付時期と送付先
通知書は新規、更新、業種の補充で発行します。国土交通大臣許可・東京都知事許可ともに、通知書を申込者が登録した主たる営業所へ郵送します。交付時期は地区によって違いますが、通常は数週間から数ヵ月程度となります。申込内容に変更が生じたときは、すみやかに「変更届」を出し最新の内容を知らせなくてはいけません。
変更後すぐに最新の許可内容を求められたときは、許可通知書+変更届の写しにより証明になります。
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建設業許可票について
この書面は、会社名・代表者・許可を受けた建設業・許可番号・許可年月日などを記載した「建設業の許可票」と記された標識(看板)のことです。建設業者が法令に基づき必要な許可を入手し、安全で信頼性の高い建設事業が行えることを承認しています。許可内容を第三者へ知らせる看板です。
発行されるのではなく事業者で取り寄せませす。この許可票は「建設業許可証」と呼ぶことがあります。先ほどの許可証明書も省略して「建設業許可証」と呼びますので、それぞれよく確かめましょう。目立つため街の建設会社や工事現場などで見たことがあると思います。
建設業関連の看板を扱う専門業者がいますので、注文するときちんとしたものがすぐ購入できるでしょう。
許可票を掲示する場所・記載内容・サイズ
建設会社は許可が下りた後、該当する店舗(営業所)と建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識(建設業の許可票)を掲げなければならないとあります(建設業法第40条)。
(引用元:国土交通省関東地方整備局)
許可票は店舗用と建設工事の現場用とで2種類あり、それぞれ記載内容とサイズの規定が微妙に違います。しかしこの細かい規定でも看板の材質は問われず、記載内容やサイズ、ちゃんとわかる文字なら紙に手書きでも法的に問題なしです。実際は、長く使われる店舗用は「金看板」ともいわれる高価な金属製のもの、一時的に使われる建設工事の現場用は安価なプラスチック製などが多いです。
なお参考までに、「建設業許可票 エクセル」で検索するとExcelで作った書式がたくさん見つかります。急用な場合はサイズを合わせ印刷しましょう。
A3のサイズは297mm×420mm。建設工事の現場の許可票は250㎜以上×350㎜以上あればいいので、A3で印刷・ラミネート加工したものも使えます。
許可票の掲示義務の緩和と罰則
許可票は建設業許可を入手後、営業所ごとに掲示します。それとこれまで建設工事する際も、元請・下請問わず工事の現場ごとに見やすい場所に掲示しなければならないものでした。しかし令和2年10月1日に建設業法の改正で、工事の現場に掲げる許可証の掲示義務は元請会社や、発注者から直接請け負った工事だけで緩和されました。
これにより下請の掲示は要らなくなりました。下請にとって許可票の作成コストがなくなり、負担が軽くなっています。
あわせて許可票に関する罰則は、建設業法第55条により10万円以下の過料となっています。おもに次の2つのパターンです。
- 店舗及び建設工事(発注者から直接請け負ったものに限る。)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げないとき。
- 許可を受けていないのに、その許可を受けた建設業者であると明らかに誤認されるおそれのある表示をしたとき。
標識を揚げるだけでなく、見やすい場所も大事です。あまりに見づらいと違反とみなされます。無許可で標識を揚げてしまう例は、本社のみが承認されたときに無許可の支店にもつい揚げてしまうことです。こうすると支店に許可があると誤解してしまうため罰則が適用になるでしょう。
許可は事業所ごとに受けるものです。同じ会社であっても絶対に無許可の事業所に標識を揚げるのはNGです。
このように、許可票は「看板」のことなので、許可証明書・許可通知書などと混同しないよう気をつけましょう。
許可証の看板についての詳しい内容はこちらをご覧ください。
まとめ
許可証明書はとても重要でよく使う書類です。証明書の発行手順などをしっかり理解し、いつでも提出できる準備をしておくと便利です。許可通知書は申込者へ許可の入手や更新が完了したことを知らせる書面です。後で変更があっても通知書は送られず最新ではなくなるので注意しましょう。
許可通知書を紛失した場合、再発行できないので大切に保管しましょう。変更があったときは許可証明書の申込みにより最新の証明ができます。
許可票は、建設業者や工事現場などの目立つ場所に揚げる「建設業の許可票」と記した標識です。記事で建設会社の許可内容を知らせます。加えて許可証明書や許可票を通り名で建設業許可証と呼ぶことがあるのを覚えておきましょう。今回の解説で各証明書類の違いや内容がはっきりしましたので、もう迷いませんね。