事業拡大や事業開始に向けて建設業許可の取得を検討されている業者さんも多いと思います。
建設業許可取得に向けていろいろと調べを進める中で、申請する業種の選択は完了しましたか?
今回は保温工事にスポットを当てて紹介していきます。
実は、建設業29業種の中に「保温工事業」という項目はありません。ここでは保温工事業者がどの業種で許可を取得すれば良いのか解説します。
間違って申請してしまった場合どうなるのかもまとめていますので、申請する業種が分からない方は必ずご一読ください。
併せて建設業許可を申請すると「お得」になるかもしれない意外な業種も紹介しています!
保温工事業で建設業許可を取得する場合の業種選択にお困りの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
保温工事業者が建設業許可を取得するなら業種は何?
保温工事業者さんが建設業許可を取得したい時って、業種は何になるんですかね?
そういえば、建設業法の29業種には「保温工事」の記載が無いですね!どの業種で申請するのかな?
確かにパッと見た感じでは分かり辛いですね。保温工事業者がどの業種に該当するのかを見ていきましょう!
まず、建設業許可が必要な業種は2つの一式工事と27の専門業種、計29業種に分かれています。
一式工事とは建築や土木工事の全体を請け負って各種専門工事業者に工事を振り分け、総合的に管理するものです。
専門業種とは、屋根工事、管工事、電気工事など1つ1つの専門的な工事のことです。
保温工事はこの29業種の中で「熱絶縁工事」に含まれます。
配管等にウレタンを吹き付けるからと言って「管工事」に含まれるわけではありません。
▼建設業許可が必要な29業種について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
【熱絶縁工事とは】許可を取得するために必要なこと
「保温工事」と言っても広義の意味では熱絶縁工事全体を指すことがあります。
熱絶縁工事という言葉は一般的に馴染みがありませんし、温度を保つ工事の意味で簡単に保温工事と呼ばれることがあるのです。
一概に保温工事業者といっても意味の取り方によっては内容が変わってしまいますので注意が必要です。
建設業許可を申請する時に、真っ先に担当者から聞かれるのは「業種は何で申請しますか?」です。あなたが担当する工事は本当に熱絶縁工事の申請で間違いありませんか?一度以下で確かめてみましょう。
熱絶縁工事に含まれる工事 | |
保温工事 |
配管やダクトにグラスウールなどの保温材を取り付ける工事です。 |
保冷工事 |
冷凍冷蔵設備の流体配管や冷媒管に、保冷剤を取り付けて冷たいものを冷たいまま保つ工事です。冷たい配管などはそのままにしておくと結露してしまうので結露を防ぐ防露工事も含みます。 |
断熱工事 |
熱絶縁工事をしたものに断熱材や板金などの外装材を取り付ける工事。 |
耐火工事 |
ビルやマンションなどの排煙ダクトに、耐火被覆材を取り付ける工事。 |
板金工事 |
熱絶縁した機械やダクト、配管などに板金処理して保温や保冷機能を保ち腐食などしないようにする工事です。 |
防音工事 |
大きな音がでる施設や設備に吸音材と遮音材を取り付けることで、防音効果を高めて遮音する工事です。 |
あなたが担当する工事は含まれていましたか?分からない場合は担当の行政書士や役所の担当者に聞いてみましょう。
申請する業種の選択がなぜ重要なのかは次で紹介しますので、必ず目を通してくださいね。
熱絶縁工事業の建設業許可を取得するために必要な要件
熱絶縁工事業の建設業許可を取得するために必要な要件は6つあります。
- 専任の技術者がいる
- 経営の業務管理責任者がいる
- 財産的基礎を有している
- 誠実性がある
- 欠格要件に該当していないこと
- 雇用保険と社会保険に加入している
これだけの要件を満たして許可を取得するのですが、間違えてしまったらどうなってしまうのでしょうか?
申請する業種を間違えたらどうなるの?
建設業許可を自分が担当する業種ではない業種で申請し、しかも許可を取得してしまった場合リカバリーが難しいことがあります。
建設業許可を取得する場合には以下3点のうち1件の要件を満たした人材(専任技術者)が必要ですが、この専任技術者の実務経験が問題となります。
まず、専任技術者に関する要件を以下で確かめておきましょう。
専任技術者に必要な要件
- 1,2級建築施工管理技士や対象の業種の技能検定等の資格を持っている
- 国が定める学歴にプラスして一定年数の実務経験がある
- 対象の業種の実務経験が10年以上ある
この2,3番目の実務経験を満たした要件で間違った建設業許可を取得した場合が大変です。実務経験を一度国に認められると「あ!間違えたから取り消して申請しなおします!」といった申請の変更ができません。
申請が受理され、許可を取得した時点で実務経験は一度リセットされます。
貯金通帳からお金を引き出し、目的のものを買ってしまってお金が無くなった状態と同じです。再度同じ人材で建設業許可を申請する場合は実務経験という「貯金」を新たに貯める必要があります。
もしくは手っ取り早く要件を満たす専任技術者を新たに用意すればいいのですが、ただでさえ人材不足が問題となっている建設業界で別の人材を雇用するのは大変なことです。
そのような重大なミスが起きないよう、建設業許可を取得する際には必ず業種に間違いがないかを確かめておきましょう。
せっかく人材や書類を用意して要件をクリアしても、申請する業種が間違っていたら台無しですね。
建設業許可の取得でお困りでしたらご相談ください
建設業許可を取得するためには、様々な報告書や書類が必要です。
一からご自分で申請しようとするとかなりのボリュームがありますので、準備のために夜遅くまで残業するということもあります。
本業にも影響が出てしまいますね。
手間を省くため、業種間違い等の誤申請を防ぐためにもプロに依頼してみませんか?おさだ事務所では東京都で建設業許可を取得される方の申請代行や更新代行を請け負っています。
建設業許可を取得したお客様の許可更新の際には、ご連絡を差し上げていますので更新漏れの心配がありません。
業種の選択をする際もしっかりヒアリングしてから決定していきます。まずはお気軽におさだ事務所へご相談ください!
「お得!?」関連事業の建設業許可取得も検討しませんか?
さて業種について、深堀したところで「熱絶縁工事」の建設業許可取得を前に、ここで1つ将来へ向けて関連業種について考えてみてください。
工事は様々な業種が組み合わされて完成されていきますね。
例えば「保温工事だけ!」という現場はなかなか存在しないのではないでしょうか。
必ずたくさんの工事が付帯しているのが建設現場です。関連する業種の建設業許可を取得したら事業拡大へのチャンスが広がります。
「いや、でもどの業種を選択すればいいの?」と疑問が浮かびますよね。
建設業許可を複数取得する場合、どの業種を選択するべきかのポイントを次で紹介します。
「保温工事」関連業種はどうやって見付ける?
関連業種といってもすぐ思いつく業種が無い場合もありますね。
以下で検討してみましょう。
関連業種の許可取得はお得?
- 担当工事以外に、軽微な工事を請け負っている業種がある
- 付帯工事として関連受注し、自社で施工する業種がある
- 「この業種、取得しておこうかな」とぼんやりとでも考えている業種があり、人材を揃えることが可能であるもの
恐らく、上記を満たし保温工事業者の請負工事に一番関連しているのは冒頭でも間違えやすいと触れていた「管工事業」です。
例えば熱絶縁工事業と管工事業で建設業許可を取得していれば、空調機の設置と、関連配管やダクトの保温工事から板金工事、防音工事等を請負うことが可能です。
2つの建設業許可を組み合わせれば一気に請負の幅は広がるのです。
もちろん許可取得のためには人材確保等ある程度のハードルがありますので、簡単ではありません。
しかし、要件を満たすことが可能であればぜひ検討してみてください。
許可申請の手数料も別々で取得するよりは割安になります。頭の隅に置いておいてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?「保温工事」は「熱絶縁工事」に含まれていることが分かりましたね。
紹介した通り熱絶縁工事には、保温工事の後の工程である板金工事等も含まれていましたので建設業許可を取得する上で業種の判断が難しい場合があります。ご自分では「熱絶縁工事の許可取得で大丈夫!」と思っていても、実はほかの業種に該当している場合もあります。
必ず担当する工事内容を洗い直し、申請前に行政の担当者や行政書士に内容を確かめてみましょう。
併せて、関連業種の建設業許可取得について検討してみてもいいですね。
おさだ事務所では東京都での建設業許可取得に特化しています。東京都独自の「クセ」もよく理解しており、対策が可能です。
東京都で建設業許可取得をお考えの方は一度ご連絡ください!