建設業許可を得た後、これから大きな仕事を沢山請負って事業拡大したい!と考えている方も多いはずです。
しかし、建設業許可を受けた業者の請負現場には現場をマネジメントする人物に関していろいろな決まりがあるのはご存知ですか?
- 特定建設業許可を取得したけれど『監理技術者』を雇用していないのは大丈夫?
- 『主任技術者』と『監理技術者』との違いはなんとなく知っているけれど会社に必要なのはどちらなのかがよく分からない!
そこで、この記事では現場を監督する人物である『監理技術者』に関しての疑問に焦点を当てて紹介していきます。最後には、近年規制緩和された『建設業法』についても触れていますのでぜひご一読ください。
【建設業許可】監理技術者の配置が必要な現場とは?
主任技術者と監理技術者って、とりあえずどちらかが現場に配置されていればいいんですかね?
国の決まりなので、適当はダメですよ!建設業法でどちらを配置するかは決まっています。以下にまとめたのであなたの請け負う現場に当てはまるか確認してください。
監理技術者が必要な現場の規定
- 発注者から工事を請け負う「元請業者」の工事現場
- 請負代金が4,000万円以上の工事現場(建築一式工事の場合6,000万円以上)
例えば、建設業許可を取得した会社が下請けであった場合『監理技術者』を雇う必要はありません。また、元請けであっても規定金額以上の大きな現場を請け負う予定が無い場合は『主任技術者』のみの在席で構いません。
監理技術者が必要なのはあなたの会社が「元請会社」で、請け負う現場が「大きな金額の現場」のみとなります。
もし『監理技術者』が必要な現場に人材を配置しなかったらどうなる?
最悪の場合『懲役刑』もある重大な違反になります。
個人が違反した場合100万円以下の罰金が科せられますが、会社(法人)であった場合はもっと罰則が厳しくなります。違反をした本人と雇用した会社の両方が罰金刑の対象になり、会社側には1億円以下の罰金刑や懲役が科されることもあります。
この違反は、建設業許可にも影響します。最悪の場合は建設業許可が取り消され、その時点から5年間は建設業許可を受けることができません。ご自分の請負現場で違反が無いよう、必ず要件をチェックしましょう!
罰金や建設業許可の取り消しなんて怖いですね
最悪のパターンを紹介しましたが、違反したら急に罰則があるわけではありません。まず行政から指導が入りますので、指導されたら速やかに対処、改善しましょう。
監理技術者と主任技術者って、何が違うの?
建設業許可を受けた業者の請負現場には現場を監督する主任技術者か監理技術者が必要なことが分かりましたね!
次はこの2つの技術者の違いをまとめます。まず主任技術者になるためには以下3つの条件が必要です。
主任技術者になれる人
- 一定の学歴(高卒、高専卒、大卒などの条件によって変わります)を取得している人
- または10年以上の実務経験がある人であること
- 上記のどちらかに加えて、国土交通大臣の認定を受けた人
それに対して監理技術者になるためには下記条件が必要です。
監理技術者になれる人
- 担当する工事の監理技術者に必要な国家試験に合格した人
- 4,500万円以上の元請工事で2年以上監督経験がある人
- 上記のどちらかに加えて、国土交通大臣が認定した人
両者を見比べると、大きな違いがありますね!
もちろん主任技術者にもスキルは必要ですが、監理技術者には担当する工事に対する国家資格が必要です。大規模な工事になればなるほど、工程管理や現場管理に関する仕事は複雑化しますよね。
工事全体が安全に遂行されるために必要とされる人材ですので、相応の資格が必要となります。
監理技術者は主任技術者よりも難易度の高い現場を担当します。主任技術者がスキルアップした役職とイメージしていただくと分かりやすいです!
『監理技術者』になるための方法は?
監理技術者になるための要件はざっとお話ししました。では、どのような順序を踏めば、監理技術者になるのでしょうか?
国家資格が必ず必要な業種はまず資格取得から!
これは、先述した監理技術者の要件の1つ、担当する工事の監理技術者に必要な国家試験に合格した人にあたります。
具体的には建設業29業種のうち土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業の7つの業種が指定されています。この業種に該当する場合は一級○○士などの国家資格が必要です。
試験は全国各地点で行われています。ただし、申込期限が1月~2月・試験が6月~10月など申し込みから試験までのスパンが長い傾向がありますので注意が必要です。
国家資格不要!実務経験のみでOKの業種
国家資格が必要な7業種以外の22業種は、既定の実務経験があれば監理技術者を目指すことができます。
これが監理技術者の要件の2番目、4,500万円以上の元請工事で2年以上監督経験がある人にあたります。
実務経験の年数は学歴や取得している資格によって異なりますが、最長で10年程度の実務経験が必要な場合もありますので、要件をしっかりとチェックしましょう。
必要な要件を満たしたら講習を受けましょう
要件を満たしていることが確認できたら、監理技術者講習を受けます。全国各地で月に数回開催されており、最近ではオンライン受講にも対応しています。
およそ丸一日の課程を修了したら講習受講証明書が発行されます。最後は資格者証を申請して、交付されれば『監理技術者』として仕事をすることができるようになります。
2020年建設業法が改正!『監理技術者』に関する規制が緩和されました!
配置される現場に関して様々な規制がある監理技術者ですが、2020年に建設業法の規制が一部緩和され少し様相が変わりました。この改正によって以前より効率的に人材を配置することできるようになりました。
どんなところが改正されたのでしょうか?ポイントを見てみましょう。
『監理技術者』が2つまでの現場を兼務可能に!
今回の改正で、監理技術者が複数の現場を監督することができるようになりました。
『監理技術者補佐』を配置した場合、ある一定条件で監理技術者が現場を2つまで兼務することができます。この場合、監理技術者は『特例監理技術者』と名前が変わります。もちろん今まで通り現場会議や現場の巡回や工程管理などは担当しなくてはなりません。
ただ新たに配置可能になった監理技術補佐と協力して現場を回して行けばよいので、1つ1つの負担はある程度軽くなるのです。
監理技術者は少し勉強したらすぐに取得できる資格ではありませんので人材不足が叫ばれてるこのご時世にはなかなか厳しい規則ですね。
今回の改正では、この貴重な人材を有効活用しよう!というのが最大の狙いです。
監理技術補佐って何?
監理技術補佐は新たに生まれたポジションです。
もちろん監理技術補佐も誰でも簡単に取得できるものではありません。これには「一級技士補」という資格が必要です。一級技士捕は一級技術検定の第一検定(学科試験)以上に合格した人の事であり、第二検定(実地試験)に不合格でも資格を得ることができます。
こちらはひとまず学科試験に合格すればよいので、さほどハードルは高くありません。人材を確保する側にとっても少し嬉しい法改正ですね!
まとめ
いかがでしたか?
『監理技術者』は主任技術者より専門性が高く、国家資格を必要とする役職です。監理技術者の配置は元請け業者が大きな現場を請け負う際の必須項目ですので、人材育成、雇用が必要な場合は早めに検討しましょう。
建設業法の規制緩和では現場の兼務が可能になりました。工事の難易度や現場間の距離などいくつか条件がありますので注意が必要です。今後の請負現場で、現場兼務をお考えの方はぜひ今後の参考にしてください!
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