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建設業の“辞めない会社”はここが違う!年収・キャリア・やる気を伸ばす5つの方法

帝国データバンク(TDB)が4月8日に発表した「全国企業倒産集計(2026年3月報)」によると、2025年度の建設業倒産は年間2,041件に達し、過去10年で最多を記録しています。

倒産の主な原因は、販売不振や売掛金の回収難などによる「不況型倒産」が約8割を占めており、景気低迷の影響が色濃く表れています。

加えて、人手不足や協力業者の確保難も倒産増加の背景にあります。

現場の稼働率が下がり工期遅延や受注機会の減少が続くことで、経営体力の弱い企業ほど厳しい状況に追い込まれています。

この状況を打開するには「成長できる」「評価される」「長く働ける」と従業員が感じられる環境づくりが不可欠です。

建設業者が従業員の成長を支援すべき理由

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辞めたい
人材不足
年収

建設業界では人材が定着する仕組みづくりが急務です。

人手不足が深刻化する中で従業員が満足して仕事ができる環境を整えることが、企業の競争力を高めるためにも重要です。

次に、具体的にその理由を見ていきましょう。

建設業界は人材が不足し離職率が高いため

建設業界では、少子高齢化で若手確保が困難になり、離職が加速しています。

その結果、企業は慢性的な人手不足に悩まされ、既存社員への負担が増加し、さらに離職が進むという悪循環に陥りがちです。

人材を採用するだけでなく、採用後の育成・定着までを一体で考えることが重要です。

従業員が成長すれば企業の利益にもつながるため

従業員が仕事を通じて成長を実感できる環境があると、主体性と責任感が育ちます。

技術力や現場対応力が向上すれば、施工品質が安定し、手戻りやトラブルの減少につながります。

また、「頑張りがきちんと評価される」「自分の成長が会社に貢献している」と感じられる職場では、従業員の定着率も大きく向上します。

人が育つ会社は自然と利益も集まるため

人がしっかり育つ会社には、自然と人も仕事も集まります。

社員が安心して挑戦でき、成果が正当に認められる環境があると、現場の雰囲気が明るくなり、チーム全体の生産性も上がります。

こうした好循環が企業の利益につながります。

ただし、制度だけ整えても運用が伴わなければ定着にはつながりません。

方法①年収アップにつながる資格取得支援をする

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建設業では、資格の有無が年収やキャリアに大きく関わります。

施工管理技士や建築士などの資格を持つ人材は、現場で責任ある立場を任されやすく、手当や昇格にも直結します。

そのため、企業が資格取得を支援する体制を整えることは、従業員のモチベーションを高めるだけでなく、会社全体の技術力や受注力を底上げすることにもなります。

受験費用の補助や合格時の報奨金を支給する

  • 受験費用を補助する  
  • 合格時の報奨金・資格手当の支給  

企業が受験費用を全額、または一部補助することで、従業員が安心して挑戦できる環境をつくることができます。

さらに、合格した際には報奨金や資格手当を支給し、努力が給与に反映される仕組みを整えましょう。

成果が可視化されることで、挑戦意欲が継続します。 

社内勉強会や模擬試験を実施する

  • 業務時間内での学習時間の確保
  • 社内勉強会・模擬試験の実施  
  • 外部講座・通信教育の受講費用補助

企業が業務時間内に数時間でも学習時間を設けることで、学びを業務に組み込みやすくなります。

また、社内で勉強会や模擬試験を実施すれば、仲間と一緒に学べる環境が生まれます。

さらに、外部講座や通信教育の受講費用を補助したり、教育訓練給付制度を活用したりすることで、自己負担を減らしながら学びを支援できます。

資格取得を昇格条件にする

  • 資格取得者の社内表彰・称賛制度  
  • 資格取得を昇格条件に明示する  
  • 対象資格を社内でリスト化  

「何の資格を取れば評価されるのか」がはっきりすれば、努力の方向性が定まり、挑戦する人が増えていきます。

さらに、資格取得者を社内で表彰したり朝礼や社内報で称賛したりすることで、挑戦を後押しする承認文化が育ちます。

資格取得を昇格・手当に結びつける制度設計で社員のやる気が高まり、企業全体の技術力も底上げされます。

方法②キャリアパスの見える化で将来像を描かせる

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従業員がこの会社でどう成長できるのかを具体的に描けることが、意欲を支える鍵になります。

建設業は現場経験を積み重ねて成長していく業界ですが、将来のキャリアが見えないと「この先どうなるのか」と不安を感じ、離職につながることもあります。

次に、その具体的な取り組みを紹介します。

昇格条件や年収レンジを明示する

  • 役職ごとの年収レンジを明示する  
  • 昇格条件を明文化する(資格・経験年数・評価項目など)  

従業員が「どこを目指せばいいのか」を明確に理解できる会社は、成長意欲が高まりやすいものです。

役職ごとの年収レンジを示すことで、努力がどのように報われるかが具体的に見えるようになります。

「何を達成すれば次のステージに進めるのか」が分かることで、従業員は自分の成長を計画的に進められます。

定期的なキャリア面談を実施する

  • 定期的なキャリア面談を実施する
  • キャリアパスと評価制度・研修制度を連動させる  

年に1回以上のキャリア面談を設けることで、本人の希望・課題・将来像を共有し会社として何が支援できるかを話し合う機会ができます。

さらに、キャリア面談の内容を評価制度や研修制度と連動させる体系づくりも重要です。

面談で話した内容が実際の評価や研修に反映されると、従業員は「この会社で本当に成長できる」と実感できるようになります。

社内での長期的なキャリアモデルを掲げる

  • 1〜10年後のキャリアモデルを社内資料や図で提示する  
  • 資格取得と昇格・手当を連動させる仕組みをつくる  
  • 社内でのロールモデル(先輩事例)を紹介する  

1〜10年後のキャリアモデルを社内資料や図で示し、この会社でどう成長できるかを視覚的に伝える工夫をしましょう。

資格取得と昇格・手当を連動させる仕組みをつくることで、努力の方向性が明確になります。

また、実際にキャリアアップを果たした先輩社員の事例を紹介すれば、若手にとって「自分もこうなれる」という希望が生まれます。

方法③公平な評価制度で努力が報われる仕組みをつくる

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努力が報われない環境では、意欲の維持は難しくなります。

建設業の現場では、日々の工夫や努力が成果に直結するにもかかわらず、評価が曖昧なままになっているケースも少なくありません。

だからこそ、「努力が見える」「成果が正しく伝わる」評価制度を整えることが重要です。

ここでは、努力が報われる仕組みをつくるための具体的な方法を紹介します。

工程や品質、改善提案など評価項目を明確化する

  • 評価項目を明文化する
  • 評価基準を数値化・定量化する

公平な評価制度をつくるためには、まず「何を評価するのか」を明確にすることが重要です。

工程の管理、安全対策、品質の維持、顧客満足度、改善提案など、評価項目を具体的に示すことで、従業員は自分の努力がどこに反映されるのかを理解できます。

また、評価基準を数値化・定量化することも重要です。

工期遵守率や安全指摘件数などを指標として設定すれば、主観に左右されない公平な評価が可能になります。

資格取得やDX活用も評価に反映させる

  • 資格取得・DX活用・改善提案なども評価対象に含める  
  • 評価結果を本人にフィードバックする機会を設ける

従業員の努力を正しく評価するためには、日々の業務だけでなく「自己成長」も評価対象に含めることが大切です。

資格取得やDX(デジタルトランスフォーメーション)ツールの活用、改善提案などを評価項目に加えることで、挑戦や学びが正当に評価される体制になります。

さらに、評価結果を本人にフィードバックする機会を年1〜2回設けることで、自分の強みや課題を把握でき、次の成長につなげることができます。

評価と昇給・昇格・賞与を連動させる

  • 評価と昇給・昇格・賞与を連動させる  
  • 評価者(上司)向けの研修を実施し、評価のばらつきを防ぐ  
  • 現場の声やチームワークも評価に含める

公平な評価制度を機能させるためには、評価結果を「給与や昇格、賞与」にしっかり反映させることが欠かせません。

また、評価を行う上司の判断にばらつきが出ないよう、評価者向けの研修を実施することも重要です。

評価の基準や視点を統一することで、公平性と信頼性を保てます。

さらに、現場の声やチームワークなども評価項目に取り入れると、技術力だけでなく人間性や協調性も評価される文化が育ちます。

方法④働き方改革でモチベーションの土台を整える

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働き方改革の目的は、単に労働時間を減らす取り組みではなく、従業員が安心して力を発揮できる職場を作ることにあります。

心身の余裕が生まれることで、仕事への集中力や前向きな姿勢が高まり、結果的に生産性や品質の向上にもつながります。

また、現場の負担を減らし、効率的に働ける仕組みを整えることで、長く働きたいと思える職場づくりが実現します。

週休2日制や残業削減で心身の余裕を確保する

  • 週休2日制の導入・推進  
  • 残業時間の削減
  • 有給休暇の取得促進と制度整備  

建設業では、長時間労働や休日の少なさが慢性的な課題になりがちです。

しかし、週休2日制の導入や残業削減に取り組むことで、従業員の心身に余裕が生まれ、長期的に働く意欲を維持しやすくなります。

また、業務量や工程を見直して残業時間を減らすことで、疲弊を防ぎ、プライベートとの両立が可能になります。

さらに、有給休暇の取得を促進し、制度面を整えることで、休みやすい雰囲気が社内に広がります。

ICT施工や現場管理アプリで業務を効率化する

  • ICT施工や現場管理アプリの導入で業務効率化  
  • 工期の適正化(無理な短工期の排除)  

ICT施工や現場管理アプリを活用することで、書類作業や移動時間を大幅に削減でき、現場での情報共有もスムーズになります。

さらに、工期の適正化(無理な短工期の排除)も重要なポイントです。

余裕のあるスケジュールを組むことで、安全管理や品質確保がしやすくなり、現場全体のモチベーションが安定します。

現場ごとの業務負荷を調整し偏りをなくす

  • 現場ごとの業務負荷を見える化し、偏りを是正する  
  • 複数現場の同時担当を減らす配置計画  

現場によって業務量や進捗状況が異なると、担当者の負担に偏りが生じやすくなります。

そのため、まずは現場ごとの業務負荷を「見える化」し、作業量や担当範囲を客観的に把握することが重要です。

データや進捗を共有しながら偏りを是正することで、不公平感がなくなりチーム全体のモチベーションを底上げできます。

また、複数現場を同時に担当する体制を見直し、配置計画を最適化することも効果的です。

方法⑤若手育成と承認文化で定着率を高める

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建設業では現場経験を積みながら成長していくため、育成の仕組みと承認の文化が整っているかどうかが、働き続けたいと思えるかどうかを左右します。

さらに、挑戦を認める風土が若手の成長意欲を持続させます。

OJT+メンター制度で成長実感を持たせる

  • OJTだけに頼らず、体系的な育成プログラムを整備する  
  • メンター制度を導入し、相談しやすい環境をつくる  

若手が安心して成長できる環境を整えるには、現場で実際の作業を通じて行う人材育成(OJT:オン・ザ・ジョブ・トレーニング)だけに頼らず、体系的な育成プログラムを整備することが重要です。

さらに、メンター制度を導入して相談しやすい環境をつくることも効果的です。

メンター制度とは、経験豊富な先輩社員(メンター)が新入社員や若手社員(メンティ)に対して、キャリア形成やメンタル面の支援を行う人材育成のことです。

現場での不安や疑問を早期に解消できる仕組みがあれば、孤立を防ぎ、安心して働き続けられる環境を支えます。

失敗を責めず小さな成果も認める風土作りをする

  • 小さな成果も認める承認文化を育てる
  • 失敗を責めず、改善提案を歓迎する風土をつくる  

若手が安心して挑戦できる職場をつくるには、失敗を責めない風土と小さな成果を認める文化が欠かせません。

朝礼や社内ミーティングで日々の努力を称賛するだけでも、挑戦への前向きな姿勢が生まれます。

また、失敗を責めるのではなく「次にどう改善するか」を一緒に考える姿勢が、安心して意見を出せる雰囲気をつくります。

若手の意見を取り入れ育成結果を評価に反映させる

  • 若手の意見を吸い上げる仕組みを整える  
  • 育成成果を評価制度に反映させる  

若手が「自分の意見が会社に届いている」と感じられる環境は、信頼感と定着率を高める大きな要素です。  

アンケートや1on1面談などを通じて、現場で感じている課題や改善提案を吸い上げる仕組みを整えましょう。  

自分の声が反映される実感があると、会社への信頼と自発的な行動が促されます。

また、育成の成果を評価制度に反映させることで、教える側のモチベーションも高まります。  

建設業特有の課題から見る“辞めない会社”の実践例

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建設業では、元請・下請構造や現場ごとの働き方の違いなど、業界特有の課題が人材定着に大きく影響します。

そのため、一般的な施策だけでなく、現場実態に即した取り組みが重要です。

元請・下請構造による負担偏りへの対応

元請からの急な工程変更や短納期の要求により、下請側に負担が集中し、長時間労働や休日出勤が常態化することがあります。

ある企業では、受注段階で無理な工期を見直し、工程に余裕を持たせる交渉を徹底しました。

さらに現場ごとの稼働状況を可視化し、業務の偏りを調整したことで、残業時間の削減と離職率の改善につながりました。

小規模企業でもできる定着施策

大規模な制度がなくても、朝礼での称賛や月1回の簡単な面談、資格取得者の共有といった取り組みで、従業員の満足度は高まります。

「見てもらえている」「評価されている」と感じられる環境づくりが、定着率向上の鍵になります。

制度運用で失敗しないためのポイント

制度を整えても、運用が伴わなければ逆効果になります。

評価基準が曖昧なままでは不満が生まれ、形だけの制度は信頼を損ないます。

重要なのは、現場で機能する形で継続することです。小さく始めて改善を重ねることが、“辞めない会社”づくりにつながります。

人材定着や評価制度の整備を自社だけで進めるのが難しい場合は、専門家の支援を活用するのも有効です。

おさだ事務所では、建設業に特化した労務管理や制度設計のサポートを行っています。

現場に合った実践的な改善を進めたい方は、是非ご相談ください。

【参考サイト】

2026年3月の景気動向調査|株式会社 帝国データバンク[TDB]

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