建設業許可を取ったあとに更新忘れや要件を維持できなくなることで、許可の失効または取消になったという事業者の方は意外に多いと聞きます。その場合、真っ先に「すぐ再取得できる?」といった疑問が浮かびますよね。
この記事では許可を再取得したいと思う事業者の方へ向けて、すぐ再取得可能な場合とそうでない場合についてケースごとに解説します。
まずはご自身がどのケースに当てはまるかをしっかり確認し、再取得に向けて適切な準備ができるようにぜひ最後までご覧ください!
ご自身の現在の状況をしっかり把握しましょう!
建設業許可の再取得
許可を失った後、再取得を考える際に重要になるのがどのような理由で取り消しになったかです。取り消しの理由として考えられるものは大きく分けて次の3つです。
- 更新忘れによる失効
- 手続き上の許可取消
- 不利益処分による許可取消
どれに当てはまるかですぐに再取得できるかどうかが分かれてきます。
①更新忘れによる失効
建設業許可は現在5年ごとの更新が必要とされています。更新しなかった場合、許可は失効してしまうため更新時期が迫っている場合は注意が必要です。「忙しくて忘れていた」と更新をせずに失効してしまうと、再取得は可能ですが改めて申請が必要となるため、新規の取得と同様に書類などの準備で大変な手間が発生してしまいます。
更新を今後控えている方は忘れずにしっかり準備しましょう。もし忙しくて手が回らない場合は、行政書士に代理で手続きをしてもらうことも可能です。更新に関する手続きや準備についてはこちらの記事で詳しく説明しておりますのであわせてご覧ください。
②手続き上の許可取消
要件の維持ができない場合に行われる事務的な取消を手続き上の許可取消と呼びます。申請時に届け出た内容に変更があった際、届出書や廃業届を提出することでいったん許可業者名簿から削除するといったものです。
この場合は、名簿から削除されるという事務的な処理のため特に罰則があるわけではなく、すぐ再取得可能です。
この手続きが必要になるケースの例として以下のものが挙げられます。
- 許可の条件に違反した場合
- 経管や専技の要件を欠いた場合
- 欠格要件に該当した場合
- 許可取得後、営業開始せずに1年経過、または営業休止が1年以上続いた場合
- 廃業届を提出した場合
例の2については人事の変更がある場合は変更届、後任がいない場合は変更届に加え廃業届の提出が必要になります。届出提出の順序もあるので手続きが必要な際には注意が必要です。
変更届や廃業届については、こちらの記事で分かりやすく解説しておりますのでぜひ参考にしてみてください。
③不利益処分による許可取消
許可を取った事業者、またはその会社の役員に建設業法違反があった場合、許可を出した国土交通省または都道府県などの行政庁によって許可を取り消されることがあり、このような場合「不利益処分による許可取消」にあたります。
不利益処分で許可が取り消されてしまうと、5年間は取り直すこともできないため法令遵守の徹底が何よりも大切です。
東京都の許可を再取得するなら
東京都で許可を失効もしくは取消により失ってしまい再取得しようとする場合、実績の証明ができる書類などがそろっていない限り、新規で申請し改めて東京都の厳しい審査を乗り越えなくてはいけません。
「一度経験しているから大丈夫」と思っていても書類の準備から各種手続きを事業主の方が負担し、厳しい審査基準を満たすのは容易ではありません。
確実に許可を再取得したいなら専門家に相談するのも一つの手です。
おさだ事務所では建設業を専門に扱っているので東京都の許可取得に特化しており、行政書士が常駐しているのでどんなことでもご相談いただけます。万が一取得できなかった場合は返金制度もあるので、安心してお問い合わせください。
徹底的にサポートします!
すぐに許可を再取得できないケース
重大な建設業法違反があった場合、不利益処分による取消を受けてしまいその後5年間は許可を再取得できませんが、その要因として挙げられるものは主に以下の3つです。
- 虚偽の情報など不正な手段で許可を取得または更新した場合
- 要件を維持できなくなった後、届出を提出しなかった場合
- 違反行為によって出された行政処分に従わず、営業停止処分にも従わなかった場合
例の3つ目に関しては、建設業法に違反してしまうと通常、国土交通省や都道府県などの監督官庁から行政処分を受けることになります。
重大な違反行為に対して出された処分に従わない場合、営業停止処分が出され、その処分にすら従わずに無視してしまうと許可は取り消されてしまうため、万が一処分を受けた際は必ずその指示に従うようにしましょう。
また申請者本人に限らず法人の場合、役員や使用人、そして株主が違反をした場合も対象となるため組織全体として注意が必要です。
欠格要件に関する注意点
許可を取った後に欠格要件に該当してしまうといったケースは珍しくありません。例えば、役員の一人が暴行や傷害罪、スピード違反などで警察のお世話になり欠格要件に該当しまうといったことは起こりえる事態です。
しかし、欠格要件に該当してしまった場合でも必ずしも許可の取消が行われるとは限りません。対象が「個人」か「全体」かで判断が異なります。
個人が対象の場合
役員などが罰金刑で欠格要件に該当してしまった場合、その人物を役員から外すことで不利益処分による取消を回避できます。
「このくらい大したことないだろう」「ばれなければ問題ない」と思って問題を放置したり隠ぺいしたりすると危険なので、絶対にしないでください。もし役員が罰金などを受けたことを隠ぺいすると、不利益処分の対象となるので必ず人員を入れ替え、変更内容を届け出るようにしましょう。
全体が対象の場合
申請に用いた提出書類が欠格要件に該当してしまう場合、全体が対象となります。
ここで重要になるのは、書類の記載内容に抜けがあることに気づけなかったなど意図せずに発生した不備でも不正と判断されてしまう点です。故意による不正はもちろんですが、経緯ではなく結果で判断されてしまうため意図しない書類の不備でも不利益処分の対象となってしまいます。
そのつもりがなくても虚偽の申請と判断されないよう、書類の内容に間違いや抜けがないか細かくチェックするようにしましょう。
不利益処分への対策
不利益処分の判断が下された場合、公益上の観点から緊急性が認められない限りは、意見陳述の場として「聴聞」と「弁明」の機会が与えられます。この二つの機会の差は、処分の重さによって分けられるという点です。
建設業法違反によって許可取消を受けるような重い処分には聴聞の機会が与えられ、営業停止処分などの比較的軽い処分には弁明の機会が与えられます。弁明に関しては書面での審査が原則です。処分が不当なものだった際は、これらの機会を用いて正当性を主張できます。
法律の知識に不安があったり「事業が忙しくて対応する余裕がない」という場合は、弁護士や行政書士などの代理人を立てることが可能なので専門家に相談するのも有効です。
聴聞の流れ
不利益処分を受けると、事業者へ書面での通知が届きます。通知の内容は次の通りです。
通知内容
- 処分の内容
- 処分の根拠となった法令
- 意見陳述の方法と期日
- 意見陳述に関する事務を所管する組織の名称と所在地
通知が届いたら、期日までに正当性を証明する書類を準備し、聴聞の際に述べる意見をまとめる必要があります。そのためにも、通知に記載されている意見陳述の事務を所管する組織に証拠書類の閲覧方法を聞き、処分の原因などの事実確認が重要です。
実際に聴聞の場に行く際、正当性を主張できるようしっかりと準備しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
許可の再取得について、ケースごとに解説しました。今回の要点は以下の通りです。
ポイント
- 更新忘れによる許可の失効や手続き上の取消はすぐに再取得が可能だが、不利益処分によって取り消されてしまうと5年間は再取得できないペナルティがある
- 建設業法違反や欠格要件に該当して不利益処分になってしまうケースがあるため、組織の運営、管理に気を配り法令遵守の徹底が重要
- 不当に処分を受けてしまう場合、意見陳述の場で正当性を主張できる
このように不利益処分で許可を取り消されない限りはすぐ再取得できます。しかし、再取得にも手間と労力がかかり、場合によっては新規で取得する際と同様の準備が必要になってしまいます。
無駄な手間が発生することで事業に支障をきたさないよう、許可が失効または取消されないように維持管理していくことが何よりも大切です。更新が近づいていたり、許可申請時点から届出内容に変更があった場合など、問題を放置せず早めに対応する意識を持っておきましょう。
この記事を許可の維持や再取得に役立てていただければ幸いです。