「自社の移転が急に決まった。引っ越しも大変だけど建設業許可の住所変更ってどうやるんだっけ?」「住所変更にはどこでどういう手順、申込み締切は大丈夫かな?」「新しい本社が他県で完成した。住所変更しなくては。どうしたらいい?」
など迷ったり対応に追われたりしていませんか?オフィスの移転や退去では慌ただしいですよね。個人と違い法人の住所変更は、時間や費用もかかるのでスムーズに終わらせるべきです。いったん建設業の許可を得たあと修正部分があれば、変更届も要します。
この記事では
- あらかじめ建設業の許可を得ているとき、住所変更になった際の申込み方法・プロセス
- 変更届申込みの際の文書および記入方法
がよくわかります。ぜひ申込み方法や記載例を見てご自身で変更届を作成し、この先にお役立てください。それでは始めましょう。
建設業許可の住所変更とは
住所変更は必ず30日以内に申込みを
建設業許可に関わる項目の修正があるとき、企業は許可を得た行政庁に申し出るのが義務づけられています(建設業法第11条、第17条、建設業法施行規則第7条の2、第8条)。
住所の変更については、次のケースで異なる申込み方法があります。
主たる営業所(本店)の住所変更
建設業許可を得た企業が主たる営業所(本店)の住所修正のときは、法人であれば新しい住所の登記簿謄本を付け足し、変更届出書を作成し30日以内に行政機関の申し出を要します。営業所が本店と異なるときや、主たる営業所が登記上の本店と異なるときも同じで、営業所の建物の登記簿謄本か賃貸借契約書などを付け足すのが必須です。
都道府県をまたいだ主たる営業所(本店)の住所変更
建設業許可を得た企業が1カ所だけで経営していて、主たる営業所を他の都道府県に住所修正のときは、改めて「許可換え新規」の許可申込みを管轄の都道府県知事へ行うのが必須です。許可換え新規の申し出は、新規に建設業許可の申し出とほぼ同程度の文書が求められます。
また文書を出さず、申し出を行わなかった場合や虚偽の記載をしたときは、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金などのペナルティが適用されるので十分注意しましょう。
建設業許可を得たあと住所変更のときは、なるべく早く修正の申し出をします。主たる営業所の変更に際しては、登記簿謄本などの文書を要しますが、正確な情報を提供して変更届出書を準備し、所定の締切内の申し出を心掛けましょう。
もし忘れたらどうなる?
建設業許可に関わる項目の修正があるとき、企業は変更届出書を適切な行政機関へ申し出る義務があり、この申し出を怠ると行政指導を受ける可能性があります。申し出による内訳の登録は建設業許可証明書の内訳と連動しており、申し出を忘れると会社の基本情報と証明書の相違が生じます。許可取得したあと必須な修正項目と締切日はしっかりと確かめることが重要です。
また、変更届の申し出は建設業法で義務付けられており、報告を怠るとペナルティが科されます。申し出ない・虚偽の記載を行ったとき、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金、あるいは両方が科される可能性があります。このようなペナルティにより、取締役全員が当てはまるときは欠格条件に該当し、許可が解消され、許可を5年間取得できないリスクがでます。
仕事に追われる中で申し出を怠ると、更新作業のスケジュールが遅れるだけでなく信頼性への影響や許可の失効などの重大な結果を招く可能性もあります。必ず申し出をし、許可更新時に申し出を怠ったときにも相談すれば改めて変更届を受け付けてもらえるときもあるため、専門家の行政書士や自治体の窓口への相談をおすすめします。
住所変更の申し出などはおさだ事務所へ
住所変更に伴い文書とともに申し出が必須です。さらに締め切りまでに申し出を終わらせなくてはいけないですよね。
おさだ事務所は東京都限定の建設業に特化した行政書士事務所と社労士事務所です。東京都は首都圏でも証明資料のハードルが一番高いですが、実績のある当事務所であればスムーズな申し出が可能です。
御社は各種証明書を準備しなくてもよく、取得の代行を当事務所で行います。また建設業許可を得るだけにとどまらず、その先の会社運営のバックアップもさせていただいております。お急ぎのときはぜひこちらへご相談ください。
変更届に求められること
建設業許可において、修正が生じた場合は「変更届」の申し出が義務付けられます。住所変更でこの文書を使います。修正の内訳に応じて、申し出締切や必須の文書が異なります。締切を確かめ項目を修正のときは、毎年の決算期を経過時も含めて適切な申し出を行いましょう。
申し出締切は次の3パターンに分かれます。
事業年度終了届(毎年の決算終了して4ヶ月以内に申し出)
決算書が付け足す資料として必須で、2〜3か月後に決算が確定のため計画的に用意しましょう。
重要な要件の修正(修正が生じてから2週間以内に申し出)
経営者や専任技術者の修正など、許可に影響する重要な条件がこれに当たります。
会社に関した修正(修正が生じて30日以内に申し出)
商号、営業所、業種追加、資本金、役員の修正などが該当します。よく注意を払っておきましょう。
住所変更は営業所の修正に当たります。30日以内と締切まで短いので他の修正項目も覚えておくと有用です。
変更届についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
変更届(様式22号の2)の記入例
変更届(様式22号の2)を次の記入例より解説していきます。各記入項目について説明します。
フォーマットの準備
このフォーマットは、国土交通省の許可申請書及び添付書類(PDF)の86・87ページ、あるいは許可を申込む各都道府県のHP{(東京都都市整備局では建設業許可 手引、申請書類等)の本冊その1(変更届)No.1-22号の2号:変更届出書(第一面)(第二面)(PDF)}よりダウンロードできます。
なお、法改正により令和3年1月1日以降の申込みに文書への押印が不要です。それでは見ながら作成しましょう。
記入例と書き方
変更届出書(第一面)
引用:東京都都市整備局 建設業許可 手引、申請書類等>手引>≪Ⅲ 許可後に必要な手続≫(PDF)12ページ目
①共通部分の記載例
まず(1)から(8)までの当てはまる所に◯を付けましょう。住所変更は(2)営業所の名称、所在地又は業種、を選びます。提出先は東京都知事で選んだら、当てはまらない方に横線を引きます。届出者に自社の住所、社名、代表者を書きます。上の日付は届出日なので、当日記入しましょう。
なお行政書士が代行して作成のときは、その記名と職員の押印を要します。また代理人として申し出るときは委任状の付け足しも要します。
許可番号の所に持っている許可の大臣知事コード(東京都知事は13、国土交通大臣は00)、許可番号、許可年月日を書きます。複数あるときは最も古い許可日を選びます。また、左余白は必ず0の数字で埋めてください。法人番号は国税庁法人番号公表サイトで調べるとわかります。
②届出事項欄の記載例
まず複数の申込みがあるときに一つの文書にまとめられます。とじ方は下図を参考にしましょう。
引用:東京都都市整備局 建設業許可 手引、申請書類等>手引>≪Ⅲ 許可後に必要な手続≫(PDF)9ページ目
届出事項に修正内容を簡潔に書きます。住所変更では営業の所在地と書きます。次に変更前・変更後の住所を書きます。変更年月日はもちろん申込み締め切りの30日以内です。なお64ページの営業所の確認資料とは次のものです。
営業所の確認資料 引用:東京都都市整備局 建設業許可 手引、申請書類等>手引>≪Ⅱ 建設業許可の申請≫(PDF)13ページ目
次にある役員等の氏名では変更後に削除するときは備考に退任、変更後に追加するときは就任を表記します。
また代表者(申請人)が役員を就任・退任するときは役員の改変も一緒に申し出ましょう(春日 武男)。常勤役員等、専任技術者を書いたら、それぞれ付け足す文書(≪Ⅲ 許可後に必要な手続≫(PDF)90ページ、94ページ)と確認資料を要します。確認資料の概要を次に上げます。
常勤役員等及び直接補佐者の確認資料 引用:東京都都市整備局 建設業許可 手引、申請書類等>手引>≪Ⅱ 建設業許可の申請≫(PDF)4ページ目・5ページ目
専任技術者の確認資料 引用:東京都都市整備局 建設業許可 手引、申請書類等>手引>≪Ⅱ 建設業許可の申請≫(PDF)7ページ目・8ページ目
③入力事項欄の記載例
ここでは②で修正のあった項目のみ書きます。住所変更では営業所の所在地・電話番号・郵便番号のいずれかでも修正があったときは、項番41~43を全て書くのが必須です。
区市町村コード表は東京都は以下に上げます。他の道府県の市町村コードは総務省の都道府県コード及び市区町村コードから見れます。
コード番号表 引用:東京都都市整備局 建設業許可 手引、申請書類等>手引>≪Ⅱ 建設業許可の申請≫(PDF)15ページ目
主たる営業所の所在地(項番42)は原則として本店の所在地です。登記上と事実上の所在地が異なるときは、事実上の所在地を区市町村名の続きから書きます。
従たる営業所の変更に係る変更届出書(第一面・二面)
引用:東京都都市整備局 建設業許可 手引、申請書類等>手引>≪Ⅲ 許可後に必要な手続≫(PDF)13ページ目
①営業所の所在地を変更する
まず第一面の届出事項を営業所の所在地とし、変更前と変更後の住所を書きます。第二面は営業所の確認資料(写真等)が必須です。上記の営業所の確認資料の図で説明しています。
区分は2とし、許可番号、社名、住所の記入要領は第一面と変わらないです。
②従たる営業所を新設する
第一面の届出事項は営業所の新設とし、変更後の欄のみに名称を書きます。次の建設業法施行令第3条に規定する使用人(令3条の使用人)では、80ページのNo.11「令3条の使用人」の申し出文書を要します。専任技術者では、81ページのNo.15「専任技術者」の申し出文書を要します。それぞれの文書は下図を参照してください。
No.11 令3条の使用人(支配人を含む。)の新任・変更・削除
No.15 専任技術者の追加・変更・削除
引用:東京都都市整備局 建設業許可 手引、申請書類等>手引>≪Ⅲ 許可後に必要な手続≫(PDF)6ページ目・7ページ目
第二面は営業所の確認資料(写真等)が必須です。上記の営業所の確認資料の図で説明しています。区分は3とし、許可番号、社名、住所の記入要領は第一面と変わりません。
引用:東京都都市整備局 建設業許可 手引、申請書類等>手引>≪Ⅲ 許可後に必要な手続≫(PDF)14ページ目
③従たる営業所を廃止する
第一面の届出事項に営業所の廃止とし、変更前の欄のみに名称を書きます。次の建設業法施行令第3条に規定する使用人(令3条の使用人)と専任技術者の提出文書は②と同じくやります。
第二面の区分は4とし、許可番号、社名、住所の記入方法は第一面と変わらないです。
④従たる営業所の名称変更
第一面の届出事項は営業所の名所とし、変更前と変更後の名称を書きます。第二面は説明の通り、③営業所の廃止と②営業所の新設の2枚作らなければならないです。
引用:東京都都市整備局 建設業許可 手引、申請書類等>手引>≪Ⅲ 許可後に必要な手続≫(PDF)15ページ目
⑤従たる営業所の業種追加
第一面の届出事項に営業所の業種の追加とし、変更前、変更後ともに全業種を書きます。専任技術者の届出書類は②と同じくやります。第二面の区分は2とし、許可番号、社名、住所の記入方法は第一面と変わりません。
⑥従たる営業所の業種廃止
第一面の届出事項に営業所の業種の廃止とし、変更前、変更後ともに全業種を書きます。専任技術者の届出書類は②と同じくやります。第二面の区分は2とし、許可番号、社名、住所の記入方法は第一面と変わりません。
⑦従たる営業所の令3条の使用人・専任技術者を変更する
第一面の届出事項にそれぞれ建設業法施行令第3条に規定する使用人(令3条の使用人)、専任技術者と書き変更前と変更後の役員名を書きます。
まとめ
建設業許可を得た企業が主たる営業所(本店)の住所を修正のときは、企業は許可を得た行政機関に変更届出書を作成し、30日以内に申し出なければいけません。
さらに建設業許可を得た企業が1カ所だけで経営していて、主たる営業所を他の都道府県に住所変更するときなどは、改めて「許可換え新規」の許可申請の管轄する都道府県知事から行うのが必須です。許可換え新規の申し出は、新規に建設業許可を申し出とほぼ同程度の文書が求められます。
住所変更のときは文書の準備も考え、なるべく早く改変申し出を始め、所定の締切内に申し出るよう心掛けましょう。もし住所変更の申し出を忘れると6か月以下の懲役または100万円以下の罰金、あるいは両方が科される可能性があるので十分注意します。
変更届は提出締め切りにより3パターン{事業年度終了届(毎年の決算終了して4ヶ月以内に申し出)・重要な条件の修正(修正が生じて2週間以内に申し出)・会社に関した修正(修正が生じて30日以内に申し出)}に分かれます。
変更届(様式22号の2)の記入例より、第一面は①共通部分(主たる・従たる営業所)②届出事項欄③入力事項欄へ記入します。第二面はおもに従たる営業所の所在地の変更、新設、廃止、名称変更、業種追加、業種廃止に使います。