現場の監理技術者は、工事現場での技術上の管理をつかさどる立場上、監理技術者講習の受講と、監理技術者資格者証を携帯し、発注者からの請求があったときは提示する義務があります。
どちらも、定期的に更新が必要なもののため、期限切れのおそれがあります。
もしも期限が切れたまま監理技術者として現場配置をしてしまうと、処分の対象となってしまうため、更新時期を把握し、スケジュールを確保して更新をしましょう。
現在、期限が切れてしまっている方でも、再取得によって監理技術者として現場に出られます。
すぐに現場で活躍できるよう、更新期限について解説していきます。
監理技術者の更新が『期限切れ』に?【2つの定期更新が必要な資格】
監理技術者は、2種類の有資格で定期更新が求められます。「監理技術者講習」と「監理技術者資格者証」です。それぞれ5年での更新が求められますが、カウント方法が異なるため、注意が必要です。それぞれの更新期限は、資格者証に記載されており、表面に資格者証の期限、裏面は各自で貼った修了証に書かれた日付から計算します。
この更新期限が過ぎてしまうと監理技術者としての要件が満たせなくなり、そのまま現場に立つと無資格者の配置となり、行政処分の対象となってしまいます。行政処分は指示処分や、より重い営業停止処分があり、過去には営業停止処分(参考:東京都公式ホームページ)が出された例もあります。
処分の対象にならないためにも、「管理技術者講習」と「監理技術者資格者証」の更新期限はしっかりと確認しましょう。
「監理技術者講習」
「監理技術者講習」更新期限
「監理技術者講習」の更新期間は受講した次の年の1月1日から5年間です。手元の資格証カードの裏面に貼ってある監理技術者講習修了ラベルに、講習した日付が記載されています。
これは令和3年(2021年)からの有効期間の改正によるもので、受講日からではなく次の年の1月1日から5年となるため、それまで受講日からの5年カウントだったのが翌年からのカウントとなり、令和2年(2020年)までの受講者は年末まで有効期限が延びる可能性があります。しかし年末には受講申し込みが集中することが予想されるため、早めに講習の予約をしたほうがいいでしょう。
年末は他の用事もあり忙しくなりやすいので、気づいたときにスケジュールを確保したいですね。
「監理技術者講習」の再受講
「監理技術者講習」の有効期間が切れている場合、再受講することで受講者資格を取得できます。監理技術者講習は下記の5つの機関で実施されています。
各機関により、開講数などが違うため自分に合ったものを選びましょう。価格は9,000~10,000円ほどで、インターネットと郵送で価格に違いがあります。(※手数料情報は記事作成時のものです)
各都道府県での開催がある期間や、自宅からオンライン講習が可能であったりと、豊富な手段があります。
監理技術者に関しては別の記事にて解説しています。よろしければこちらをご確認ください。
「監理技術者資格者証」
「監理技術者資格者証」の更新期限
「監理技術者資格者証」は一般財団法人建設業技術者センターから交付されるもので、更新期限は交付日から5年間です。手元の資格証カードの表面に更新期限が記載されています。確認してみましょう。
「監理技術者資格者証」の再取得
「監理技術者資格者証」の更新手続きには主に4つのパターンに分類され、[新規申請][更新申請][追加申請][変更届出]があり、期限が切れている人の場合は[新規申請]の手続きが対象です。[新規申請]と[追加申請]は、それぞれ1級国家資格の取得からの申請と、実務経験での申請があります。より詳しい申請区分は確認用ページがあるため、こちらのフローチャートに従い確認してみましょう。
▼フローチャートはこちら
建設業技術者センター|申請手続きのページ
新規申請
すでに手元の資格者証が期限切れの場合は、[新規申請]の手続きが必要です。新規申請は、インターネット申請と、書面申請の2パターンでの申請が可能です。
新規申請のうち、1級国家資格の取得からの申請と、実務経験での申請でフォームと交付までの期間が変わってくるため、確認が必要です。また、申請には7,600円(非課税)の手数料が必要になります。
更新申請
更新申請は、有効期限が6ヵ月を切っている場合の申請方法です。インターネットと書面での申請が可能ですが、有効期限が5日を切っている場合には、書面申請のみの対応です。
インターネットからの申請では交付まで10日ほど、書面申請の場合は交付まで20日程度の案内になっています。
追加申請
追加申請は、資格や、実務経験を追加する場合の申請です。有効期限に関係なく申請する項目です。
追加申請のうち1級国家資格の取得からの申請と実務経験での申請でフォームと交付までの期間が変わってくるため、確認が必要です。
変更届出
変更届出は、監理技術者の氏名/本籍/住所/所属建設業者の変更がある場合の申請で、こちらも有効期間は関係なく申請する項目です。
期限切れの場合は[更新申請]でなく[新規申請]な点に注意しましょう。
各種申請に必要な書類は所属する建設業者で用意するものもあります。建設業許可に特化したおさだ事務所はフル回転の事務所スタッフで、抜群の書類対応をさせていただきます。お悩みや、ご相談があれば、お気軽にお問合せください。
経審の加点とのズレ
経営事項審査(経審)では、審査基準日(決算日)の時点で「監理技術者講習」が有効期限内であり、有効期間内の1級資格者の「監理技術者資格者証」がある場合に加点されます。
ここでの「監理技術者講習」受講での期間は、審査基準日からのカウントとなり改正後の基準と異なるため、改正により有効期限が延びても、審査基基準日のカウントでは5年を超過している場合は加点されないため注意が必要です。
経営事項審査に関する説明は別の記事で解説しています。よろしければこちらの記事もご確認ください。
まとめ
監理技術者には、「監理技術者講習」と「監理技術者資格者証」の2つの定期更新が必要な有資格があります。それぞれで有効期間のカウント方法が違うため、確認が必要になります。期限切れのまま監理技術者として配置した場合は処分の対象となる可能性があります。
ポイント
「監理技術者講習」の有効期限は、次の年の1月1日から5年間。
再受講には5つの機関から。
「監理技術者資格者証」の有効期限は交付日から5年間。
期限切れでの再取得は、新規申請で、インターネットと書面申請の2つのパターンがある。
- 経審の加点となる審査基準と「監理技術者講習」の有効期限はズレがあるため注意が必要。
以上、監理技術者の更新期限と期限切れの際の再取得に関するまとめでした。期限切れには注意して、期限切れを起こさないよう、更新スケジュール管理をしましょう。