建設業許可と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか? 工事現場に貼られいる、たくさんの桁数の数字のある知事や大臣番号といった看板でしょうか。かつて私がそうでした。
建設業を営むには行政からの許可が必要です。建設業許可とはどんなものなのでしょうか。
- 東京での許可の取得は手間がかかるのか、
- 許可とはいったいどんなものか、
- 許可をもらうために必要なこととは、
新たに東京で建設業を始めたい、これまで人任せで勉強をしてこなかったが、許可の仕組みをちゃんと理解しておきたい。そんな人のために、ここでは建設業許可の概要と、東京の建設業許可を取得する際の実態を紹介します。
難しい行政手続きにおける、基本を理解する手助けになればと思います。
東京都の建設業許可審査は厳しい?
東京で建設業許可を取得したい!となったとき、申請をどこで行うのか、必要な書類は?そもそも申請に必要な要件は整っているのか?
的確に答えられる方は少ないのではかと思います。
新たに東京で建設業許可を取得したいという考えの業者の方には、知っていただきたいのですが…
東京都の建設業許可申請は、他県と比較しても申請の際の審査が厳しいです。
ポイント① 提示する書類が多い
東京都の場合、常勤役員等 経営業務の管理責任者『経管』の経営経験や専任技術者『専技』の実務経験の証明について、工事請負契約書・注文書等の期間通年分の原本の提示が必要です。
ばくだいな分量の工事請負契約書や注文書等を、都の窓口に持ち込んで扱わなければならず、分厚いファイル数冊分の荷物です。
東京都の特徴として、専任技術者(専技)の技術者の要件の証明ー例えば、技術者経験の証明に、その方が会社に在籍していたことを示す必要があります。
一般的には、健康保険証や年金記録で証明することになるのですが、これらの資料での証明ができない場合、他の証明資料を急いで準備しなければなりません。
ポイント② 要件も厳しく審査される
東京都については営業所の要件も厳しく審査されます。特に、自宅事務所を建設業の営業所にされている場合、居住部分と営業所の区分を間仕切り等で明確にしていなければなりません。また法人であっても、営業所は他法人と明確な区分が必要で、他法人と同居の場合も営業所の独立性には注意が必要です。
東京都では、極めて厳しく営業所の独立性を審査しています。
行政書士への相談も視野に
建設業許可の申請は、専門の行政書士が数多く存在し、それだけ取得が難しいです。東京都で建設業許可を取得したい場合は、専門の行政書士への相談をおすすめします。
おさだ事務所では東京都の建設業許可を1日でも早く・確実に取りたい、建設業許可更新にお困りの方に、建設業に特化した社労士業務が29年の実績でおこたえします。まずはお気軽にお問い合わせください。
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そもそも建設業許可とは
「建設業許可」とは建設業に関するルールが規定された建設業法の第3条で定められています。建設業許可を取得した事業者は、許可番号が与えられます。具体的な例として「○○県知事許可(般-△△)第□□□□□□号」といったものです。
まさに建設現場や会社ホームページで見るものですね。
建設業許可をもらうためには
建設業の許可をもらうためには、建設業法第7条に規定する4つの「許可要件」を備えていること、および同法8条に規定する「欠格要件」に該当しないことが求められます。
- 経営業務の管理責任者が常勤でいること。
- 専任技術者を常勤で営業所ごとに置いていること。
- 財産的要件を満たしていること。
- 請負契約に関して誠実性を有していること。
- 欠格要件などに該当しないこと。
ぼんやり見ると、ちゃんと会社の形態があるかや、お金や信頼があるかですね。
建設業許可と建築業許可は違う
建「設」業と建「築」業とは別なの?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
「建設」は大規模な工事、「建築」は住宅くらいの工事。とぼんやり想像ができるかと思いますが、おおむね合っています。法律上では、建「築」業許可というものはなく、「建設業許可」が29業種に分かれており、その中に「建築工事業」があります。
建築基準法という法律内では「建築」「建設」の違いなどはあるのですが、深堀はやめておきます。
知事と大臣の違いは?
現場の看板に
○○県知事許可(般-△△)第□□□□□□号
と
国土交通大臣許可(般-△△)第□□□□□□号
と2種類あるのはご存じでしょうか。この違いも、なんとなく会社の大きさではないかと想像できますが、正解は下記のとおりです。
都道府県をまたいでいるかどうか
複数の都道府県をまたいで営業所を設置した場合大臣免許となり、1つの都道府県内のみに営業所を設置した場合に知事免許が与えられます。
2つの都道府県にそれぞれ営業所を設置したときのみが大臣免許です。営業所を何ヵ所設置しても、すべて一つの都道府県の中であれば知事免許です。
上記では、工事現場の記載がありませんでした。知事免許の場合は他県での工事はできないのかというと、工事を行う現場については関係はありません。東京都での知事免許を持つ会社が、神奈川県や千葉県といった他県の工事現場で工事を行うことは問題がなく、あくまでも営業所の場所が重要です。
「営業所」とは?
では「営業所」とは、というと契約を結ぶ・見積もりが出せる等の行為ができる事務所です。実務要件として、役員や技術者が常駐でいなければならない等ありますが、ここでは省きます。ちなみに営業所ではないものとして、経理のみの事務所や倉庫などが挙げられます。
建設許可のない業者
国土交通省のホームページにて、建設許可の説明があります
建設工事の請け負い営業するには、公共工事/民間工事を問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可が必要です。ただし、『軽微な建設工事』のみを請け負って営業する場合は、建設業許可が不要です。ただし書き以降の条件に当てはまるのが、「建設許可のない業者」となるのです。
軽微な工事とは、以下のとおりです。
①工事1件の請負金額の額が、建築一式工事にて1,500万円(税込)に満たない工事か、または述べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事。
②建築一式工事以外の建設工事が500万円(税込)に満たない工事。
建築一式工事とは、新築工事等の総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事のことをいいます。リフォーム業者の内装工事など、建築一式工事に当たらず、その他の工事に該当します。最近の建設業界では、下請けや孫請けまでも許可の取得が必要であるとする風潮にあり、建設業の許認可は、ある程度の工事の専門性と、組織の体制についての評価をする仕組みであるといえます。
建設許可は調べられる
看板などで見かける建設許可番号などは 国土交通省 建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで検索ができます。
まとめ
以上、建設業許可の簡単な説明と、東京都での建設業許可取得に関するお話でした。
- 東京の建設許可の審査は厳しい
- 建設業許可とは建設業法で規定されたもので、業者には許可番号が与えられる
- 建設業の許可をもらうためには、4つの「許可要件」と、「欠格要件」に該当しないことが求められる
- 「建設業許可」の29業種に分かれ一つに「建築工事業」
- 営業所が1つの都道府県なら知事免許。2つ以上なら大臣免許
- 軽微な建設工事は許可が不要。最近はほとんどの業者で許可の取得が必要
難しい行政手続きにおいて、基本を理解する手助けになればと思います。