「建設業許可を取得したいけれど、建築士の資格だけで取得できるんでしょうか?」
そんなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
建設業許可が必要になる工事の種類がとても多くわかりづらいですよね。そのうえ、建設業許可を得るまでの要件も複雑で、初めての方にとってはハードルが高いです。この記事は、そんな悩みを持った建築士の皆様に向けてぜひ読んでいただきたい内容です。
建築士の資格を持っている人が、建設業許可を取得する為に、
- どの工事の種類で建設業許可を取得できるのか?
- 建築士資格以外に必要な残り4つの要件は何か?
を整理してわかりやすくまとめました! ぜひ最後までご覧ください。
建築士が建設業許可を取得するためには、経営業務管理責任者が不可欠!
「建築士の資格を持っている、または取得予定だけれど、建設業許可を取得できる?」
結論としては、建築士だけでは建設業許可は取得できません。
一度不許可となってしまうと、その後の再取得が難しいケースなどもあるので、慎重に情報を集めて対応する必要があります。自分や仲間が持っている資格、今までの業務歴、さらには資金状況などをきちんと確認しておくことが何より重要です。
建設業許可とは
建設業許可は、個人事業主や法人が建設業を営む際に必要となる決まりです。建設業法という法律で決まっていることなので、建設業許可を取得しないで一定規模以上の工事を請け負った場合は、法律違反となってしまうのです。当然、懲役、罰金刑が科されてしまいます。
個人、法人かを問わず、建設業を請け負ってある程度の工事を行う場合には、必須になる許可と言えます。
また、建設業許可は、工事の種類に応じて29種類の業種に細かく分かれています。例えば屋根工事や内装工事など、工事の種類が違う場合は、それぞれに別の建設業許可を取得しなければいけません。
建設業許可に必要な要件
建設業法で定められた要件は、次の5つです。
これらを全て満たす必要があります。
ポイント
- 建設業の【経営業務】の管理を適正に行う能力を有する者
- 専任技術者
- 誠実性
- 財産的基礎等
- 欠格要件に該当しないこと
このうち、建築士資格を持っている人は、一部の工事の種類で、専任技術者として要項を満たす事ができます。
二級建築士の場合、具体的な工事の種類は、「建築一式工事業」、「大工工事業」、「屋根工事業」、「タイル工事業」、「内装工事業」の5種類です。一級建築士の場合はそれらに「鋼構造物」が加わり、6種類です。
そのため、建築士資格を持っているだけでは、専任技術者の要件しか満たせません。
建設業許可を取得するためには、他に4つの要件をクリアする必要があります。
経営業務管理責任者(経管)とは?
一番ネックになるのが、この経営業務の【管理責任者】。
1つ目の要件である、「建設業の経営業務の管理を適正に行う能力を有する者」の事を、経営業務管理責任者、略して経管と言います。「建設業で5年以上経営業務の管理責任者として経験のある者、またはそれに準ずる地位にあり、経営業務を経験した経験のある者」などがその要件です。
つまり、建設業でそれなりの期間の経営経験がある人がいなければいけないということですね。必ずしも法人の常勤役員というだけでなく、個人事業主としての経験が5年を超えている場合も要件を満たせるようです。
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その他に必要となる要件は?
「誠実性」については、請負契約を締結するにあたって不誠実な行為をしない、不正を働かないなどの条件となるので、これは当然必須となる条件ですね。
「財産的基礎等」については、工事の請負契約を締結する中で、一定以上の資本金が準備されていることが求められます。具体的には、自己資本が500万円以上ある、または500万円以上の資金調達能力がある、などが挙げられます。こちらもある程度の実績や資金力が必要になるので注意が必要です。
最後に必要となるのが、「欠格要件に該当しないこと」です。過去5年以内に建設業許可が取り消しを受けた場合、または破産者、営業停止処分中の場合などは欠格要件に該当してしまいます。
とはいえ、かなりのレアケースだと考えられますので、そこまで気にする必要はないかと思います。気になる方は、実際に取得する際に行政書士などの専門家に相談してみましょう。
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まとめ
さて、ここまでで建築士の方が建設業許可を取得するために必要なことは理解していただけたでしょうか。
改めてまとめると、以下の通りです。
ポイント
・建設業許可に必要な要件は5つある。
・建築士資格だけでは、その中の専任技術者しか満たさない。
・建設業で一定期間以上経営の実績を持つ【経営管理責任者】が必要になる。
・建設工事の請負の為に一定以上の自己資本や資金力の証明が必要となる。
もしあなたが実際に建設業許可を手にしようとしているのであれば、自分の状況を改めて確認して、他にどの要件が必要になるのかきちんと知っておくことが大切です。実際の手続きについては、行政書士事務所などで相談に乗ってもらうこともできます。
しっかりと情報を手に入れて、手続きに臨んでくださいね。