「そろそろ大きな工事を受注したい」「元請からも許可の取得を求められている」などの理由で、建設業許可の取得を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に建設業許可を申請するためには6つの要件をクリアする必要がありますが、皆さんご存知ですか?その中でも「欠格要件」は、最初に確認しておきたい要件です。
そう言われても「何が欠格要件に該当するのかわからない」「自分は欠格要件に該当するから許可申請できないよ」「自分では大丈夫だと思っているけど間違っていないかな」という不安や疑問を抱いている方も少なくないでしょう。
そのような皆さんの不安や疑問を解決するため、この記事では「欠格要件」を見極めるポイントについて解説します。
「欠格要件に該当するから」と申請を諦めてしまっている方も是非ご覧ください!
建設業許可「欠格要件」を見極めるポイントとは?
見極めるポイントは、簡単にいうと「不正や犯罪、反社会的勢力に属さず、警察の厄介になった経験がないか?」ということです。
行政機関から許可をもらうには、申請者および関係者の身元がきれいな方が有利であることは間違いないでしょう。
仮に心当たりがある方でも、改心した上で要件を満たすことができれば、建設業許可を取得できる可能性はあります。その点についても、後述の『「欠格要件」に該当したらどうしたらいいの?』で解説していきます。
まず、欠格要件に当てはまるのか判断する簡単なチェックリストを用意しましたので、参考にチェックしてみましょう。
チェックリスト
- 過去に許可申請書類で「虚偽」「不正」によって許可を受け、何らかの処分を受けていませんか?
- 過去に許可の取り消しを受けていませんか?
- 建築工事や請負契約に関して、不適切な施工や不誠実な対応をしたことにより、何らかの処分を受けていませんか?
- 過去に事件を起こし、処罰を受けるなどの経験がありますか?
- 破産者に該当する場合、復権を得ていますか?
- 心身に異常がなく、適正に建設業を営むことができますか?
- 過去に暴力団に属していませんか?
安心してください。該当したからといって「申請できない」とまだ確定した訳ではありません。
建設業許可を取得するための要件とは?
はじめに建設業許可を取得するための要件について、おさらいしておきましょう。
建設業許可を申請する場合、以下の6つの要件が必要です。
ポイント
- 経営業務の管理責任者等を設置する事
- 専任技術者を設置する事
- 誠実である事
- 財産的基礎等を有する事
- 欠格要件に当てはまらない事
- 適正な社会保険へ加入する事
この6つの要件のうち、「1.経営業務の管理責任者等を設置する事」「2.専任技術者を設置する事」「4.財産的基礎等を有する事」の3つの要件がクリアできていれば、許可の取得はほぼ確実と言われています。
ただし、「5.欠格要件に当てはまらない事」がクリアしていることが前提としてありますから、事前に押さえておく必要があります。
「欠格要件」が何かわからない方も最後まで一緒に勉強しましょうね
必要な資格要件について、もっと詳しく知りたい方はこちらを参照ください。
必要要件の一つ「欠格要件」とは?
建設業許可を申請する際に、以下の人物が欠格要件に該当していると申請不可となりますので、事前に確認する必要があります。
個人事業主の場合
- 本人、支配人、支店や営業所の代表者(営業所長や支店長などの令3条の使用人)
法人の場合
- 「株式会社」「有限会社」の取締役
- 指名委員会等設置会社の執行役
- 持分会社の業務を執行する社員
- 法人格のある各種の組合などの理事、その他
- 相談役、または、顧問
- 総株主の議決権の100分の5以上を有する株主
- 出資の総額の100分の5以上に相当する額を出資している者
- 法人に対し業務を執行する社員*と同等以上の支配力を有する者と認められる者かどうかを個別に判断される者(* 取締役、執行役および法人格のある各種組合などの理事、その他)
※監査役は含まれませんが、議決権の5%以上の株主は含まれますので注意してください。
上記に該当する人物が欠格要件に該当していないか、以下の事項を確認しましょう。
欠格要件に該当する事項
- 建設業許可の書類で虚偽申告したり、重要な事実を記載しなかったために、建設業許可を取り消されてから5年を経過していない者
- 成年被後見人、被保佐人に該当する者
- 破産者で復権を得ていない者
- 建設業の営業を停止されたり、禁止の処遇を受けている者
- 禁固以上の刑を受け、刑の執行が終了し、実際に刑を受けることがなくなった日付から5年を経過していない者
- 建設業法やその他の法令に違反し、罰金刑に処せられ、その刑の執行が終了し、その刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
- 暴力団員を辞めてから5年を経過していない者
- 暴力団のフロント企業やその事業活動を支配する者
自分だけでなく、許可申請に関係する方にも該当しないかを事前に確認しておく必要があります。
欠格要件のQ&A
「欠格要件」に関するよくある質問をQ&Aにまとめましたので、一緒に見ていきましょう。
Q:建設業許可の取り消しを免れるために一旦廃業届を出しましたが、再度許可の申請はできますか?
「廃業の届出」をした日から5年が経過していない場合には、許可申請はできません。
Q:成年被後見人、被保佐人とはどのような人ですか?
知的障害や精神障害により必要な認知、判断および意思の疎通が適切に行えない人で、かつ、家庭裁判所で審判を受けた人のことを指します。
Q:「破産者で復権を得ていない者」とは何ですか?ブラックリストに載っているんですが大丈夫でしょうか?
破産者の本来の法的地位がまだ回復していない者のことをいい、自己破産の経験があっても複権を得ていれば、ブラックリストに載っていても申請は可能です。
Q:罰金刑を受けました。執行猶予も3年前に終わったので申請可能でしょうか?
罰金刑は刑罰にあたりますので、罰金を払って執行猶予が終わっていてもその刑の執行を受けることが無くなった日から5年経過していないと許可は申請できません。この事例の場合、執行猶予は終わっていますが、基本的に執行猶予期間中は申請することができません。
Q:先日、交通違反してしまい反則金を支払いました。申請は可能でしょうか?
建設業法関連の罰金刑ではないので申請は可能です。ただし、反則金を滞納している場合は罰金刑になり、欠格要件に該当してしまう可能性があるため要注意です。
これらの要件に該当することが取得後に判明した場合、許可そのものを取消されてしまいます。あとから発覚した場合のペナルティも大きいため、事前にしっかり調査しておきましょう。
違反行為について、もっと詳しく知りたい方はこちらを参照ください。
困ったときはおさだ事務所へ
そうは言っても許可の申請の際に、自分を含めた関係者一人ひとりを「欠格要件に該当しない」と見極められず、判断に迷うことがあると思います。欠格要件に当てはまる場合、許可申請できないわけですから、申請を検討する段階でここはハッキリさせてたいのではないでしょうか?
書類を準備して、いざ窓口に提出したものの「欠格要件に当てはまる」ということで申請できず「これまでに準備してきた時間や労力が無駄になってしまった」ということになりかねません。
そうなる前に「自分では正確に判断できないかも」「誰かに相談したい」という方は、建設業専門の行政書士・社労士事務所「おさだ事務所」まで、ぜひお気軽にご相談ください。
建設業許可に関してお困りの時には、相談無料の「おさだ事務所」まで一度お電話ください!
「欠格要件」に該当したらどうしたらいいの?
「最初のチェックリストで該当したんだけど、もう許可申請はできないってこと?」と思った方、まだ道が残っています。「欠格要件」には期間の制限や人の条件がありますので、その条件さえ該当しなければ申請可能となります。
「個人事業主」か「法人」かという前提を除き、条件を大きく別けると「該当する者がいないか」「期間が5年経過しているか」の2つです。
結論、欠格要件該当者を含まないように申請することで要件をクリアできますので、どうしても欠格要件がクリアできない場合には、該当者を申請から外しましょう。
「虚偽」「不正」によって建設業許可を受けて営業することは社会的リスクも高く、必要要件でもある「3.誠実である事」にも反します。
欠格要件に該当することを隠して申請するなど、虚偽申告は絶対にやめましょう。
まとめ
「欠格要件」についてここまでポイントを解説してきましたが、ご理解いただけましたでしょうか?
見極めるポイントの「まとめ」は以下のとおりです。
まとめ
- 欠格要件に当てはまらないか、関係者の身元をしっかり調査する
- チェックリストに該当する項目がないかチェックする
- 該当した場合、その項目が今から逆算して5年以上経過しているか?確認する
- それでも該当した場合、該当する者を申請から外す
「法人」で申請する場合には関係者も多いため「該当する」「該当しない」という判断を申請者が的確に判断することはなかなか難しいものです。
もしかしたら「欠格要件に該当するかもしれない。許可を申請できないんじゃないか?」と不安に思われた方、諦めてしまった方、あなたの力になります!建設業許可に長年携わってきた知識と経験で、アドバイスできることが必ずあります。
ぜひ一度、行政書士のおさだ事務所までお気軽にご相談ください。