建設業許可を取得後は、より多くの仕事を請け負うようになってくるかと思います。そうなると、新しく営業所を開設したり、移転する機会が出てくるかもしれませんね。
今回は営業所の移転をはじめ、他どのような場面で変更の手続きが必要なのか、また手続きを行うにあたり、どんなところに注意しなければならないのか等、わかりやすく解説していきます。
建設業許可を継続していく為には、やはり更新や変更等の手続きを怠らないようにするのが大切です。中には期日が設けられている更新事項もありますので、しっかり守らないと大変な事になりかねません。
うわぁ…たいへんそうだな…と感じてしまっても大丈夫です。この記事を最後まで読んでいただくと、その不安も解消されるのではないかと思います。
また困った場合の専門行政書士のご案内もさせていただいていますので、何かとお力添えできればと思います。
建設業許可取得後の営業所移転の手続きとは
建設業の中での営業所とは、請負契約の締結や工事の見積もりを行う事務所のことを指します。営業所の移転や新設が行われる際は手続きが必要になります。
「住所が変わるだけで、営業の実態は変わらないけど手続きって必要なの?」と思うかもしれませんが、そのような場合であっても変更の手続きは必要です。
では、どういったことが変更の手続きの対象になるのかを見ていきましょう。
変更の届けが必要なケース
営業所の移転となると「住所が変わったから」というように思いますが住所以外にもいろんな場面の変更で届け出が必要になってくることもあります。
では、どのようなケースが対象になるかを紹介します。
- 営業所の移転(主に住所変更)
- 営業所の名称や電話番号に変更があった場合
- 営業所の中で請け負う業種を変更した場合
- 営業所を新設した場合(支店の追加も含む)
- 営業所を廃止した場合(支店の閉鎖も含む)
上記にあたる場合は届け出の変更が必要になります。
そのままにしておいてしまいそうな、電話番号や業種の変更でも届け出が必要になってくるんですね。
変更の届け出を怠った場合
割と些細な変更でも、届け出は必要になってくるのですが、万が一届け出をしなかった場合、罰則規定の対象になることもあります。
例えば…
- 許可の更新・業種の追加、経営事項の審査の申請を受け付けてもらえなくなる。
- 罰則規定によって、許可取り消しや罰金・懲役の対処となる
といった可能性があります。
遡って変更を受け付けてもらえる事もありますが、場合により罰則や罰金などの懲役が科せられるまでになると、許可が5年間受けられなくなってしまうなどの重大な問題になりかねません。そのような事態を避ける為にも、更新や変更届は必ず行いましょう。
変更手続きの期限は30日間!
これまでにお話させていただいた、営業所の変更の届け出は、変更してから30日以内にしなければいけません。
対象となるのは本店(主たる営業所)と、支店(従たる営業所)です。
本店の場合は経営業務管理責任者、支店なら支店長や専任技術者の変更届も必要になるので注意が必要です。
ただしこれらは2週間以内に届け出を行う必要があります。
提出しなければいけない確認事項の書類など、準備しなければいけない事が多いので、30日間という期限はけっして余裕のあるスケジュールではありません。
お困りの方は専門の行政書士へ
今回の手続きが初めての場合はとてもタイトなスケジュールに感じるかもしれません。不安だな…と感じることがありましたら専門の行政書士に相談するのも近道です。
私たち、おさだ事務所は東京都の建設業許可に関して年間111件以上の実績があり、迅速な対応で企業活動をサポートいたします。
あなた様へ必ずお力になれますようサポートいたしますので、お困りな事がございましたらお気軽にご連絡ください。お待ちしております。
届け出には何が必要なのか?
届け出はまず、現在取得している許可を受けた許可行政庁に届け出をします。
届け出の際、提出しなければいけない書類書等をそろえておく必要がありますので、どのような物が必要なのかを見ていきましょう。
届け出に必要な書類
変更がある項目ごとに必要な書類が異なります。
変更事項 | 必要書類 |
営業所の移転や名称・住所・電話番号の変更 | ①変更届け出書 ②商業登記簿謄本 ③移設先の営業所の概要及び確認書類(各自治体によって内容がことなります) ※電話番号や名称のみの場合は③は不要になります。 ※登記内容に変更がない場合は②は不要になります。 |
営業所の新設(支店追加) | ①変更届け出書 ②商業登記簿謄本 ③移設先の営業所の概要及び確認書類(各自治体によって内容がことなります) ※登記内容に変更がない場合は②は不要になります。 |
営業所が廃止(支店廃止) | ①変更届け出書 ②商業登記簿謄本 |
営業所が請け負う業種の変更 | ①変更届け出書 |
確認資料に中には移転先の営業所の外観・営業所内の写真や、所在地が明確にわかるような案内図も必要となります。
写真は、どの位置からでもまんべんなくわかるような写真を用意し、またビルやマンションの一部が営業所になる場合は同フロア内の位置関係が明確にわかるような案内図が必要になる場合があります。
届け出に必要な費用は?
各種変更届でそれぞれ必要金額は異なりますが、今回は移転の場合の費用をご紹介します。
法人も個人事業主も、費用はほぼ共通です。
1 | 不動産登記簿 | ¥600 |
2 | 登記事項証明書 | ¥600 |
3 | 住民票 | ¥300 |
※住民票は個人事業主の場合に必要となります。
変更の申請の中でも、移転の変更だけだとそれほど大きな金額が必要なわけではありません。
他府県へ移転する際の注意点
知事許可を受けている建設業者の本店が、他府県へ移転する場合、移転先での許可換え新規の手続きが必要です。例えば、本店が東京から長野へ移転するのであれば、長野で許可換え新規の手続きをしなければならない、ということです。
大臣許可ですと、他府県へ本店を移設することになったとしても、許可換え新規の手続きは不要です。
許可換え新規とは?
許可換え新規とは簡単に言うと、費用の面も含め通常の新規申請とほぼ同じ手続きになります。
他府県に移転するとまた一から、手続きしないといけないってすごく大変じゃありませんか?!
安心してください。移転前のところでは、もともと許可は下りていたわけですから、そのほか大きな変更点がない場合はスムーズに許可がおりるはずです。
許可換え新規の申請中に許可の期限がきてしまうと、申請が下りるまでは無許可の状態になってしまう為、期限の間近での申請は避けた方が無難です。
知事許可と大臣許可の違い
- 知事許可…一つの都道府県内に営業所がある場合
- 大臣許可…二つ以上の都道府県にまたがって営業所がある場合
賃貸マンションを自宅兼営業所にする場合の注意点
営業所(本店)を移転させると同時に、賃貸マンションを【自宅兼営業所】とする場合は注意が必要です。特に個人事業主ですと、自宅をそのまま営業所にしたいと考える方も多いのではないでしょうか。『新たに賃貸マンションを借りて、そこを自宅兼営業所にしよう!』と思われたなら、気を付けなければならないポイントがあります。
それは、『自宅兼営業所として認められない賃貸マンションがあるので、契約する前にしっかり確認すること』です。マンションやアパートですと、元々事務所として貸し出されている物件でなければ、賃貸契約書に“住居に限る”と記載されています。そうなると、営業所としての利用は“商い行為”に該当するため、認められないのです。
建設業許可は要件さえ満たしていれば、どのような建物を営業所としても良いというわけではありません。今後も安定して事業を継続していくためには、確かな使用権原のある建物でなければならないからです。
とはいえ、営業所としての利用を許可する旨を記載した『使用承諾書』を所有者から貰えれば、自宅兼営業所に出来る事例もあります。
いずれにせよ、自分で判断せずにきちんと確認!が大切ですね。
まとめ
今回の記事では、営業所の移転における手続きをメインにお伝えさせていただきました。わりと些細に感じる変更点でも届け出が必要で、決して怠ってはいけない事であると理解していただけたのではないでしょうか。
各種変更手続きには期限が設けられていますので、万が一「期限内に必要な届け出ができなかった!」となると、様々な問題が出てきます。
許可取得時に比べると、変更届自体は簡単な手続きです。しかし、必要な書類を揃えるのに時間がかかってしまうので、やはり変更が生じた場合はすぐに必要書類の準備に取り掛かるのがベスト。とはいえ、本業の傍ら、タイトなスケジュールである変更届けに着手するのは、初めての方ですと厳しいところもあるかもしれません。
そんな時は建設業許可専門の行政書士を頼るのも一つの手であり、おすすめします。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。