建設業を営む中で、建設業許可は事業を大きく展開していくのにとても大切な申請です。
しかし、建設業許可は一度取得したらずっと有効なものではなく、更新が必要です。
以前は3年ごとの更新でしたが、建設業法改正に伴い、平成6年12月より有効期間が延長されました。現在は5年更新となっています。
「更新手続きって何をしたらいいの?」「更新日がすぎてしまったらアウト?!」「許可取得後に変更された内容ってそのままで大丈夫?」など様々な不安や疑問を解消できるよう、詳しく解説していきます。
更新が近い方はもちろん、許可を取得したばかりの方もこの記事を読んで、更新について知り建設業許可継続に役立ててください。
建設業許可は5年更新!更新までの流れを知ろう
これから解説をはじめるにあたり、以下リストの内容を頭に入れていただきます。
- 許可の有効期間…許可を受けた日(許可日)から5年目の許可日の前日
- 有効期間満了日…5年目の許可日の前日
- 更新申請の期限…有効期間満了日の90〜30日前
建設業許可の更新は、有効期間満了日(有効期限)の30日前までには完了していなければなりません。
例えば令和2年6月1日に知事許可で建設業許可を受けた場合、有効期間満了日は令和7年5月31日です。したがって、更新申請の期限は令和7年4月30日までということになります。つまり、令和2年6月1日が許可日であれば、令和7年4月30日までに更新手続きを終える必要があります。
『どうして“有効期間満了日までに”ではなく、30日も前に完了させる必要があるんだろう?』と思われる方もいるかもしれませんね。それは、更新審査には約30日かかりますし、期間満了日までに新しい許可通知書を受け取れるようにするためです。
また更新手続きの際は、5年の間に起こった変更事項に対する変更届の提出がしっかりされていることが前提です。所在地や商号、役員等に変更があった場合は、都度変更届を提出しなければなりません。特にこれといった変更が無くても、『決算変更届』の提出は【毎事業年度終了後4か月以内】と決まっております。
必要な届け出を怠っていない業者に限り、更新が許されるんですね!
今後も許可を維持していくためには、更新手続きの内容をしっかり把握し、更新までの道順を逆算しながら確実に進めていきましょう。次の項では更新手続きの流れについて紹介します。なお、更新申請時期については後ほど『更新の申請受理はいつから?』でも詳しく解説します!
更新手続きの流れ
更新手続きには【窓口受付】と【郵送受付】の2つの方法があります。どちらを選択していただいても構いません。
日数を要する事前の審査もありますので、一連の流れを把握しておく事はとても重要です。では更新の流れを見ていきましょう。
項 | 窓口受付の流れ | 郵送受付の流れ |
① | 事前チェックサービス(予備審査) | 申請書の郵送 |
② | 申請書提出(窓口審査) | 入金指示(郵送審査) |
③ | 手数料納入 | 手数料送付 |
④ | 受付(申請完了) | 受付(申請完了) |
⑤ | 審査(30日程度) | 審査(30日程度) |
⑥ | 許可 | 許可 |
⑦ | 通知書送付 | 通知書送付 |
上記は建設業許可の申請手順を表にしたものです。許可の更新申請は④の受付を有効期限の30日前までに行う必要があります。
④の受付日までに受付したら良いという勘違いをしないよう注意しましょう。
更新の申請受理はいつから?
何事においても、余裕を持って取り組んでいきたいものですが、更新の申請受理は有効期限の何日前から可能なのでしょうか。
- 知事許可の場合…有効期限の90日前から可能
- 大臣許可の場合…有効期限の6か月前から可能
ご覧の通り、申請受理の時期は許可区分により変わります。
※独自ルールを設けている地域もあるので、必ず営業されている地域の行政庁に確認しましょう。
余裕をもって許可の有効期限の2~3か月前から、更新申請を行うのがベストです!
更新手続きに必要な書類
更新手続きの流れがわかったところで、続いては更新手続きに必要な書類についても理解を深めておきましょう。
更新手続きは、許可取得の手続きに比べればライトな手続きですが、それでも必要な書類は多くあります。では、提出書類にはどのようなものがあるのでしょうか。
申請時の必要書類
上記の更新手続き②の部分(郵送受付の場合は①)に、申請書提出があります。
多くの書類が必要となりますので、こちらも表にまとめてみました。
項目 | 申請書および添付書類 | 備考 |
1 | 申請書 役員の一覧表 | 法人のみ |
申請書 営業所の一覧表 | ||
申請書 県証紙貼り付け | ||
2 | 誓約書 | |
3 | 経営業務の管理責任者証明書 | |
4 | 専任技術者証明書 | |
5 | 建設業施工令第3条に規定する使用人の一覧 | いない場合も要提出 |
6 | 許可申請者の略歴書 | 法人の場合役員の略歴書 |
7 | 建設業施工令第3条に規定する使用人の略歴書 | いない場合は提出不要 |
8 | 株主調書 | 既に提出された書類から変更があったときのみ |
9 | 営業の沿革 | |
10 | 所属建設業団体 | 既に提出された書類から変更があったときのみ |
11 | 主要取引金融機関名 | 既に提出された書類から変更があったときのみ |
12 | 後見等登記事項証明書 | 役員と令3条の使用人の分 |
13 | 身元証明書 | 役員と令3条の使用人の分 |
14 | 定款 | 既に提出された書類から変更があったときのみ |
15 | 登記事項証明書 | 既に提出された書類から変更があったときのみ |
16 | 営業所の使用権限を証する書類 | 登記事項証明書や賃貸契約書等 |
17 | 経営業務責任者と専任技術者の常勤を証する書類 | 健康保険証など |
表『申請書および添付書類』列の色がついている箇所は必ず必要な書類を表しています。
更新に必要な法定費用
知事許可、大臣許可とともに5万円が必要です。
ただし、一般建設業の許可と特定建設業の許可は別々にカウントされるため、両許可が必要な場合は、5万+5万=計10万が必要となります。
「大変そうだな…」「時間がないな…」とお困りの方は、ぜひ専門の行政書士に相談してみてはいかがでしょうか。
お困りの場合はおさだ事務所へ
仕事をこなしながら申請期限に間に合うよう、必要書類の準備等に時間を割くのは大変だと思います。そんな時は迷わず私たち【おさだ事務所】までお気軽にご相談ください。
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更新手続きの期限は必ず守りましょう
通知書に記載されている有効期間満了日は5年目の許可日の前日です。ここで、ある疑問が浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。それは『もし有効期間満了日が日曜や祝日だった場合は、どうなるの?』といった疑問です。
この疑問について、次の項目で詳しくお伝えします。
期間満了日が休日の場合は?
民法第142条には、以下のような記述があります。
第百四十二条 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
E-GOV法令検索|民法(明治二十九年法律第八十九号)第百四十二条
簡単にお伝えすると『有効期間満了日が日曜日や祝日にあたる場合は、その翌日が満了日になる』ということですね。この規定が建設業許可にも適用されるならば、同様に翌日が満了日となるはずです。
ところが、この民法の規定は建設業許可には適用されません。民法とは、市民間での権利業務をまとめた法律であり、公的機関と市民との間に作用するものではないのです。また、建設業許可の取得は許可権者である行政庁が一方的に行う「権力行為」にあたります。
よって、通知書に記載されている日付が日曜や祝日であっても、記載されている日付がそのまま有効期間満了日となります。
有効期間満了日を一日でも過ぎてしまった場合
前述した通り、更新手続きは有効期間満了日の30日前までに行う必要があります。しかし、もし30日前までに更新手続きが行えなかったとしても、有効期間内であれば、実は申請を受け付けてもらえるのです。ただし有効期間満了日が過ぎてしまうと、その瞬間に許可は失効し、申請は受け付けてもらえません。
失効すれば、当然のことながら建設業許可を取得し直さなければならなくなるので大変です。新規での取得となれば、手数料の支払いも必要になりますし、許可番号も新しい番号に変わってしまいます。
有効期間内であれば申請を受け付けてもらえると言っても、地域により追加で始末書などの書類提出を求められることがあります。
また一から準備となるとゾッとしちゃいますね!やはり更新申請の期限を守って正しく手続きを行いたいものです。
▼こちらは有効期限と更新期限について解説している記事です。期限忘れを防ぐ技も紹介していますので、ぜひご覧ください。
2週間延長の仮受付(大阪府のみ)
期限を守る事は厳守です。どうしても間に合わない…ということがもしかするとあるかもしれません。
そんなときは許可の満了日に仮受付というものをすると2週間の期限延長ができる制度があります。ただしこの制度は大阪府知事許可だけです。
更新日ギリギリでも窓口に連絡して遅れることを申し出ると、2週間の猶予がもらえます。
ただ2週間の間に申請許可の修正や、提出受付と多くの事をこなしていかなければならないので、万が一遅れてしまった場合は必ず専門の行政書士に相談しましょう。
更新までの期間に変更事項がある場合
許可取得から更新までの間、要件に該当する変更が生じた場合は、各種の変更届を提出する必要があります。
この手続きを怠ってしまうと会社の基本情報と証明書の内容に相違が生じてしまい行政指導の対象になる可能性もあるのです。
下記の表は、変更届が必要な事項と期限をまとめたものになります。
変更事項 | 期日 |
商号(名称)・組織変更 | 30日以内 |
営業所の名称・所在地 | |
従たる営業所の新設 | |
従たる営業所の廃止 | |
従たる営業所の業種追加 | |
従たる営業所の業種廃止 | |
資本金額 | |
役員等の就退任 | |
支配人 | |
令3条に規定する支配人 | 2週間以内 |
経営業務管理責任者 | |
専任技術者 | |
国家資格者等管理技術者 | 4か月以内 |
健康保険者の加入状況 |
決して期限に余裕があるものではないので、変更事項があれば期日を守り、すぐに届出を行うようにしましょう。
この他にも、国家資格者・監理技術者の変更がある場合も変更届が必要とされています。
決算変更届は毎年提出が必要!!
建設業許可を取得していると毎年、決算変更届(事業年度終了届)を提出する必要があります。
更新の際は、許可を受けた後の5年分を提出したうえでなければ更新申請することはできません。
毎年提出していない場合は更新時に過去5年分を提出することは可能ですが、5年間分をまとめて提出しないといけないとなると相当大変ですので毎年提出するよう心がけましょう。
ポイント
決算変更届とは、この一年間の決算内容や、行った工事の内容を記載したもので、建設業許可を取得している事業者が毎年監督官庁に提出することを義務付けられている書類の事です。
まとめ
ここまで、建設業許可における更新について、詳しく解説してきました。有効期間満了日の考え方や更新に必要なもの、都度更新が必要な場合など、この記事でお分かりいただけたのではないでしょうか。
建設業許可取得後も「取得したから安心!」ではなく、その許可を維持していくために、必要な手続きを忘れず行なっていくことがとても大切です。せっかく大変な思いをして取得した許可なのに、更新忘れで失効してしまうようなことになっては、大変もったいないですよね。
そうならないためにも、この記事を役立てていただければ幸いです。更新申請の期限内でしっかり手続きを行い、信頼される許可業者として、今後も事業を発展していかれることを切に願います。