「建設業許可の取得を勧められるけど、たった一人の個人事業主だから無理!」
「書類の準備が大変で、簡単に取得できるものではないと聞いた。本業があるのに許可申請まで出来ない・・・」
このように考えて、建設業許可の取得を諦めていませんか?確かに、建設業許可の取得は簡単ではありません。しかし、『たった一人の個人事業主だから』は諦める理由にはなりません。
今回は、たった一人で建設業を営む個人事業主のために、許可取得における知っておきたいポイントをまとめました。
この記事を読むことで、建設業許可の取得について前向きに検討できるようになるかもしれません。
これから事業を拡大していきたいと考えるなら、まず『建設業許可の取得』を目指してみましょう。
建設業許可はたった一人の個人事業主でも取得可能か
結論から言いますと、たった一人の個人事業主でも、建設業許可は取得可能です。また令和2年10月の法改正により、個人事業主の時に取得した建設業許可を、法人化しても引き継いで使用出来るようになりました。
法改正前は、法人化の際に許可取得にかかる費用が再度発生してしまうため、「法人化するまでは建設業許可は取得しない」と考える人は少なくなかったでしょう。それが法人化しても引き続き使用出来るようになったのですから、個人事業主だからといって許可取得を諦めたり、見送ったりしなくても良いのです。なお、個人から法人への許可引き継ぎの手続き『認可申請』は無料です!
個人から法人へ許可を引き継ぐ方法については、こちらの記事で紹介しています▼
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次の項目では、個人事業主が建設業許可を取得するための条件についてお話します。
個人事業主が建設業許可を取得するメリットは?
個人事業主が建設業許可を取得する大きなメリットは以下の3つです。
- 金額の大きい工事の受注が可能になる
- 信用度が増す
- 許可取得に必要な書類が法人に比べると少ない
このメリットをどのように捉えるかは事業主である、あなたの考え方次第ではありますが、金額を気にせずに仕事を受注できることは大きなメリットではないでしょうか。
建設業許可を取得していないと、500万円以上の工事の請け負いができません。この500万円には材料費も含まれます。顧客の希望する材質がある場合、金額制限のために受注を断らざるを得ない……そんなことになっては、顧客にとっても、事業主にとっても大きな損失です。
このことが事業の信頼に悪影響を与えることもあるかもしれません。また、建設業取得をしておけば、それだけで一定の信頼感を顧客に与えることができます。最近では、元請会社から取得を求められることもあります。
取得のメリットが全く享受できない、というケースは少ないでしょう。
建設業を営む個人事業主必見!建設業許可取得のメリット・デメリットについて詳しくはこちらの記事をご覧ください▼
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個人事業主が建設業許可を取得するための条件
建設業許可を取得する為の条件とは、以下の6つの要件を満たす事です。
6つの要件
- 経営業務の管理責任者等を設置する事
- 専任技術者を設置する事
- 誠実である事
- 財産的基礎等を有する事
- 欠格要件に当てはまらない事
- 適正な社会保険へ加入する事
これら6つの要件のうち、「①経営業務の管理責任者等を設置する事」「②専任技術者を設置する事」「④財産的基礎等を有する事」の3つがクリア出来れば、許可の取得はほぼ確実と言われています。
つまり、この3つの要件を制する事こそが許可取得のカギと言っても良いでしょう。それでは、次で詳しく解説していきます。
経営業務の管理責任者等を設置する事
建設業許可では、経営陣に『一定の経営経験がある人物を配置しているか』が求められます。
何をもって「一定の経営経験がある」と認められるのかですが、それは以下の表に該当する事です。
項 | 概要 | 備考 |
---|---|---|
A | 常勤で建設業の役員経験が5年以上ある | |
B | 常勤で建設業の役員に次ぐポジションの業務経験が5年以上ある | 執行役員など |
C | 常勤で建設業の役員に次ぐポジション(建築部長など)におり、経営者を補佐した経験が6年以上ある | |
D | 常勤で建設業の役員経験が2年以上あり、その年数と合わせて役員もしくは役員に次ぐポジションの業務経験(財務管理or労務管理or業務管理経験に限る)が5年以上ある+役員を補佐する者を置く | 財務管理or労務管理or業務管理を5年以上経験している者 |
E | 常勤で建設業の役員経験が2年以上あり、加えて他業種での役員経験が3年ある+役員を補佐する者を置く | 財務管理or労務管理or業務管理を5年以上経験している者 |
建設会社に勤めていた経験があったとしても、上記の条件をクリア出来る人物は限られてしまいます。そのため、6つの要件の中で最もハードルが高いともいわれているのです。
では、建設業を営む個人事業主がこの条件をクリアするにはどうすれば良いのでしょうか。次で解説していきます。
経営業務の管理責任者になるには
経営業務の管理責任者になるために、意識するべきポイントは次の2点です。
- 許可を受ける建設業での役員(経営)経験が5年以上→役員(経営)経験と同一の許可しか受けられない
- 許可を受ける業種以外の役員(経営)経験が6年以上→建設業29業種全ての許可を受けることが可能
一人親方などの個人事業主の場合は、これから許可を受ける建設業に関し、個人事業の経営経験を5年間積む事で「一定の経営経験がある」と認められます。
例えば、建設業29業種の一つ『大工工事業』で許可を取得したいと考えるのであれば、大工工事業での経営経験が5年間必要という事になります。
また、許可を受ける業種以外の役員(経営)経験を合算すれば6年以上になるという方であれば、建設業29業種全てにおいて経営業務の管理責任者になる事が可能です。
具体的に言いますと、最初に勤めた建設会社(建築一式工事業)での役員経験が1年・次に勤めた建設会社(とび・大工工事業)での役員経験が2年・個人事業(大工工事業)での経営経験が3年ーーというように合算して6年になるのであれば、どの建設業でも経営業務の管理責任者になれるという事です。
専任技術者を設置する事
建設業許可では、営業所ごとに専任技術者を配置する事が定められています。
この専任技術者には、発注者と交渉を行い、工事の見積書を作成・契約を結ぶという役割があります。また、施工が適正に行われるように指導監督するのも専任技術者の役割です。専任技術者として認められる人物には、それらの仕事を任せられる技術者としての証明が必要です。
では、どうすれば専任技術者として認められるのでしょうか?次で詳しく解説していきます。
専任技術者になるには
専任技術者になれるのは、建設業に関し、専門的な知識や技術・経験を持つ者であると証明された人物です。その『専門的な知識や技術・経験』は「実務経験」「学歴+実務経験」または「国家資格の取得」により証明出来ます。
なお、許可区分の「一般建設業」か「特定建設業」かで、必要とする実務経験や国家資格の内容に違いがあります。
一般建設業許可の場合
許可区分が一般建設業の場合、実務経験を10年積むか、学歴に応じて一定の実務経験をプラスするか、指定の国家資格を取得すれば、専任技術者の要件を満たす事が出来ます。
【実務経験】
許可を受ける工事業での実務経験が10年以上必要です。
【学歴+実務経験】
建設系の指定学科を卒業することで、実務経験は短縮されます。
学歴 | 実務経験 |
---|---|
建設系大学 | 3年 |
建設系短大 | 3年 |
工業系専門学校(専門士高度専門士) | 3年 |
工業系専門学校(専門士ナシ) | 5年 |
工業高校 | 5年 |
気をつけなければならないのは『建設系の学科を修めていれば、どの許可業種でも受けられる!』というわけではないところ。つまり、学んだ学科に対応した業種以外は受けられないという事です。
例えば、電気工事業や電気通信工事業の建設業許可取得を検討している場合は、電気工学や電気通信工学を修めていなければなりません。
【国家資格の取得】
指定の国家資格を取得すれば、実務経験に関係なく専任技術者の要件を満たす事が出来ます。勉強は必須ですが、何年も実務経験を積む事に比べれば、手間のかからない方法と言えます。
特定建設業許可の場合
「特定」の場合は一般の専任技術者要件を満たした上で更に、受ける許可に関わる建設工事を発注者から直接受注(金額は4,500万円以上)し、2年以上工事の設計〜施工全般を指導・監督した経験等が必要です。
財産的基礎等を有する事
建設工事というのは、工事に必要な資材の調達や調達にかかる費用や外注費、職人に支払う給与など、元請先やお客様から代金をいただく前に発生するコストが多々あります。それらを支払うには、やはり一定以上の財産が必要になってきます。
そのため、建設業許可では財産的基礎を有しているかが求められるのです。
財産的基礎を有するには
「財産的基礎を有している」と認められるには、ある一定の金額以上を有している事が証明できれば条件クリアとなります。
なお、一般建設業許可の場合と特定建設業許可の場合とでは、求められる金額等に違いがあります。
一般建設業許可の場合
一般建設業では、以下が基準となっています。
- 500万円以上の資本金がある
- 銀行口座に500万円以上の資金がある
特定建設業許可の場合
特定建設業では、以下全て該当する必要があります。
- 2,000万円以上の資本金がある
- 自己資本が4,000万円以上ある
- 流動比率が75%以上ある
- 欠損(その年の儲けがマイナス)額が資本金額の20%を下回っている
特定建設業許可の方が条件が厳しいですね。
東京で建設業許可を取得するなら『おさだ事務所』へ
おさだ事務所は建設業許可を専門とした行政書士・社会保険労務士事務所です。
全国一審査基準が高いと言われている東京で、今までに2600件以上もの建設業許可申請を行なって参りました。そして、許可割合は100%です。万が一、許可が降りなかった場合は費用はいただきません。
また、当事務所は労務士事務所も併設しているため、建設業許可取得後の会社運営についてもサポートが可能です!建設業に特化している社労士事務所が少ない中、当事務所は様々なケースに対応してきました。
一人親方からゼネコンまで、力になれる自信があります。ご相談は無料、納得いくまで何度でもご相談ください。
経営業務の管理責任者と専任技術者の兼務
ある条件を満たせば、経営業務の管理責任者でありながら、専任技術者を兼務する事が可能です。特に、個人で建設業を営んでいる方ですと、人員が限られている理由から一人で何役もこなす事は覚悟の上・・・ではないでしょうか。
兼務出来る条件は以下になります。
兼務条件
- 経営業務の管理責任者と専任技術者の要件を満たしている
- 専任技術者として常駐する営業所が本社(本店)と同一。他に専任技術者を配置しなければならない営業所は無い
専任技術者は一つの営業所に勤務する事とされています。そのため、営業所の掛け持ちは認められていません。なお、専任技術者が不在の日が一日でもあると、許可は取り消されてしまいますので注意しましょう。
主任技術者・監理技術者との兼務
経営業務の管理責任者と専任技術者の兼務の他に、主任技術者・監理技術者との兼務についても考えなければなりません。
主任技術者は、許可業者であれば工事金額の大小に関わらず、全ての工事現場への配置が義務付けられています。適正な施工を確保するために、主任技術者の存在は欠かせないのです。
監理技術者とは、発注者から直接請け負った工事を施工するために結んだ下請契約の請負代金が税込総額で4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)になる場合に配置される技術者であり、特定建設業許可が必要です。
専任技術者は営業所に常勤し、その職務に専任として従事する決まりですので、工事現場に配置される主任技術者や監理技術者を兼務する事は原則出来ません。しかし、例外はあります。その例外については次の項目でお伝えします。
【特例】専任技術者との兼務が認められる場合
次の条件全てに該当する場合は、専任技術者との兼務が認められます。
特例として、当該営業所において請負契約が締結された建設工事であって、工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にあるものについては、所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある場合に限り、当該工事の専任を要しない主任技術者又は監理技術者となることができる
引用:監理技術者制度運用マニュアル(PDF)|国土交通省
もう少しわかりやすくなるよう、上記の文章を4つに分割して表してみます。
- 当該営業所において請負契約が締結された建設工事である。
- 工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接している。
- 当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にある。
- 所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある。
『工事現場と営業所が近接している』とありますが、この文章ではどの程度が近接していると認められる距離なのか不明ですね。
なお、東京都の場合は、約10kmを想定しているとの事です。
だいたい新宿駅から品川駅間くらいですね。
まとめ
ここまで、たった一人の個人事業主が建設業許可を取得する為に知っておきたいポイントについて解説させていただきました。
建設業許可はたった一人の個人事業主でも取得可能であり、取得するためにはハードルの高い3つの要件「経営業務の管理責任者等を設置する事」「専任技術者を設置する事」「財産的基礎等を有する事」から、確実に条件クリアを目指していく必要があります。
また、経営業務の管理責任者と専任技術者の兼務、更に主任技術者/監理技術者の兼務はある条件を満たせば可能という事もわかりました。
個人事業主でも法人でも、建設業許可で求められる条件に差はありません。しかし、人員が限られている個人事業主の場合、複数の職務を掛け持ちして更に、許可取得のための手続きを行うのは負担の大きいものです。
そんな時は無理せず、建設業許可専門の行政書士に相談しましょう。
東京都限定で建設業許可を専門に扱う【おさだ事務所】は、今までに多くのお客様の「困った!」に寄り添って参りました。
力になれる自信があります。まずはお気軽にご相談ください。