建設業を営むにあたり、建設業許可は欠かせない申請です。
工事の受注が例年より請けられなかったり、工期が遅れた関係で思うように利益がでなかったりとその年々によっては業績が厳しくなることもあるでしょう。
「赤字決算だったけど、挽回するためにも建設業許可を取得したい!」また、「許可更新の時期に赤字決算だったけど大丈夫だろうか?」など、様々な不安や疑問があると思います。
この記事ではそんな建設業許可の取得や更新への不安が解決できるような内容になっています。
では早速みていきましょう!
建設業許可は赤字決算でも取得可能か
建設業許可の申請をする際には下記の6つの要件のクリアが必要です。
- 経営業務の管理責任者等を設置する事
- 専任技術者を設置する事
- 誠実である事
- 財産的基礎等を有する事
- 欠格要件に当てはまらない事
- 適正な社会保険へ加入する事
今回は、この4つ目の「財産的基礎等を有する事」がかかわる部分になります。
結論から言いますと赤字決算であっても許可をうけることは可能です。線引きとして500万円の資金調達能力があれば大丈夫と言われています。
財産的基礎とは?
財産的基礎は一言でいうと、「事業を継続するための財務力」のことです。
建設工事を請けるにあたり、資材の購入・労働者の確保・機械や工具の購入など一定の準備資金が必要となります。
移動費の経費など営業の活動費も何かと資金は必要です。
このため、許可が必要となる規模の工事を請けおえるだけの財産的基礎等があることが許可の要件となりそれを証明しなければならないのです。
残高証明による確認
預貯金などの証明による確認は金融機関の残高証明の提出が必要です。
金融機関に預けている、当座預金・普通預金・定期預金などの預金残高を同日で証明してもらい、この合計が500万円以上であることが条件になります。
ポイント
- 残高は複数の金融機関での残高合計でも大丈夫です。(ただし同一日での証明が必要です)
- 建設業許可申請をする1か月以内の残高証明が必要です。
- 厳密には、証明する当日のみ500万円の残高があればOK。
困った場合はおさだ事務所へ
赤字決算が何期も続いてしまった場合、取得した建設業許可をとりけされないだろうかと不安になるかもしれません。
ですが、更新に関しても、新しく許可を取得するにあたっても基本的には条件を満たすことで更新や申請は可能です。
許可の条件的には大丈夫だけど、赤字が続いてぎりぎりの経営状況では自転車操業になりかねませんので資本増強も大事になります。
手続きに少しでも不安を感じたり、赤字続きで資金繰りに困った場合は私たちおさだ事務所までお気軽にご相談ください。
これからの事業活動へ必ずお力になります!!
建設業許可の更新申請
建設業許可は一度取得したあと、なにもしなくても良いというわけではありません。
ちゃんと更新が必要です。
そこで本題にもかかってきます、赤字決算の場合での更新です。
実際に更新が難しい場合もあります。
ではどういったことに注意すべきかを紹介します。
建設業許可の有効期限
建設業許可の有効期限は5年です。
引き続き営業していく場合は30日前までに更新の手続きをしてください。
大臣許可の場合は4か月前から、知事許可の場合は2か月前から申請を受付けていますよ。
許可の種類 | 条件 | 例 |
---|---|---|
大臣許可 | 2つ以上の都道府県にわたって営業所を設けて建設業を営む場合の許可 | 大阪府と奈良県に営業所がある場合 |
知事許可 | 1つの都道府県にのみ営業所を設けて建設業を営む場合の許可 | 大阪府高槻市と大阪府茨木市に営業所がある場合 |
特定許可の建設業許可申請
特定の建設業許可とは、工事の下請け代金の合計金額が4000万円(ただし、建築一式工事業については、6000万円)以上となる、下請契約を結んで工事をする場合に必要な許認可です。
特定の建設業では赤字決算の場合、更新申請ができない場合があるんです。
特定の許可の場合は、直前決算で以下の財産要件を満たしている必要があります。
- 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと。
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金の額が2000万円以上であること
- 自己資本の額が4000万円以上であること
これらの要件を満たさなければ、特定許可から一般許可に切り替える般特新規申請と更新申請をする必要があります。
般・特新規申請とは
般・特新規申請とは元々一般の許可を取得している場合に新たに特定の建設業許可を取得する場合、または特定の建設業許可を取得している場合に一般の建設業許可を取得することを言います。
一般許可の建設業許可申請
一般の建設業許可とは、上記でお話した特定の建設業許可以外の許可の事を指します。
たとえ赤字決算だったとしても一般建設業許可は更新申請可能です!
直前5年間建設業許可をうけて継続した実績があれば、財務的基礎も満たすことになります。
許可の更新は、有効期限が一日でも過ぎてしまうと更新できなくなるので気を付けてくださいね!!
許可を受けられない欠格事項
お話ししてきました通り、赤字決算でも建設業許可の申請が大丈夫なことがわかっていただけたと思います。
ただ赤字決算となるとあんまり良いイメージではありませんよね。
そこで気を付けたいのが6つの要件の中にある「欠格要件に当てはまらない事」です。
実は「なにか大きな原因があって赤字になった…」「赤字というイメージを払拭するために嘘偽りの事を提出している…」など、不都合な事を隠しているとなると大変です。
マイナスなイメージを隠すために誤った行動をしてしまうことで許可を受けられない場合があるのです。
建設業者として営む上で大きい問題の項目ばかりではありますが、少し紹介しておきます。
欠格要件とは?
簡単にまとめると…
- 許可申請書に偽りの記載がある場合、また重要な記載が抜けている場合。
- 書類に都合の悪い事を記載していない。
- 今までに警察のお世話になってしまっていたことがある。
- 自己破産後に免責を受けていない。
- 取り消し処分(ペナルティ)を受けて5年経っていない。
- 暴力団の構成員でないこと。
大まかに欠格要件を紹介しましたが、「この前運転中にスピード違反で捕まった…」「執行猶予中の役員が在籍しているけど大丈夫だろうか」など、細かい懸念材料もあるかもしれません。
万が一欠格要件があると、許可が取り消されたり申請できなくなるだけでなく、場合によってはペナルティを課せられる事もありますので注意が必要です。
少しでもお困りのことがございましたら行政書士のおさだ事務所までお気軽にご相談ください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ご紹介いたしましたように、赤字決算だったからといって建設業許可が取れなかったり更新ができないわけではありません。
「赤字」という結果に不安を覚える方もいらっしゃるでしょう。しかし、事業が長く続けば続くほど、業績の良い年ばかりではなく、何度かは業績が良くない時期も必ずあります。
不安を抱えて萎縮してしまわず、気持ちを新たに事業の発展・拡大に向けてこの記事をお役に立てていただけると嬉しく思います。
そして少しでも不安やお困りのことがございましたら、おさだ事務所までお気軽に問い合わせください。
あなた様からのご連絡を、心よりお待ちしております。