建設業許可を取得後、申請内容に変更が生じた場合は「変更届」の提出が求められます。
本社の移転などの場合は前もって準備ができますが、急な人事異動や退職の場合は注意が必要です。会社側も対象となるご本人も時間の猶予がないのでついつい焦ってしまいますよね。
この記事で変更届がいつどんなときに必要なのか、詳しく解説しています。変更届と深く関係がある廃業届についても触れていますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
まずは変更届が必要なシーンを見てみましょう
建設業許可の変更届はどんな時に必要?
変更届とは、届出した内容について変更がある場合に提出するものです。これは変更が出た場合に「その都度」報告が義務付けられています。
ではどんな項目について変更届が必要なのでしょうか?
申請の提出期限は一番早いもので、14日以内です。次が30日以内、4ヶ月以内と3つのパターンがあります。次の項目で期限順に紹介していきますで、ご自分の状況に合うものを探してください。
【14日以内】急いで届出が必要なもの
この項目で説明するものについては「14日以内」に変更届の提出が必要です。
変更があった時点から14日以内ですので、スピーディーに申請を進めなくてはなりません。期限には注意してくださいね。
届出する項目 | 事例 |
管理責任者(経営業務)の変更 | 建設業許可の許可要件の1つ ・増員、減員 ・結婚等による氏名の変更 ・担当者の業種変更など |
専任技術者の変更 | 建設業許可の許可要件の1つ ・増員、減員 ・人事異動(他の営業所へ移動) ・結婚等による氏名の変更 ・担当者の業種、資格区分の変更など |
令3条使用人の変更 | 令3条使用人の例)営業所の所長、支社の支社長 =営業所で工事の請負や契約などを任されている人 ・人事異動による新任や退任 ・結婚等による氏名変更 |
社会保険の加入状況の変更 | ・役員の雇用保険脱退など |
早急に申請が必要な項目は「ヒト」にかかわるものがほとんどですね。
ここで注意が必要なのは、後任を見つけられるかどうかです。後の項目で詳しく説明しますが、後任が見つけられない場合は建設業許可を保持することはできません。
人事に関わる変更があった場合は、その都度建設業許可の変更届が必要かどうかチェックする癖をつけましょう。
【30日以内】余裕はあるけど登記が必要な項目
変更があった時点から30日以内なので、前述の「ヒト」に関わるものに比べて時間に余裕があります。しかし、法人登記に関する項目がほとんどなので事前に法務局での登記が必要です。
バタバタしているとあっという間に30日が過ぎてしまいますので、余裕をもって申請しましょう。
届出する項目 | 事例 |
商号の変更 | ・会社名の変更 ・合同会社や有限会社から株式会社への変更 |
資本金の変更 | ・資本金の増減 |
営業所の変更 | ・営業所の移転、増設、閉鎖 ・営業所の代表電話番号の変更 ・営業所で請け負う工事の業種変更 |
役員の変更 | ・役員の退任、新任 ・結婚等による役員の氏名変更 |
株主等の変更 | ・株主等に当てはまる人物の追加、減少 |
こちらは営業所の電話番号の変更等、細かいものもあります。
ここで大きく目立つのは、会社の顔とも言える商号(会社名)の変更ではないでしょうか。
建設業許可に直接関係なさそうな「役員の変更」や「株主の変更」は忘れがちな変更届の一つです。取りこぼしが無いように注意してくださいね。
【4ヶ月以内】毎年提出が必要なもの
前述の物とは違い、毎年提出が必要なのが「決算変更届(※自治体によって呼び名が違う場合があります)」です。決算後4ヶ月以内に提出しなくてはならないので、3月が決算月の企業の場合は7月末までに提出します。
変更届とは言いますが、財務状況や工事実績をまとめたもので、決算報告書のようなものです。複数年度をまとめて提出するのは違反となります。毎年の提出を守りましょう。
変更届はプロに任せてみませんか?
今までお伝えした変更届は、担当の行政窓口に相談したりインターネットで検索すれば書き方が載っています。もちろん、ご自分で作成が可能です。
しかし、初めての変更届の作成は不慣れで時間がかかってしまいます。また、営業所の変更や人事異動等が一度に色々重なって届け出る内容が複数になった場合、提出書類の数が増えてしまいます。慣れていないと短期間で作成するのは非常に困難です。
そんなときは、プロである行政書士にお任せください。『おさだ事務所』は東京都の建設業許可に関して年間111件以上の実績があります。
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【廃業届】後任が見つからない場合
専任技術者や経営監理技術者などの後任が見つからないなど、建設業許可の要件を満たせなくなってしまった場合は許可を保持できません。
許可の取り消し願いを行政に届出しなくてはならないので、変更届にプラスして「廃業届」が必要です。
これは順番を必ず守ってください。必ず変更届を提出してから、行政の指示に従って廃業届を提出しましょう。
提出順序を間違えただけで大変なことになる場合もあります
順序を間違えて先に廃業届を提出すると、「違反行為など欠格要因があるのを隠すために廃業届を提出して隠ぺいし、再度新規でしようとした」等、悪気はなくても噓の申請を疑われてしまいます。最悪の場合は懲役や罰金などの刑罰が科せられます。
廃業が決まっていても、まずは変更届を提出しましょう。廃業届を提出するタイミングは、変更届を提出したあと行政指導によって指示されます。
期限は廃業となった時から30日以内ですが、ひとまずは焦らず行政からの指示を待ちましょう。
廃業届を提出後、再度建設業許可を受けることは可能?
違反などがあって、建設業許可を取り消された場合5年間は再度許可を取得することは出来ません。しかし、今回のように廃業届を提出して許可を取り消した場合はこの限りではありません。
再度建設業許可の要件を満たした場合は、すぐに許可を再度取得すできます。(許可番号等は新規となります)
廃業届と聞くと「ドキッ」としてしまいますよね。きちんとしたステップを踏んでいれば、該当の業種について許可を再取得することは可能ですので安心してください。
廃業に関する相談も受け付けています。一人で悩まず気軽にご相談ください。
変更届を提出しなかったらどうなる?
変更届の提出は、建設業法で決められています。うっかり忘れて、前述の期限を過ぎてしまった場合どうなるのでしょうか?
実のところは、直ちに罰則はありません。自治体にもよりますが口頭注意や始末書を作成し、即時に変更届を提出するだけで済む場合もあります。
しかし、困ったことになるパターンもありますので2つ紹介します。
更新申請の際に書類を受け付けてもらえない!?
変更届を出していないと、更新申請する際に前回更新分(または新規申請分)と内容が異なってしまいます。そうなると、更新申請を受け付けてもらえません。まず先に変更届を提出し、受理されてから更新申請を開始します。
これは「変更届+更新申請」となるので大きなタイムロスです。更新期限に余裕がある時点で気が付いた場合はいいのですが、更新のリミット直前に気が付いた場合には更新が間に合いません。建設業許可の失効となります。
せっかく苦労して取得した建設業許可です。ご自身のミスで失効してしまわないように気を付けてくださいね。
建設業法第50条「変更届の放置」
行政からの指導を無視していたり、嘘の申告をしたりすると建設業法50条の規定のとおり6ヶ月以下の懲役や100万円以下の罰金があります。さらには、建設業許可をはく奪される場合もあります。
こうなると今後5年間は建設業許可を取得できません。社会的な信用も失ってしまいますので、変更届は忘れず提出しましょう。
まとめ
変更届や廃業届は該当する項目に変更があった時点から14日、30日と期限が決まっています。人事や会社に関わる移動や変更事項がある場合は、常に建設業許可の変更届が必要かどうかを確認する癖をつけておきましょう。
忘れやすいのは、事務所の電話番号の変更や株主の変更、役員の変更です。建設業許可に直接関係なさそうな事柄も変更届提出の対象になりますので常に頭の片隅に置いておいてくださいね。
また、建設業許可の要件を満たせなくなった場合は廃業届が必要です。提出するタイミングも気を付けなくてはなりませんが、本当に廃業以外に方法が無いのか行政窓口や行政書士に相談してみましょう。
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