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建設業の個人事業主必見|青色申告と白色申告の違いと最適な選び方

建設業で独立して仕事を始めると、確定申告の際に青色申告と白色申告のどちらにすればいいのかと迷う方も少なくありません。

選択によっては、節税のしやすさや手続きの手間が大きく変わります。

建設業は、材料費や外注費が多かったり、月によって収入が大きく変わったりと、ほかの業種とは違う特徴があります。

そのため、人によって最適な申告方法は異なります。

ここでは、それぞれの申告方法の特徴と、どんなケースに向いているのかを分かりやすく解説していきます。

建設業の個人事業主は青色申告と白色申告どちらを選ぶべきか

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建設業許可
個人事業主
確定申告
青色申告
白色申告

確定申告の方法は同じ個人事業主でも、事業内容や働き方によって向き・不向きが大きく変わります。

事業規模、経費のかかり方、家族の関わり方、将来の事業計画など、選ぶべきポイントはいくつかあります。

ここからは、青色申告が向いているケースと白色申告が合っているケースを順番に紹介していきます。

まずは、青色申告を選ぶほうがメリットを得やすい場面から見ていきましょう。

青色申告を選ぶほうが良い場合

青色申告とは、きちんと帳簿をつけて申告することで、税金の優遇を受けられる制度です。

名前の由来は、昔の税務署で「青い紙の申告書」を使っていたことから「青色申告」と呼ばれるようになったと言われています。

現在は紙の色に関係なく、制度名としてそのまま残っています。

建設業は青色申告のメリットが活かしやすい業種です。

ここからは、どんな人が青色申告を選ぶと特に得をしやすいのか、具体的なケースを紹介します。

経費が多い

建設業は、ほかの業種と比べても経費がとても多くなりやすい仕事です。

たとえば次のような支出は、ほとんどが経費として計上できます。

  • 材料費
  • 外注費
  • 工具・機械の購入費
  • 車両のガソリン代・修理代
  • 作業服・安全靴・ヘルメットなどの備品
  • 現場までの交通費
  • 事務作業のためのパソコンやスマホ代

経費が多いほど、青色申告の恩恵を最大限受けられます。

建設業はどうしても出費がかさむため、白色申告よりも青色申告のほうが結果的に手元に残るお金が増える場合もあります。

収入の波が大きい

大きな現場がある月は売上が一気に増える一方で、雨や季節の影響で仕事が減る月は収入が落ちることもあります。

また、工期の関係で入金が数か月後になることも考えられます。

青色申告なら、赤字になった年の損失を、翌年以降3年間の黒字と相殺できるという大きなメリットがあります。

白色申告にはこの制度がないため、収入の波が大きい建設業では、青色申告のほうが圧倒的に有利になりやすいのです。

家族に給与を支払っている 

建設業では、家族が事務作業を手伝ってくれたり、現場の送迎や経理をサポートしてくれるケースがよくあります。

青色申告には 「青色事業専従者給与」という制度があり、家族に支払った給与を全額経費にできます。

白色申告の場合は、家族がどれだけ働いても経費として認められる金額の上限が決められています。

上限は配偶者であれば、最大86万円、その他の家族は最大50万円です。

青色申告をすれば、家族の働きを正当に評価でき、事務作業や現場サポートを家族に任せやすくなるのです。 

建設業許可を取得したい

将来的に建設業許可を取りたいと考えている人は、青色申告を選んでおく必要があります。

独立して数年経つと「もっと大きな現場を取りたい」「元請けから許可取得を求められた」というケースもよくあります。

そのときに、白色申告で簡易的な帳簿しかないと、許可申請に必要な資料が揃わず困る

ということが実際に起こります。

将来の事業拡大を考えているなら、早い段階から青色申告で帳簿を整えておくほうが安心です。

白色申告を選ぶ方が良い場合

白色申告とは、比較的かんたんな帳簿で申告できる方法のことです。

青色申告と同様に、かつて税務署で「白い紙の申告書」を使っていたことから「白色申告」と呼ばれています。

白色申告は、青色申告のような特別控除や節税メリットはありませんが、手続きがシンプルで、事前の申請も不要という特徴があります。

ここからは、どんな人が白色申告を選ぶとスムーズに申告できるのか、具体的なケースを紹介します。

売上額や事業規模が小さい

開業したばかりで仕事が少ない、まだ副業レベルでしか動いていないなど、売上や事業規模が小さい場合は白色申告でも十分なことがあります。

次のような事業主にとっては始めやすい申告方法です。

  • まだ仕事量が少ない
  • 経理に時間をかけられない
  • まずは最低限の手続きで始めたい

売上が小さいうちは、青色申告のメリットを十分に活かせないこともあります。

そのため、事業が軌道に乗るまでは白色申告で様子を見るという選択も自然です。

経費がほとんどない

建設業といっても、すべての人が材料費や外注費を多く使うわけではありません。

次のようなケースでは経費がほとんど発生しないこともあります。

  • 元請けから道具を借りて作業する
  • 外注を使わず一人で作業する
  • 車両や工具の購入がほとんどない
  • 現場までの交通費も少ない

経費がほとんどない人にとっては、手続きが簡単で負担の少ない白色申告のほうが向いていることがあります。

特に、開業したばかりでまだ設備投資をしていない人や、スポット的に現場に入るだけの人は、白色申告でも十分対応できます。

継続的に事業を行う予定がない

建設業の仕事を「一時的にだけ請け負う」「今後ずっと続けるかはまだ決めていない」という場合は、白色申告のほうが向いています。

白色申告は、短期間だけ事業を行う人にとって負担が少ない申告方法です。

一方、青色申告は、以下の理由から長く事業を続ける人向けの制度です。

今後「本格的に独立したい」「仕事が増えそう」と感じたら、早めに青色申告へ切り替えると節税面で有利になります。

青色申告承認申請書を出していない

青色申告を利用するには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署へ提出することが必須です。

この申請を出していない場合、その年は自動的に白色申告になります。

青色申告承認申請書の提出期限は、次の通りです。

新規開業の場合:開業日から2か月以内
すでに事業をしている場合:その年の3月15日まで

期限を過ぎてしまった場合は、その年は白色申告で対応し、翌年から青色申告に切り替えるという流れが一般的です。

建設業の個人事業主が青色申告を選ぶメリットと注意点

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青色申告には、建設業の個人事業主にとって大きなメリットがいくつもあります。

まず、青色申告特別控除が受けられるため、節税効果が非常に高くなります。

さらに、赤字が出た場合には3年間繰り越して翌年以降の所得と相殺できるため、売上が不安定になりやすい建設業では大きな安心材料になります。

次に、青色申告のメリットと注意点を詳しく見ていきましょう。 

65万円控除による節税効果がある  

青色申告の最大のメリットのひとつが、65万円の青色申告特別控除です。  

この控除を受けるためには次の条件を満たす必要があります。

  • 複式簿記で帳簿をつける
  • 期限内に申告する(電子申告なら65万円)
  • 青色申告承認申請書を事前に提出している

さらに、収入の波が大きく家族が事務作業を手伝っている場合も多く、工具や車両の購入が多い  といった建設業特有の事情もあります。

そのため建設業は、相性が良く青色申告のメリットを最大限活かせる業種とも言えます。

赤字を3年間繰り越せる

青色申告には、赤字(損失)を翌年以降の黒字と相殺できるというメリットがあります。  

青色申告なら、赤字になった年の損失を最大3年間繰り越せます。

建設業は、大きな現場が入る年と入らない年の差が激しく工事の入金が遅れ、赤字になることが多い業種です。

また、工具や車両の購入で一時的に支出が増えるといった事情もあります。

そのため、赤字を繰り越せる青色申告は税金の負担を平準化できるのです。

信頼性が高まる

建設業は、元請け・取引先・金融機関など、外部との関係がとても重要な業種です。  

そのため、帳簿が整っていることは大きな信用につながります。

特に建設業では、次のような場面で経営がしっかりしているかがチェックされます。

  • 元請けからの取引審査
  • 建設業許可の申請
  • 融資やリース契約の審査
  • 公共工事の入札

青色申告の決算書は、これらの審査で「信頼できる資料」として扱われやすく、白色申告よりも評価が高くなる傾向があります。

建設業の個人事業主が青色申告する場合の注意点

青色申告はメリットが多い一方で注意が必要なポイントもあります。

次は特に注意しておきたい項目です。

  • レシートや領収書を管理して帳簿付けをする必要がある
  • 青色申告承認申請書の提出期限が決まっている
  • 青色申告の制度を正しく理解しておく必要がある
  • 家族への給与には実態が必要になる

材料費・外注費・ガソリン代など、建設業は経費が多いので、レシートや領収書をきちんと保管しておくことが大切です。

青色申告を利用するには、事前に税務署へ青色申告承認申請書を提出する必要があります。

また家族に給与を支払う場合、実際に働いていることが大前提です。

仕事内容・勤務時間・給与額が妥当であることが重要で、形式だけの給与は認められません。

建設業の個人事業主が白色申告を選ぶメリットと注意点

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青色申告は節税メリットが多い一方で、帳簿付けや事前申請などの手間がかかります。

そのため、事業の状況によっては、あえて白色申告を選んだほうが負担が少なく、スムーズに確定申告を済ませられるケースもあります。

白色申告は、初心者にとって取り組みやすい点が特徴です。

ここからは、建設業の個人事業主が白色申告を選ぶメリットと、注意しておきたいポイントを具体的に紹介していきます。

帳簿付けが簡単で手間が少ない

白色申告では、帳簿付けの際に次のようなメリットがあります。

  • 単式簿記でよい
  • 必要最低限の記録で申告できる
  • 経理の知識がほとんどいらない  

複雑な仕訳や貸借の概念を使わず、収入と支出を記録するだけで済みます。

また、「いつ・いくら・何に使ったか」が分かればよく、青色申告ほど細かい分類は不要です。

難しい知識も不要で、手軽に申告ができます。

会計ソフトを使わなくても手書き申告が可能

白色申告は、会計ソフトを使わずに手書きで申告できるほど手続きがシンプルです。

建設業の個人事業主は、現場作業が中心でパソコンに向かう時間が取りにくいことも多い場合もあります。

白色申告であれば次のような手軽さがあります。

  • ノートに簡単に記録するだけで良い
  • 会計ソフトの使い方を覚える必要がない
  • パソコンがなくても申告できる

開業したばかりで売上が少ない時期や、副業として建設の仕事をしている場合にも、負担が少なく取り組みやすい申告方法です。

手続きのハードルが低い

白色申告は、とにかく始めやすいという点が大きな特徴です。

また、帳簿付けのルールもシンプルなので、税務署への届出や準備に時間を取られることがありません。

建設業のように現場仕事が中心で、経理に割ける時間が限られている人にとっては、この手続きの軽さが大きなメリットになります。

複雑なルールを覚えなくても申告できるので、開業したばかりの人や、副業として仕事をしている人にとって、白色申告は取り組みやすいといえるでしょう。

建設業の個人事業主が白色申告する場合の注意点

白色申告は手続きが簡単で取り組みやすい一方、建設業の個人事業主が選ぶ場合にはいくつか注意すべき点があります。

  • 節税効果が小さい
  • 赤字を繰り越せない
  • 融資やリースで不利になることがある
  • 事業を継続する場合は長期的に損をしやすい

白色申告は手続きが簡単な反面、節税メリットがほとんどありません。

また赤字を翌年以降に繰り越すことができないため、翌年の税負担が重くなりやすいこともあります。

白色申告の決算書は経営状況が分かりにくいと判断されることがあり、審査で不利になる可能性もあります。

白色申告は始めやすい反面、長く事業を続けるほど損をしやすい申告方法です。

「今後も建設業で食べていく」「売上を伸ばしたい」と考えているなら、早めに青色申告へ切り替えるほうが長期的に有利です。

建設業の個人事業主が確定申告で抱える疑問(FAQ )

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確定申告は毎年のこととはいえ、制度の仕組みや必要な手続きについて迷いやすい場面が多くあります。

特に建設業の個人事業主は、現金取引が多かったり、家族が手伝っていたりと、申告に関する疑問が生まれやすいのが特徴です。

ここでは、よく寄せられる質問をまとめ、基本的なポイントを分かりやすく解説します。

青色申告と白色申告で税務調査の違いはあるのか  

青色申告だから税務調査が多い、白色申告だから少ないといった明確な差はありません。

税務調査は、申告内容に不自然な点があるかどうかで判断されるため、申告方法そのものが調査の対象を決めるわけではないからです。

ただし、実務的には次のような傾向があります。

青色申告は帳簿が整っているため、調査が入っても説明しやすい
白色申告は帳簿が簡易的なため、内容が曖昧だと指摘されやすい

つまり、調査の「入りやすさ」ではなく、調査が入ったときに説明しやすいのは青色申告となる傾向があるのです。

一人親方が組合加入していても青色申告は可能か  

一人親方として組合に加入していても、青色申告は問題なく利用できます。

  • 一人親方組合に加入している
  • 特別加入で労災保険に入っている
  • 組合を通じて仕事を紹介されている

といった状況でも、青色申告の65万円控除や赤字繰越などのメリットをしっかり受けられます。

むしろ、建設業の一人親方は経費や収入の波が大きいため、青色申告のほうが長期的に有利になるケースが多いです。

青色申告の控除が受けられないケースはあるのか

青色申告では、一定の条件を満たしていない場合は控除が受けられないことがあります。

たとえば、青色申告承認申請書を期限内に提出していない、帳簿付けが不十分で保存がされていない、複式簿記や電子申告など65万円控除の条件を満たしていない、といったケースです。

また、家族への給与を経費にする場合は、実際に働いている実態が必要で、形式的な支払いでは控除が認められません。

基本的なルールを守って帳簿を整えておけば、青色申告の控除は問題なく受けられます。

建設業許可を取得するには、事前からの準備が欠かせません。

おさだ事務所では、許可要件の確認や書類の準備など、許可取得を目指す建設業者のお手伝いをします。

ぜひおさだ事務所までご相談ください。

【参考サイト】

No.2070 青色申告制度|国税庁

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【建設業許可】個人事業主は12月が決算!|確定申告・決算届・経審までわかりやすく解説! | 建設業専門 おさだ事務所

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