「特定建設業許可の更新を予定しているのに、前期決算で赤字が出てしまった!更新に影響がでないか心配…。」
確かに特定建設業許可の更新では、財務状況について厳しくチェックされます。でも、赤字だとしても更新できる可能性はあります!!
「赤字が続いているけど、特定建設業許可の取得ができるのかな?」
重要なポイントは財務的基礎要件への対応です。赤字体質自体は改善が必要ですが、どの条件をクリアすれば取得できるのか、一緒に確認してみましょう!!
今回は、特定建設業許可の「取得・更新」にあたって、赤字決算が出た場合にどう対応するべきかわかりやすく記事にまとめてみました。ぜひ最後までご覧ください。
赤字決算でも財産的基礎要件を満たせば「許可・更新」が可能
結論から言うと、赤字決算でも財産的基礎要件やその他の必要な要件を満たせば、特定建設業許可を取得することは可能です。なぜなら、特定建設業許可を取得する際の財産的基礎要件に、「決算が黒字であること」が含まれていないからです。財産的基礎要件を具体的に見ていくと、以下の4つが挙げられます。
- 資本金が2,000万円以上であること
- 自己資本の額が4,000万以上であること
- 欠損の額が資本金の20%を超えないこと
- 流動比率が75%以上であること
つまり、これらの条件を満たせば財産的基礎要件はクリアできるのです。専任技術者要件など、他のすべての要件を満たせば、たとえ赤字でも特定建設業許可の取得が可能です。しかし、継続的に赤字が出ている場合、財産的基礎要件を満たせなくなる可能性が高くなります。5年ごとの更新のたびに厳しくチェックされるため、赤字が続かないように改善策を採るように気をつけなければいけません。
赤字決算が出た場合の特定建設業許可について
赤字でもどんな条件で許可申請ができる?
赤字の時に一番気をつけるべきことは、「欠損比率」です。「欠損比率」とは、赤字決算により発生したマイナスの繰越利益剰余金が資本金のどれくらいの割合になるかを指します。内部留保などがあれば欠損比率は下がりますが、簡単に言えば赤字の額が資本金の2割を超えてはならないということです。逆に言うと、赤字の額がそれほど大きくなければ問題はありません。
財産的基礎要件についてのその他の要件は、資本金や自己資本の額、流動比率が関係してくるため、赤字決算とは直接的に関係はありません。ただし、長期的に赤字が続けば当然、これらの財務に影響してくることになるので注意が必要です。
赤字の場合の更新について
特定建設業の許可は、原則として5年ごとに更新する必要があります。更新申請には、財産的基礎要件や技術的基礎要件、経営的基礎要件を再度確認するための書類が必要です。赤字決算が出た場合でも、更新申請できますが、次のような場合は更新できない可能性があります。
- 財産的基礎要件を満たさない場合
- 技術的基礎要件や経営的基礎要件を満たさない場合
- 建設業法やその他の法令に違反した場合
- 許可の取消しや停止処分を受けた場合
これらの場合は、更新申請が却下されるか、許可の取消しや停止処分が行われる可能性があります。前述の通り、赤字決算が続いた場合、財産的基礎要件を満たさなくなってしまう可能性が高まります。そのため、赤字決算が出た場合は、早めに改善策を講じることが重要です。
赤字が続くような場合はには、体質改善が必要になります!!早めに手を打っておきたいですよね!!
赤字決算が出た場合の対策
赤字決算が出た場合、その改善を図ることが大切です。一般的に赤字決算が出た場合、次のような対策を検討するのがよいでしょう。
費用計上額を減らす
赤字決算を改善するために、費用計上額を減らすことが重要です。具体的な対策としては、以下が挙げられます。
- 経費を圧縮する
- 費用のうち、まだ消費していない項目があれば前払費用に計上する
- 消耗品にかかった金額をチェックし、10万円以上のものがあれば費用項目以外で計上する
- 債務関係をチェックし、債務免除などを活用できないか確認する
すぐに利益として計上できる方法を実行する
赤字決算を改善するためには、すぐに利益として計上できる方法を実行することも有効です。以下は具体的な方法です。
- 不動産などを売却し、経常利益として計上する
- リースバック(所有する物件を売って、その物件をリース契約で借りること)を利用する
- 資本性劣後ローン(純資産と見なさすことができる)などを利用し、負債額を減らす
- 未回収の売掛金や受取利息がある場合は、回収期限を早めたり未回収分を受け取ったりできないか確認する
- 未払いの買掛金や支払利息がある場合は、支払を待ってもらえないか交渉する
赤字決算による税金の優遇制度を生かす
赤字決算が出たことを利用して、税金の優遇制度を生かす方法もあります。具体的な方法としては以下の通りです。
- 赤字決算の場合、その期間において法人税を支払わなくて済む
- 赤字決算のマイナス金額を翌年以降に繰り越すことができ、法人税還付金を得ることができる
- 青色申告書を提出している場合、赤字額を翌年以降の利益から差し引く「繰越控除」が適用される
赤字決算の注意点
建設業の場合は、建設業許可の申請、または更新に影響が出る可能性があります。赤字になることで銀行からの融資が受けにくくなることや、毎年赤字決算が続くと債務超過で倒産の危険性が高まります。ここでご紹介している対策は、あくまで決算上の対策です。赤字体質を改善し事業を継続して行うためには、売上を増やし、支出を減らすことが大原則です。事業の体質改善については、経営コンサルタントや各自治体の窓口に相談してみるのがよいでしょう。
まとめ
記事の内容を簡単にまとめると次の通りです。
- 赤字決算でも財産的基礎要件やその他の必要な要件を満たせば、特定建設業許可の「取得・更新」は可能
- 赤字決算が出た場合は、「欠損率が20%を超えない」ように注意が必要
- 赤字決算が出た場合は、費用計上を減らす、すぐに利益を計上できる方法を検討するなどの対策が必要
- 赤字決済が続く場合は、財産的基礎要件を満たせずに取得や更新できない可能性が高まる
- 根本的な赤字体質改善のためには売上を増やし、支出を減らす必要がある
事業の経営を行う場合は、法人であっても個人事業主であっても赤字になったときの対策は考えておかなければいけません。どういった対策が採れるか、事業にどういう影響があるかはしっかりと情報収集しておきたいですよね。具体的な手続きなどについてお悩みや分からないことがあれば、ぜひ「おさだ事務所」までお気軽にご相談ください。