建設業許可を申請するときに【登記されていないことの証明書】という書類を添付しなければなりません。「どんなことが書いてあるの?」「どこで手に入れるのか分からない!」と不安になるかもしれませんね。建設業許可を取得する会社の経営陣は【欠格要件に該当しないこと】を証明するため、十分なコミュニケーション能力・判断力があることを【登記されていないことの証明書】をもって証明します。
この記事では【登記されていないことの証明書】の内容や取得方法について解説していきます。
登記されていない?何に?・・・・・・どうやって証明するの!?
この記事を最後まで読めば解決できますよ!
建設業許可取得に必須│登記されていないことの証明書とは
【登記されていないことの証明書】とは、建設業許可を申請するときに必ず添付しなければならない書類の1つで、成年被後見人および被保佐人ではないことの証明書です。そもそも“成年被後見人”、“被保佐人”とは聞きなれない言葉かもしれませんね。厚生労働省には「成年後見制度」というものがあり、この制度を利用すると後見登記等ファイル(情報システム)に氏名や住所などの情報が登記されます。
成年後見制度 とは
認知症、知的障害、精神障害などの理由で、ひとりで決めることが心配な方々は、財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産分割協議などの相続手続など)や身上保護(介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結、履行状況の確認など)などの法律行為をひとりで行うのがむずかしい場合があります。
また、自分に不利益な契約であることがよくわからないままに契約を結んでしまい、悪質商法の被害にあうおそれもあります。
このような、ひとりで決めることに不安のある方々を法的に保護し、ご本人の意思を尊重した支援(意思決定支援)を行い、共に考え、地域全体で明るい未来を築いていく。それが成年後見制度です。
引用:厚生労働省│成年後見制度とは
ポイント
- 登記されていない=成年後見制度利用者でない
- 登記されている=成年後見制度利用者である
つまり【登記されていないことの証明書】とは、自分でしっかり判断する力があり、心と体が健康であることを証明する書類のことですね
なるほど・・・・・・でももし“登記されていたら”どうすればいいですか?
登記されている場合は?
過去に成年後見制度に登記されていても、別の証明書を添付して判断・コミュニケーション能力に問題がないことを証明できれば大丈夫です。法務局で取得する【登記されていないことの証明書】が添付できない場合は、【医師の診断書】を提出します。診断書の作成例を見てみましょう。
診断書の作成例
申請者の氏名・住所など
上記の者は、契約の締結及びその履行に当たり、必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができる能力を有すると診断する。
①各種検査
長谷川式認知症スケール
MMSE
脳の萎縮または損傷の有無
知能検査
②短期間内に回復する可能性
③判断能力について
見当識の障害の有無
他人との意思疎通の障害の有無
理解力・判断力の障害の有無
記憶力の障害の有無
参考:東京都都市整備局│「6確認資料等」(PDF資料)2~3頁
登記されていても、判断力などがあることを医師に証明してもらえればOKなんですね
建設業許可申請時の欠格要件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▼関連記事:【建設業許可】欠格要件って何?該当しないか見極めるポイントを解説します
登記されていないことの証明書│取得方法
登記されていないことの証明書は、法務局で取得します。本人申請・代理人申請、窓口申請・郵送申請など、複数の取得方法があります。
申請から取得までの流れ
登記されていないことの証明書の取得方法をご紹介します。誰が、どこで申請するかによって、内容が少々変わります。大きな流れは、下記のとおりです。
申請の流れ
① 申請書を作成する
② 添付資料をそろえる
③ 窓口/郵送で申請する
詳しくみていきましょう。
①申請書を作成する
申請書は各法務局のホームページにテンプレートがあるので、いつでもダウンロードできます。直接入力するか、印刷した用紙に手書きで記入します。どちらの場合でも「◎証明を受ける方」欄がそのまま証明書に印字されますので、丁寧かつ正確に記入しましょう。
申請する人が役員本人なのか、役員に変わり事務員などが代理人として申請するのかによって書き方が変わります。代理人による申請の場合は、証明を受ける人(委任者)から代理人(受任者)への【委任状】を書いてもらう必要があります。
建設業許可にかかる申請書類なので、ほとんどが役員から会社への委任状ですね
②添付資料をそろえる
申請者本人が申請する場合は、本人確認ができる書類(運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなど)を添付します。窓口申請では直接提示し、郵送申請ではコピーをとって申請書と一緒に送ります。健康保険証のコピーを郵送する時は、保険者番号などマスキング(黒塗り)する場所があるので、忘れないようにしましょう。
代理人が申請する場合は、代理人の本人確認ができる書類(運転免許や健康保険証、マイナンバーカードなど)、委任者からの委任状、代表者の資格を証する書面(代理人が会社の場合)が必要です。ただし、申請書の代理人欄に会社法人等番号を記入の上、添付書類欄の「□法人の代表者の資格を証する書面(□添付を省略)」にチェックすれば、代表者の資格を証する書面は省略できます。
③窓口/郵送で申請する
申請書類ができたら、法務局へ申請します。窓口で申請する場合は、書類一式をそろえて直接法務局へ行きます。多少待ち時間はかかるかもしれませんが、申請書類に不備がなければ当日中に証明書を受け取れます。
郵送で申請する場合は証明書が手元に届くまでには1週間ほどかかります。申請書を送るときに返信用封筒を同封し、東京法務局へ郵送します。返信用封筒は自社名や担当者などの返送先を記入し、郵便切手を貼った状態のものを用意します。法務局の人が証明書を入れて送れるだけの状態にしましょう。
すぐ必要だから窓口申請、法務局が遠いから郵送申請、とか選べるのは便利!
取得時の注意点
窓口で申請する場合、各都道府県に1カ所ほどしかない“本庁”でしか取得できません。“支局”や“出張所”では発行できませんので注意が必要です。混み具合によりますが、10分〜30分ほど待つことがありますので、スケジュールに余裕を持たせましょう。
郵送で申請する場合の宛先は東京法務局1カ所のみです。申請してから手元に書類が届くまで1週間ほどかかりますので早めの申請が必要です。また窓口申請に比べて【申請書の発送料+手数料+切手を貼り付けた返信用封筒】と費用がかかります。
法務局へ直接行く場合も交通費がかかるかもしれませんね。日程、費用を総合的にみてみましょう
登記されていないことの証明書は、残念ながらどこの法務局でも取得できるわけではありません。急いで書類が必要なら本庁に行くしかありませんが、日程に余裕がある場合は郵送で申請するのも1つの方法ですね。
身分証明書との違い
【登記されていないことの証明書】と一緒に添付する書類に【身分証明書】という書類があります。名称や内容が少々似ていて間違えやすいのですが、身分証明書は“破産者でないこと”を証明するための書類です。こちらは法務局ではなく、申請者本人(役員)ごとに、“本籍の市区町村”で取得します。
登記されていないことの証明書、身分証明書はどちらも建設業許可の申請時に必要な書類です
それぞれの内容をチェックして取得しましょう
建設業許可申請に必要なその他の書類については、こちらの記事でまとめられていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
▼関連記事:「建設業許可」の 必要書類は約40種類!?|楽に・確実に申請するには
まとめ
・登記されていないことの証明書とは、【成年後見制度の利用者ではない】ことの証明書のこと
・窓口申請の場合は法務局本庁へ申請する
・郵送申請の場合は東京法務局へ申請する
・本人が申請できない場合は、委任状をもって会社を代理人として申請できる
・似た書類の身分証明書とは、【破産者ではない】ことの証明書で、本籍の市区町村へ申請する
いかがだったでしょうか。“登記されていないこと”をどう証明するのか、ここまで読んだあなたはもうバッチリ理解できたと思います。建設業許可を取得するということは、国民の税金を使う公共工事なども施工する機会があります。そのため役員など経営陣の判断力・コミュニケーション能力を【登記されていないことの証明書】をもってしっかり証明しなければなりません。
建設業許可申請にはこの他にも多数の必要書類があります。業務をこなしながらだとなかなか手が出ない方、申請に不安がある方、東京都での建設業許可取得を考えている方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。