建設業許可の業種は29種類に分かれており、基本的に許可を受けた業種以外の工事は受注できません。しかしそれだと小さな工事でさえも建設業許可を受けている業者を探さなければならず、発注側・受注側ともにたいへん手間がかかりますよね。「許可を受けていない業種だけど小規模だからまとめて請け負いたい」「施工する業種の一部として施工しなくちゃいけない」「許可がなくても施工できる工事はあるの?」そんな悩みをかかえている施工会社さんは少なくありません。
許可を受けていない業種の工事を受注したいときはどうしたらいいの!?
安心してください。建設業許可の中には、受けた許可以外の業種を受注する方法が4つあります。この記事では受注の際のポイントや注意点を解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください!
建設業許可│許可以外の工事を受注する方法【4つ】
許可を受けた業種以外の工事を請け負う方法は、大きく分けて4つあります。まず許可を受けた業種に附帯する部分を施工できる【附帯工事】、請け負うことができるが自社に技術者がいない場合は【下請けに出す】方法、建設業許可を必要としない【軽微な建設工事】、そもそも【許可が要らない工事】があります。具体的にどのような内容なのでしょうか。
詳しくみていきましょう!
方法① 附帯工事として施工する
ひとつの建設工事を行う際、土木工事や鉄筋工事、ガラス工事や水道工事、電気工事や内装仕上げ工事といったさまざまな業種が必要になりますが、それをそれぞれの業者に依頼していたら発注側も受注側も非常に手間がかかります。そこで主たる工事に係る(附帯する)業種については、建設業許可を受けていなくてもその業種を施工できます。
附帯工事とは
附帯(ふたい)工事とは、許可を受けた業種の工事を施工する場合に付随して行われる、許可以外の業種でも必要な建設工事のことです。例えば、電気工事としてエアコンを設置する場合、天井や壁を剥がす【内装仕上げ工事】は必要不可欠な附帯工事です。この場合の【内装仕上げ工事】は【電気工事】の附帯工事として認められるので、電気工事の許可があれば施工できます。
つまりメインの工事を施工するために必要なサブの工事、ですね!
附帯工事として認められないもの
電気工事としてエアコンを設置する場合、その部分の内装仕上げ工事は附帯工事として認められますが、玄関やキッチンなどのエアコンに関係ない場所の内装仕上げ工事は附帯工事として認められません。あくまでも【主たる工事】に【附帯している工事】のみが認められますので注意が必要です。
残念ながら附帯する工事であれば何でも請け負えるわけではありません
許可を受けていない業種ですので、【軽微な建設工事】に該当しない事がポイントです。もし附帯工事のみの工事金額が税込500万円以上になった場合や、他の営業所でその業種の許可を受けていれば、附帯工事とは認められない場合があります。※他の営業所で許可を受けているケースについては大事なポイントなので、詳しくは記事後半でお伝えしますね!
また、附帯工事に該当するとしても、電気工事士など専門の資格がないと施工できない工事もありますので、それらに当てはまらないかもチェックしましょう。
- 主たる工事に附帯しているか
- 軽微な建設工事に該当しないか
- 専門の資格保有者は必要ないか
上記をよく確認してから受注するようにしましょう。
方法② 下請けにお願いする
もし附帯工事として施工できなくても、「受注」そのものはできます。その業種の許可を保有している協力会社に下請けとして施工してもらえばOKです。協力下請け会社に工期や内容を相談し、都合が合えば下請けとして発注しましょう。
ただし、工事によっては○次下請けまでしか現場に入場できない、などの決まりがあるかもしれませんので、元請けに確認してからお願いするようにしましょう。
方法③ 軽微な建設工事として施工する
建設業許可を受けた業種以外、つまり「建設業許可を受けていない業種」の場合、軽微な建設工事として施工できる場合があります。
軽微な建設工事とは
[1]建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
[2] 建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事 引用:国土交通省│建設業の許可とは
方法④ 建設業許可が不要の工事【建設工事とは認められない工事】
そもそも建設業許可を必要としない工事があります。
- 自社で施工する建売用の住宅の建築
- 自家用工作物に関する工事
- 剪定(せんてい)、除草、草刈り、伐採
- 建設機械、土砂、残土搬出などの運搬 など
これらは建設業許可は必要ありませんが、事故やケガには十分注意して施工しましょう
他の営業所で許可を受けているケース
特殊な例として、複数の営業所があり、それぞれ許可を受けている業種が異なる場合は注意が必要です。ある営業所で許可を受けている業種については、他の営業所では受注できません。起こりやすいケースをご紹介します。
例
大工工事業において、A県にある営業所Aでは許可を取得しているが、B県にある営業所Bでは許可を取得していない。
この場合、大工工事業の工事において、たとえ附帯工事や軽微な建設工事に値するような少額の工事でも、営業所Bでは請け負うことができません。ただし解決策として、工事の契約締結のみ営業所Aで行うか、大工工事業の営業所として営業所Bも届け出れば請け負うことができます。【付帯工事】【軽微な建設工事】で受注しようと考えている業者さんは、他の営業所の許可業種にも着目しましょう。
建設業許可の29業種について
国土交通省により、建設業許可には2種類の【一式工事】と27種類の【専門工事】が定められています。事業内容によって必要な建設業許可を受けなければなりません。会社は要件をクリアすれば、1つの会社が何個の業種を取得しても良いのです。ただし、それぞれの業種には取得にかかる要件があるので、すべてを取得するのは容易ではありません。
建設工事と言っても、住宅やビルなどの建物建設工事と、ダムやトンネルなどの土木建設工事では、必要な業種が全く異なります。自分の会社に合った業種を取得するようにしましょう。また、建設業許可の29業種について詳しく知りたい方は、ぜひこちらも合わせてご覧ください。
▼関連記事:建設業許可を取得される方必見!どの業種の許可が必要か取得方法も解説!
まとめ
建設業許可を受けていない業種の工事を受注する方法をまとめました。
- 附帯工事として施工する
- 下請けにお願いする
- 軽微な建設工事として施工する
- 建設業の許可がなくても施工できる工事がある
これらの条件に当てはまれば、建設業許可を受けていない業種でも工事を請け負うことができます。ただしそれぞれに細かい注意点があり、判断を間違えると建設業法に違反したと見なされ、重い罰則や営業停止などのペナルティを受けます。
建設業許可を受けるということは、プロフェッショナルな施工を請け負うということです。技術はもちろんですが、その内容をしっかり理解して正しく受注・発注をするようにしましょう。
建設業許可について不安なことがありましたらぜひ当事務所にご相談ください。