「建設業許可の取得を目指している個人事業主だと、確定申告書が必要って聞いたけど本当?」
はい!個人事業主の場合は、経営管理責任者の証明のために確定申告書が必要です!
「しばらく前の確定申告書が見つからないけど、何年分が必要なんだろう?」
必要な年数はどの業種で建設業許可を受けようとするかによって変わります。もし確定申告書が見つからなくても大丈夫!いざというときの対応法もお伝えします!
個人事業主で建設業許可を取得しようと考えている方は、確定申告書が必要です。確定申告書は、建設業者の財務状況や実績、経営能力を示す重要な書類です。確定申告書を作成・提出する際には、正確に記入し、必要な添付書類もそろえておきましょう。
今回は、個人事業主で建設業許可を取得する際に確定申告書が必要な理由、もし手元に確定申告書がない場合の対処方法まで、わかりやすく解説します!
建設業許可の取得に必要な確定申告書とは?
建設業を営むには、国土交通省や都道府県などの行政機関から建設業許可を受ける必要があります。建設業許可を受けるためには、申請書や添付書類などを提出する必要がありますが、その中に確定申告書も含まれます。確定申告書は、建設業許可の申請において、以下の2つの目的で使用されます。
直近の確定申告をもとにして建設業財務諸表を作成する
新規で建設業許可を取得する場合は、直近の確定申告書(税務署の受付印が押されたもの)を提出する必要があります。直近の確定申告書とは、申請時点で最も新しい決算期(通常は前年度)のものです。直近の確定申告書をもとにして、建設業財務諸表を作成します。建設業財務諸表では、建設業とそれ以外(兼業等)の収入や支出を分けて記載します。
経営業務の管理責任者の証明資料となる
建設業許可を取得するためには、経営業務の管理責任者を置く必要があります。経営業務の管理責任者とは、建設業者の経営に関する重要な事項を決定する権限を持ち、かつ、建設業者の経営に関する知識や経験を有する者です。個人事業主の場合は、本人が経営業務の管理責任者になります。個人事業主として経営を行ってきた実績を、その年数分の確定申告書によって証明できます。なお、建設業許可の要件として、5年から6年以上の経営経験が必要です。そのため、個人事業主以外で経営経験がある場合、その期間分については登記簿謄本などで証明が必要です。
経営業務の管理責任者について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
建設業許可に必要な確定申告書がない場合の対応方法
確定申告は毎年2月16日から3月15日の間に決められた手続きを行わなければなりません。手続きを忘れていたなどの理由で確定申告を行っていない場合も考えられます。また、確定申告をしたとしても、確定申告書の控えを紛失してしまったという場合も考えられます。いずれの場合でも、後から挽回できる対処法があります。ケースごとにどのように対処すればよいか、解説します。
そもそも確定申告をしていない場合
確定申告を行う必要があるにも関わらず、申告をしていないケースです。この場合は、さかのぼって確定申告をする必要があります。過去5年分までは、いつでも申告することが可能です。また、過去に確定申告した内容の修正についても、同じように過去5年分行うことができます。ただし期限を過ぎての申告の場合、当然加算税や延滞税を徴収される可能性があるので事前に税理士などの専門家に相談するようにしましょう。
確定申告書の控えを紛失した場合
ではもうひとつのケース、確定申告はきちんと済ませていたが控えを紛失してしまったという場合です。この場合は税務署に開示請求を行い、控えを再度発行してもらうようにしましょう。開示請求は所轄税務署の窓口か郵送で、保有個人情報開示請求書を提出することで行うことができます。手数料は300円かかります(控えを郵送で送ってもらう場合は返信用切手も必要です)。ただし、控えが手元に届くまで1カ月程度かかりますのでその点は注意が必要です。
建設業許可には青色申告がおすすめ!!
青色申告と白色申告ってどう違う?
確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告は、所得税の特別控除や損失の繰り越しができるため、節税効果が高いとされています。その分、財務諸表を作成しなければならないなど、手続きの手間が多くなります。一方、白色申告は、簡単な帳簿をつけるだけでよく、手間が少ないというメリットがあります。
青色申告がおすすめの理由
建設業許可を取得する場合、青色申告でも白色申告でも取得できます。なぜなら、税務署への確定申告が青色申告か白色申告かどうかは、建設業許可を受けるための要件ではないためです。
白色申告であっても、決められた要件を満たしていれば許可の申請はできます。ただ、建設業許可の申請を行う際には、建設業財務諸表を作成し、提出しなければいけません。青色申告であれば、確定申告の際に財務諸表を作成します。
白色申告の場合には、財務諸表を作成する必要がないため、建設業許可の申請時に改めて作成しなくてはいけません。建設業財務諸表は様式は多少違いますが、すでに一般の財務諸表を作成している場合はそれほど苦労せずに作成することができるでしょう。
そのため、建設業許可を取得する場合には、節税メリットの高い青色申告をおすすめします。
まとめ
ここまでの記事の要点をまとめると以下の通りです。
- 個人事業主が建設業許可を取得するには確定申告書が必要
- 建設業財務諸表や経営管理責任者の証明のために確定申告書を利用する
- もし確定申告をしていない場合は、過去にさかのぼって確定申告を行うことができる
- もし確定申告書を紛失した場合は、税務署に開示請求することで再度発行してもらうことができる
- 確定申告する場合には、節税効果の高い青色申告がおすすめ
建設業許可の取得を考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。もし気になることや不安なことがあれば、「おさだ事務所」までご相談ください。