労務管理

建設業許可の為に労災保険加入は必要!?ケースごとに分かりやすく解説!!

建設業許可を取得したいけども、労災保険に加入しないといけないのかな?」

小佐田

基本は労働者を雇っている事業主は加入が必要ですが、建設業の場合は加入しなくてもよい場合があります!

「一人親方で長年やってきたけれど、自分がケガをしたり働けなくなったりしたら生活に困ってしまうので心配・・・」

個人事業主や一人親方でも労災保険に加入できる特別加入制度というものがあります。

清水

建設業許可の取得、更新に気を取られて、労災保険について対応がおろそかになっていませんか?

建設業では労務災害がつきものです。特に従業員を雇用している事業主は、労務災害があった場合に補償の責任があります。ただ、労災保険に加入する必要があるかどうかは、ケースバイケースです。今回は建設業ならではの労災保険事情についてまとめた記事を書いてみました。建設業許可の取得を考えている事業主のみなさん、改めて労災保険について考えてみるのはいかがでしょうか。

元請け事業者がいる場合は加入不要・直請けは労災保険が必須!?

まず、建設業許可を取得するために、労災保険への加入は必須ではありません。そもそも労災保険は、従業員が労務災害にあった場合に適切に補償されることが目的です。従業員を雇用していなかったり、個人事業主であればそもそも労災保険に加入する必要はありません。例えば足場からの転落や機材の下敷きになるなど、工事現場での事故が発生してしまった時には従業員への補償が必要になります。従業員を雇用している事業主は労災保険に加入していないと、想定外の事態が起こったときに急に大きな支出が発生してしまうことになります。

建設業許可のためには必須というわけではないですが、加入しておく方がお得ということが多々ありますので、自分に合った付き合い方をぜひ考えてみてくださいね。また、建設業の労災保険については、元請け・下請けなどの請負関係があるかどうかが重要なポイントになってきます。

▼改めて請負契約について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

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建設業における労災保険について

元請け事業者がいる場合、労災保険加入は不要

建設業においては、元請け事業者が労災保険に加入している場合、下請事業者の労働者も補償されるため、下請事業者が加入する必要はありません。建設業許可のために労災保険への加入は必須ではないので、元請け事業者がある場合には個別に加入しなくてよいのです。逆に言うと、当然ながら、発注者から直接工事を請け負っている場合には労災保険の加入が必要です。

建設業許可との関係

上記の通り、建設業許可取得に当たっては労災保険への加入は必須ではありません。ただし、その他の社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険など)への加入は義務付けられています。どの社会保険に加入する必要があるかは、雇っている従業員の数によって変わってくるため、事前によく確認しておくようにしましょう。

労災保険とは?

労災保険の概要

労災保険とは、労働者を使用する事業主が加入する義務のある社会保険の一つです。労働者が仕事中や通勤中に事故や病気に遭った場合に、医療費や休業補償、障害補償、遺族補償などの補償費用を事業主に代わって国から支給する制度です。労災保険の保険料は全額事業主負担であり、労働者からの掛金徴収はありません。この保険により、労働者は安心して仕事に取り組むことができ、雇用主も法的な義務を果たすことができます

どんな事業者が加入しないといけない?

原則として、一人以上の労働者を雇用するすべての事業者は、労災保険に加入しなければなりません。ただし、以下のような場合は除外されます。

  • 家族経営であって、家族以外の従業員を雇っていない場合
  • 一定の条件を満たす農林水産業や漁船経営であって、農林水産共済に加入している場合
  • 一定の条件を満たす公務員や国家公務員共済組合員である場合
  • 一定の条件を満たす学校教職員や学校教職員共済組合員である場合

また、個人事業主や一人親方については本来労災保険に加入できません。ただし、一定の要件を満たせば例外的に加入できる、特別加入制度というものがあります。労働保険事務組合などの一人親方等の団体を事業主、一人親方等を労働者とみなして労災保険を適用できます。労働保険事務組合は、業界や地域ごとに存在するため、自分が特別加入する場合、どの組合に所属するのがよいかは事前に確認しておくとよいでしょう。

加入していないとどうなる?

主に労働者を雇用する事業主の場合、労災保険に加入していない場合、以下のようなリスクが発生します。

・労働者が労働災害にあった場合や職業病による医療費が発生した場合には雇用主の負担となる

・労働者が労働災害による休業となった場合、平均賃金の6割の補償を支払わなければいけない

・これらの支払いを行わない場合、雇用主として法的な違反行為とみなされ、30万以下の罰金が科せられる可能性がある

個人事業主や一人親方が労働災害にあった場合、自分自身の医療費を負担しなければならなかったり、働けない期間の収入がなくなったりするので、困ってしまいますよね。

保険料はどのくらい?

労災保険の保険料は、業種や従業員数、賃金総額などによりさまざまです。保険料の負担は事業主が全額負担となります。保険料の詳細については、労働基準監督署や社会保険庁のウェブサイトで確認できます。また、一人親方などの特別加入の場合は、その年の収入に応じて保険料が決まってきます。個別に金額感などを確認したい場合は、お近くの労働保険事務組合に相談してみるとよいでしょう。

まとめ

本日の記事の内容を箇条書きにしてまとめます。

  • 建設業許可取得のために労災保険への加入は必須ではない
  • 従業員を雇っている場合は、労災保険に加入しておくことで不測の支出がなく法的な義務に対応できる
  • 建設業で元請け事業者がいる場合は、元請けの労災保険によって保障される
  • 個人事業主や一人親方は、労災によるけがの医療費や休業補償をしてもらえる特例加入制度がある

みなさんの状況によって、労災保険とうまく付き合っていくように今一度考えてみてください。もし分からないことやお悩みのことがあれば「おさだ事務所」までお気軽にご相談ください!

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