最近目にする、エコアクション21って何だろう?なんとなくエコロジーに関する施策みたいだけど…
経営事項審査にどう影響するのか?エコアクション21を取り組むことによって得られるものは何だろう?
付き合いのある会社がエコアクション21を取り入れたようだ。準備や会社の規模などの条件は厳しい?資金面は大丈夫?
など気になっていませんか?この記事を読めばエコアクション21を進めるにあたって、準備の仕方や取り組む内容、メリットなどがわかります。あなたの会社の評判・業績アップのきっかけになるかもしれません。まずエコアクション21について簡単に説明しましょう。
経営事項審査とエコアクション21の共通点|主な特徴
経営事項審査および都道府県の入札参加における評価として2023年(令和5年)1月より、経営事項審査に「エコアクション21」が評価対象として追加されました。
引用:(株)建設業経営情報分析センター 国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況(W8)
なお、ISO14001とエコアクション21の点数は同じ環境配慮の取り組みなので足すことができません。ISO14001とエコアクション21両方を持つ場合に5点(ISO14001)+3点(エコアクション21)=8点とせず、ISO14001の5点のみの適用です。
「エコアクション21」とは企業や団体が環境保全活動を自主的に行うためのプログラムです。
具体的には、環境保全に関する方針や目標を設定し、その達成に向けた活動を実施し、その結果を評価・改善することで、持続可能な社会の実現を目指します。エコアクション21では、エネルギーの削減、資源の有効活用、排出物の削減など、多岐にわたる環境課題に取り組みます。
このプログラムに参加することで、企業や団体は環境負荷の低減や社会的責任の遂行など、さまざまなメリットが得られます。またエコアクション21の取り組みは、地球環境保全や持続可能な発展を目指す国際的な取り組みにも合致しています。
引用:環境省 簡易パンフレット(PDF)
シンプルで取り組みやすいPDCAサイクル
引用:環境省 エコアクション21建設業者向けガイドライン6ページ(PDF)
エコアクション21は、中堅・中小事業者にも負担の少ない形で取り組みやすい継続的改善を促進するためのPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを特徴とします。
PDCAサイクルを繰り返し、環境への取組と経営の融合、環境経営目標の設定と取組の実施、人材育成、環境面のコンプライアンス、成果の見える化など、さまざまな期待に応え得る組織体制の構築と運用が可能となり、経営力向上と組織の活性化を促進できます。
建設業においては建築物・工作物等のライフサイクル全体が事業活動に含まれるため、本社等の事務部門および建設現場等の両方において環境への負荷を適切に把握し、環境への取組をわかりやすくまとめています。さらにエコアクション21に認証・登録されている事業者は、審査員からさまざまな助言を受けることで、より効果的なスパイラルアップ(継続的改善)を実現できます。
環境経営レポートを作成し公表
エコアクション21では、環境への取組の結果を「環境経営レポート」としてまとめ、公表します。環境経営レボートは、取引先、従業員、家族、自治体などへ自社が環境に配慮した事業者であることをPRするための効果的なツールです。また、環境経営レポートの作成と公表を通じてさまざまな関係者との対話を行うことにより、社会的信頼が高まり、自社の企業価値が向上します。
またエコアクション21では、事業者に環境データの提供を求め、中央事務局がこれを集計・分析し、その結果を事業者にフィードバックします。これらのデータは、自社の取り組みのベンチマークとして活用することができます。さらに、中央事務局は、集計・分析した環境データをまとめ、エコアクション21全体や業種別・規模別などの二酸化炭素排出削減量を公表し、地域別データやバリューチェーン別データを自治体などに提供します。
「エコアクション21」の公式HPでは、すべての認証・登録事業者の「環境経営レポート」が公開されています。具体的な活動を公開することで、評判・評価が高まり会社の発展のきっかけとなるでしょう。2022年度で認証・登録事業者の数は7,455社にのぼります。
引用:エコアクション21中央事務局 エコアクション21認証・登録制度の実施状況(PDF)
中央事務局によると認証・登録事業者の約90%が従業員100人以下の中小事業者とのこと。
取得における大変な所・メリット
エコアクション21の認証取得を考えているなら、まず環境保全活動や環境への対策などの取り組みに注げる人員が確保できるかが大事です。そして取り組む際に乗り越えるべきポイントや得られるものを挙げます。
大変な所
環境経営レポートの提出と公表は、認証取得時と更新に必要で担当者にとって手間のかかる作業です。記録を取ったり書類を作成するのは大変で、従業員の負担が大きくなります。認証取得後も定期的に環境経営レポートを作成・報告しなければならず、専任の担当者を配置できない企業にとっては厳しいです。
また認証取得の準備から取得までには、数カ月・半年以上かかるので長期的な計画と継続が必要です。時間がかかるので思わぬ障害やトラブルのリスクも考えられるでしょう。
エコアクション21は2年更新で、中間審査・更新審査のサイクルの繰り返しです。エコアクション21は事前に書類審査があり、その後、現地審査を実施する流れになります。
なおISO14001は3年更新で、維持審査を2回、3年目に更新のサイクルの繰り返しです。ISO14001は書類審査はなく、原則現地を確認しての審査になります。
今後の貴社の建設業の経営力・技術力の確保や公共工事の入札に関することなど、おさだ事務所は経営事項審査についての相談をお受けします。ぜひこちらへお問い合わせください。
メリット
(1)経費削減
エコアクション21による環境の取り組みによって、省エネやCO2削減などの環境負荷低減はもちろん身近な電気・水道・燃料代のコスト削減につながります。ムダをなくすと作業の効率もよくなります。
(2)低金利融資が受けられる
多くの金融機関で認証・登録事業者への低金利融資を行っていて、これを利用し資金調達できます。
≫エコアクション21関連の融資先一覧はこちら(エコアクション21|Webサイト)
(3)公共工事入札における加点対象
建設業者が公共工事に入札する場合、経営事項審査を受けることが義務付けられています。エコアクション21の認証を取得している場合、地域により審査の総合評点に加点されます。環境問題への取り組みが求められている中、令和5年1月の経審改正で加点対象{W:社会性等(その他審査項目)}でエコアクション21の加点は3点です(ただしISO14001とエコアクション21の両方を持っている場合は、ISO14001のみが評価されます)。
(4)ビジネスチャンスと社会的な信用アップ
現在多くの企業が環境へ配慮した取り組みを取引条件として採用しています。エコアクション21を取得していれば、他社より良い案件が期待できます。
環境問題への意識が高まっている中、エコアクション21による環境経営は社会的な信用を得るチャンスです。毎年作成・公表する「環境活動レポート」そのものが、効果的に得意先や消費者へのアピールになります。
(5)ロゴマークが使える
自社のパンフレットや名刺などにエコアクション21のロゴマーク(® 環境省)が使えます。エコアクション21の取り組みを強くアピールできます。
引用:エコアクション21中央事務局 ガイドライン9ページ
参考:エコアクション21中央事務局 よくある質問
認証取得にかかる費用や登録手続き
「エコアクション21認証・登録制度」は環境省が策定したガイドラインに基づき、取り組みを行う事業者が中央事務局によって認証・登録される制度です。事業者はエコアクション21の取り組みを行った後、最寄りの地域事務局に申請します。審査員が派遣され審査が行われます。審査の結果が「ガイドラインに適合している」と判定されると、認証を取得できます。
中央事務局では従業員30人の場合およそ毎年の審査費用が10万円、2年間の認証・登録料が10万円とのことです。
審査費用
まず審査から入ります。審査費用は、標準審査工数表を基に決めています。事業所での現地審査には、別途交通費等が必要です。審査員1人の1日あたりの費用は、消費税を除いた50,000円です。建設業においては、下記の標準審査工数表から計算します。
引用:エコアクション21中央事務局 審査費用
認証・登録料、更新登録料
引用:エコアクション21中央事務局 認証・登録料及び更新登録料
ガイドラインに適合していると判定委員会に認められた事業者は、認証・登録の契約を事務局と締結する際に、2年分の認証・登録料を支払う必要があります。また、2年ごとの更新審査の際には、2年分の更新登録料が必要となります。以降繰り返します。
引用:【エコアクション】簡易パンフレット3枚目(PDF)
例えば従業員数100人の事業者を想定したとき、登録審査で250千円(250,000円)、1年後の中間審査で125千円(125,000円)、更新審査で225千円(225,000円)の合計600千円(600,000円)以上を見積ります。
ISO14001の初回認証費用は100万円を超えると言います。エコアクション21の方がISO14001よりも費用は安くて済みます。
エコアクション21の導入事例
中央事務局では優良事例に「木下緑化建設株式会社(福岡県福岡市)」を取り上げています。省エネでコスト削減し、若手社員のアイデアでタブレット端末を用いた省エネ活動(仕事の効率化)をやり遂げました。競合他社との差別化もできています。
まとめ
エコアクション21は中小企業にとってメリットの多いシステムです。ガイドラインには環境対策の具体的な方法、PDCAサイクルの説明など具体的な要件があるので環境経営が初めての方にも取り組みやすい内容です。環境負荷(CO2削減や廃棄物削減)は誰でも把握・集計し、環境報告も簡単です。
エコアクション21も経営事項審査において加点対象になりましたので、中小企業の場合はいきなりISO14001を目指すよりもエコアクション21を前向きに考えてみましょう。そろそろ環境経営へチェンジしたい方や環境対策への活動をアピールしたい方は、今回をきっかけにエコアクション21の認証・取得に進んではいかがでしょうか。エコアクションをしながら経営面を向上していけます。
エコアクション21についてもっと知りたいときは、エコアクション21中央事務局に多くの事例と資料がありとても参考になります。ぜひ今後の経営にお役立てください。