長年、会社や一人親方の元で働き、技術を磨いてきた方でしたら独立も視野に入れているのではないでしょうか。
しかし、「独立に建設業許可は必要なのだろうか?」「石工事で許可を取得したい!でも、開業の費用は抑えたい。自分で申請できるもの?」「許可取得には要件をクリアする必要があると聞いた。自分は大丈夫?」といった様々な不安や疑問が出てきます。
そのような疑問を解決するため、この記事では建設業許可が必要な29業種のうち「石工事」にスポットを当て、取得するまでのポイントを解説していきます。
申請までの流れも解説していますので、是非最後までご覧下さい。
石工事で建設業許可を取得するには自分で申請可能?
結論からいいますと、自分でも申請は可能です。
ただ残念ながら、誰でも簡単に建設業許可が取得できるというわけではありません。
石工事で建設業許可を取得するには、どんな要件をクリアする必要があるのか、みなさんはご存知でしょうか。そもそも要件をクリアしていないことには申請さえ出来ませんので、まずはその要件をクリアできるかどうかをチェックしましょう。
補足メモ〜石工事とは
石工事とは、石材、類似のコンクリートブロックや擬石(ぎせき)の加工、積方により工作物を築造し、工作物に石材を取付ける工事のことをいいます。
具体的な工事例としては、石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事などがありますが、主な石工事の工法には、壁石工事があり、湿式工法、乾式工法、接着剤張り工法があります。
一方で、『とび・土工・コンクリート工事』や『タイル・れんが・ブロック工事』にも、石工事の一部の工事が区分されています。
それでは、石工事の建設業許可申請の要件について、詳しく見ていきましょう。
建設業許可を取得するための要件
建設業許可を申請する場合、以下の6つの要件が必要です。
ポイント
- 経営業務の管理責任者等を設置する事
- 専任技術者を設置する事
- 誠実である事
- 財産的基礎等を有する事
- 欠格要件に当てはまらない事
- 適正な社会保険へ加入する事
この6つの要件のうち「①経営業務の管理責任者等を設置する事」「②専任技術者を設置する事」「④財産的基礎等を有する事」の3つの要件は特に重要視しておりますので、当記事では、この3つの要件をピックアップして解説していきます。
経営業務の管理責任者等を設置する事
1つ目は、「経営業務の管理責任者等を設置する事」の要件をクリアしなければなりません。経営業務の管理責任者等とは「建設業の経営管理を適正に行う能力を有する者」をいいます。
これまでは「役員個人の経営経験」に基づき、経営業務の管理責任者を選任していましたが、令和2年10月の法改正により「常務役員個人の経営経験」だけでなく「常務役員を含む社員グループ単位の経営経験」つまり組織の経営経験として、要件クリアを目指せるようになりました。
専任技術者を設置する事
2つ目の要件は、各営業所に「専任技術者を設置する事」があります。専任技術者とは「許可を受けようとする建設工事についての専門的な知識や経験を持つ者」のことで、営業所で、その工事に専門的に従事する者をいいます。
専任技術者になるには、一定の学歴、経験、資格などが求められますが、「一般建設業許可」の場合と「特定建設業許可」の場合で、必要要件が異なります。
財産的基礎等を有する事
3つ目の要件は「財産的基礎等を有する事」があります。建設業を営むには工事着工費用などが必要になりますので、ある程度の資金は確保しておかなければなりません。求められる財産的基礎・金銭的な信用は、「一般建設業許可」を受けるか「特定建設業許可」を受けるかで異なります。
上記の内容や他の要件に関して、もっと詳しく知りたい方は、この記事についてもご覧ください。
この記事もおすすめですので、併せてご覧ください。
建設業許可が不要な場合
建設業許可が必要だと思っている建設工事の中には、実は許可を受けなくても請け負うことができる工事もあります。
ポイント
「建築一式工事」で、①か②のいずれかに該当する工事の場合
①1件の請負代金が1,500万円未満の工事(税込み)
②延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事
もしくは、以下のような軽微な建設工事の場合には、建設業許可が不要です。
「建築一式工事」以外の建設工事で1件の請負代金が500万円未満の工事(税込み)
建設業許可が絶対に必要というわけではありませんが、企業案件などの大きな規模の工事を請負う場合には必須と言えます。
申請手続きの流れ
ここまで要件について解説してきましたが、申請手続きの流れについては以下のとおりです。
項 | 手続きの流れ | 備考 |
① | 書類の整備(捺印など) | 書類の作成、捺印、資料の収集など |
② | 書類を窓口へ提出 | 許可申請するには、提出期限内に必要書類を提出する必要があります。 |
③ | 登録免許税や手数料の納付 | 登録免許税や手数料は、許可の種類によって5万円~15万円となります。 |
④ | 受付 | 書類不備があった場合には、再提出になります。 |
⑤ | 審査 | 審査に際して、立入検査する場合があります。 |
⑥ | 許可 | 「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」とでかかる期間が異なります。 |
許可申請は、提出期限内に必要書類を遅延なく提出できるかがポイントになります。
必要書類について
必要書類は「許可申請書」と「添付書類」からなります。すべてを準備すると約40種類にもなるため、ここでは詳しく紹介できませんが、必要書類についての詳細が知りたい方はこの記事をご覧ください。
審査にかかる期間
建設業許可には「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」の2種類あります。
審査にかかる期間は、提出した書類に不備や問題がない場合の目安は以下のとおりです。
ポイント
都道府県知事許可:1~2か月
国土交通大臣許可:3か月
審査にかかる期間はおおよその日数になりますが、それぞれ期間が異なります。
補足メモ〜知事許可と大臣許可
都道府県知事許可:同一都道府県内のみに営業所を設けて建設業を営もうとする場合
国土交通大臣許可:2つ以上の都道府県内に営業所を設けて建設業を営もうとする場合
「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」について詳しく知りたい方は、この記事についてもご覧ください。
建設業許可の取得はおさだ事務所へ
ここまで読むのにも疲れてきたと思いますが、自分で書類の準備、必要事項の記入、内容の添削、書類の提出まで、通常の業務をしながら、並行して行うだけでも大変ですよね。
申請には時間と労力が相応にかかりますので「自分にはそんな時間もないよ」という方は、建設業専門の行政書士・社労士事務所「おさだ事務所」まで、ぜひお気軽にご相談ください。
建設業許可の面倒な手続きは、私どもにお任せください。
許可の有効期間
ようやく面倒な手続きも終わって許可が取得できたけれども、建設業許可にも運転免許証のように有効期限があります。
許可の有効期間は「5年間」です。有効期間の満了後も建設業を引き続き営もうとする場合には、期間が満了する日の30日前までに、本許可を受けた時と同様の手続を実施し、許可を更新する必要があります。
手続を一日でも過ぎると期間満了とともに、その効力はなくなり、継続して営業することができなくなりますので要注意です。
有効期限が切れる5年後も建設業を継続する場合には、更新手続することで「さらに5年」有効期限が延長されますので、更新のスケジュールをしっかり計画し忘れずに対応しましょう。
石の上にも「3年」、石工事の建設業許可は「5年」と覚えておきましょう。
まとめ
自分でも申請は可能であることがわかりましたね。簡単にポイントをまとめます。
まとめ
- 「都道府県知事許可」か「国土交通大臣許可」か確認する
- 申請に必要な要件を満たしているかチェックする
- 必要書類を準備、整備する
- 登録免許税や手数料を準備する
- 書類を提出する
許可要件を挙げたところで、自社は(自分は)それを満たしているのか、書類に不備がないか等、判断がつかない場合もあります。
自分の苦手とするところは専門家に任せて、その間に新たな工事を請負って本業に専念するーーそのように効率よくお仕事される方が、事業主の皆さんにもメリットがあるのではないでしょうか。
建設業許可のご相談、お困りのこと、少しでも気になることがございましたら、東京の建設業専門・行政書士のおさだ事務所までお気軽にご相談ください。