建設工事を請負う企業では、その工事が公共・民間にかかわらず、建設業法第3条に基づき建設業許可を受けなければなりません。
そんな建設業許可の申請に必要な書類の1つに「略歴書」があります。
略歴書とは何ですか?
略歴書とは、これまでの学歴や職業歴などを分かりやすくまとめた書類です。
ということで、今回は「建設業許可の申請に必要な略歴書」について解説します。
これから建設業許可を申請しようと考えている方は参考にしてみてください。
建設業許可を申請するときの略歴書の記入例
建設業許可の申請の時に提出する略歴書にはどのようなことを記載するんですか?
許可行政庁によって多少異なりますが、略歴書に必要な項目は下記の通りです。
必須項目
- 営業所の住所
- 営業所または申請者の電話番号
- 申請者の氏名
- 申請者の生年月日
- 申請者の職業
- 過去に従事した職務と従事した期間
略歴書を書く時のポイント
略歴書を作成するときには、以下のことに注意しましょう。
注意点
- 会社名は正式名称で書く
- 和暦または西暦で統一する
- 簡潔に説明する
会社名は正式名称で書く
会社名は、略称ではなく正式名称で記載します。
会社名に「株式会社」や「有限会社」などの商号が付いている場合は商号が会社名の前後どちらに付いているかなども確認しましょう。
和暦または西暦で統一する
生年月日や職務に従事した期間を記載する場合は、西暦または和暦で統一しましょう。
西暦と和暦が混ざっていても致命的な欠陥とはなりませんが、揃っていた方が見栄えが良くなります。
簡潔に説明する
従事した職務などを丁寧に説明しようとするとかえって分かりづらくなる場合があります。
略歴書を記載するときは、簡潔に説明することを心掛けましょう。
自分が書いた略歴書が間違っていないか心配な方は、事業の関係者に確認してもらいましょう。
▼こちらの記事では、建設業許可をオンラインで申請する方法やオンラインでできる手続きについて解説しています。建設業許可の申請をPCやスマートフォンなどで手軽に済ませたいという方は、参考にしてみてください。
建設業許可の申請に必要な書類
建設業許可の申請の時に提出する書類は略歴書だけですか?
そんなことはありません。
建設業許可の申請に必要な書類は下記のとおりです。
申請書類の名称 | 法人 | 個人 |
建設業許可申請書 | 〇 | 〇 |
役員などの一覧表 | 〇 | × |
営業所一覧表(新規許可など) | 〇 | 〇 |
営業所一覧表(更新) | 〇 | 〇 |
収入印紙、証紙、登録免許税領収証書または許可手数料領収証書の貼り付け欄 | 〇 | 〇 |
専任技術者一覧表 | 〇 | 〇 |
工事経歴書 | 〇 | 〇 |
直前3年の各事業年度における工事施工金額 | 〇 | 〇 |
使用人数 | 〇 | 〇 |
誓約書 | 〇 | 〇 |
成年被後見人および被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書 | 〇 | 〇 |
成年被後見人又は被保佐人とみなされる者に該当せず、また、破産者で復権を得ないものに該当しない旨の市町村の長の証明書 | 〇 | 〇 |
常勤役員など(経営業務の管理責任者など)証明書 | 〇 | 〇 |
常勤役員などの略歴書 | 〇 | 〇 |
常勤役員などおよび当該常勤役員などを直接に補佐する者の証明書 | 〇 | 〇 |
常勤役員などの略歴書 | 〇 | 〇 |
常勤役員などを直接に補佐する者の略歴書 | 〇 | 〇 |
健康保険などの加入状況 | 〇 | 〇 |
専任技術者証明書(新規・変更) | 〇 | 〇 |
技術検定合格証明書などの資格証明書 | 〇 | 〇 |
実務経験証明書(必要に応じて卒業証明書を添付) | 〇 | 〇 |
指導監督的実務経験証明書 | 〇 | 〇 |
建設業法施行令3条に規定する使用人の一覧表 | 〇 | 〇 |
許可申請者(法人の役員など・本人・法定代理人・法定代理人の役員など)の住所、生年月日などに関する調書 | 〇 | 〇 |
建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日などに関する調書 | 〇 | 〇 |
定款 | 〇 | × |
株主(出資者)調書 | 〇 | × |
貸借対照表 | 〇 | × |
損益計算書・完成工事原価報告書 | 〇 | × |
株主資本等変動計算書 | 〇 | × |
注記表 | 〇 | × |
附属明細表 | 〇 | × |
貸借対照表 | 〇 | × |
損益計算書 | × | 〇 |
登記事項証明書 | × | 〇 |
営業の沿革 | 〇 | 〇 |
所属建設業者団体 | 〇 | 〇 |
納税証明書(納付すべき額および納付済額) | 〇 | 〇 |
主要取引金融機関名 | 〇 | 〇 |
個人事業主か法人かによって必要な書類が異なるので、注意しましょう!
また、書類の書き方は「国土交通省」の公式HPでも公開されているので、参考にしてみてください。
建設業許可の申請には手数料も必要
建設業法第10条では、建設業許可を申請するために「登録免許税」または「許可手数料」を納入しなければならないとされています。
登録免許税
登録免許税とは、建設業許可を新規取得するのに必要な手数料です。
登録免許税の納付額は15万円で、本店の所在地を所管する地方整備局などを管轄している税務署に支払います。
許可手数料
許可手数料とは、建設業許可の更新や業種を追加するときに必要な手数料です。
許可手数料の納付額は以下の通りです。
納付額
▼おさだ総合事務所では、建設業に特化した行政書士・社会保険労務士が建設業許可の申請や建設業運営のサポートをさせていただいております。建設業の運営についてお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
建設業許可は営業所ごとに必要
事業が成長すると、事業の規模が大きくなったり内容が多様化する場合があります。
新しく営業所を設立したり一般建設業を生業としている企業が特別建設業も請負ったりするときには、「変更届」を提出しなければなりません。
一般建設業と特別建設業の違い
一般建設業 1件の建設工事につき合計額が4,000万円未満または建築一式工事の場合は6,000万円未満の工事
特別建設業 1件の建設工事につき合計額が4,000万円以上または建築一式工事の場合は6,000万円以上の工事
また、本店の所在地以外の都道府県へ支店を開設するときは、変更届だけでなく都道府県知事許可から大臣許可への「許可換え新規申請」が必要になります。
都道府県知事許可と大臣許可の違い
都道府県知事許可 1つの都道府県にのみ営業所を設ける場合に必要な許可
大臣許可 複数の都道府県に営業所を設ける場合に必要な許可
支店が本店と同じ都道府県にあれば変更届は必要ですが、許可換え新規申請は不要です。
これらの申請が遅延すると建設業法の違反となるため、注意しましょう!
まとめ
今回は、「建設業許可の申請に必要な略歴書」について解説しました。
- 略歴書に必要な項目は、全部で6つ
- 略歴書を作成するときは、会社名や日付に気を付けつつ簡潔に書く
- 建設業許可に必要な書類は、個人事業主か法人かによって異なる
- 建設業許可の申請には書類だけでなく手数料も必要
- 事業内容が変わったり他の都道府県に営業所を開設する場合には変更届や許可換え新規申請が必要となる
建設業許可は建設業の開業に欠かせないので、申請をスムーズにして最高のスタートダッシュを切りましょう!
ご愛読いただきありがとうございました。