建設業許可を申請するために様々な書類を作成しなければなりません。
その中でも様式第20号「営業の沿革」については、気をつけて記入したい書類のひとつです。
それは人によって記入する内容が大きく異なってくる箇所があるからです。
そんなこと言われても、「記載要領はあるけど、記載する内容のポイントがわからない」「どこから書類を入手すればいいの?」「自分の場合にはどう書けばいいの?」という疑問や不安を抱いている方は多いのではないでしょうか。
そのような疑問や不安を解決するため、この記事では「記載例」や「記載内容」のポイントを解説します。
ぜひ、最後まで読んでいってくださいね。
【建設業許可】「営業の沿革」を書く時のポイントとは?
記入時のポイントは「これまでの人生を振り返り、嘘偽りなく記入すること」この一点だけです。
これまでの人生を振り返るなんて大げさなと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、会社の履歴書を作成するようなものですから経歴詐称や虚偽申告とならないように注意することが大切です。
特に、様式第20号「営業の沿革」に記載されている「賞罰」の欄については、申請窓口でも注目される箇所になりますので、ここに記入する内容が「ある」のか「ない」のかを、しっかり見極める必要があります。
「営業の沿革」とは?
「営業の沿革」には何を書くのか?といいますと、建設業者として歩んできた申請者の歴史を記入します。従って、建設業者として事業を開始してから今日までの歴史を記入することになります。
「この歴史は必ず記載しなければならない」という事項がいくつかありますので、そこについても解説していきます。
「営業の沿革」(様式第20号)には、以下の3点の内容を記入します。
PICK UP
- 「創業以来の沿革」
- 「建設業の登録及び許可の状況」
- 「賞罰」
特に重要なポイントは「賞罰」です。ここはしっかり押さえましょう。
「営業の沿革」を作成する
ここでは実際に「営業の沿革」を作成する手順について、説明していきます。
「営業の沿革」の入手先、および書き方について詳しく見ていきましょう。
書類はどこで入手できるのか?
まず今回フォーカスしている「営業の沿革」を含む、主な建設業許可申請書類はどこで入手できるのでしょうか?それは各官庁のホームページからダウンロードで入手できます。
「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」とでは、入手先が異なりますので注意しましょう。
PICK UP
- 都道府県知事許可:東京都の場合⇒東京都都市整備局(許可を申請する都道府県のホームページから入手します)
- 国土交通大臣許可:国土交通省関東地方整備局|許可申請書(記載要領あり・PDF)⇒【許可申請に必要となる書類の一覧】
「営業の沿革」は、「新規」「更新」の場合には必ず提出する書類です。「許可の追加」の場合には不要となりますが、自治体によりますので、必要に応じて準備することになります。
許可申請 | 要否 | 備考 |
新規 | 〇 | 般・特新規では不要な場合があります。 |
更新 | 〇 | 般・特新規では不要な場合があります。 |
追加 | × | 自治体によっては必要な場合があります。 |
「般・特新規」とは
申請区分の一つに該当します。
「一般建設業の許可」もしくは「特定建設業の許可」のみを持っている者が、持っていないもう一方の許可区分を申請する際に該当する申請区分のことをいいます。
【具体的には】
- 一般建設業の許可のみを受けている者が、新たに「特定建設業の許可」を申請する場合
- 特定建設業の許可のみを受けている者が、新たに「一般建設業の許可」を申請する場合
自分がどこに該当するか、事前にチェックしておいた方が良さそうですね。
今回説明している様式第20号「営業の沿革」については、建設業許可申請に必要な書類のうちの1枚でしかありません。
設業許可申請の必要書類について、もっと詳しく知りたい方はこちらを参照ください。
建設業許可の取得はおさだ事務所へ
建設業許可の申請に必要な書類は「営業の沿革」以外にも数多くあり、記入事項の洗い出しや記入に時間を要します。
「営業の沿革」においては「賞罰」の欄が一番重要です。この欄の書き方は人によっては「なし」で終われない方もいらっしゃるかもしれません。書類に不備があるとそれだけで許可の取得も遅れ、虚偽の申告に該当してしまうと申請も却下されたり、許可の交付後の取り消しにまで発展します。
「自分では判断が難しいかも」という方は、建設業専門の行政書士・社労士事務所「おさだ事務所」まで、ぜひお気軽にご相談ください。
「営業の沿革」に記入する
建設業許可を申請する際に必要な書類の入手先について説明し、「営業の沿革」を作成できるところまでを説明してきました。
では、実際に記入していきましょう。
まず記入前にやること
まずは、自分がこれまでに建設業者として歩んできた歴史をすべて洗い出しましょう。
なぜこのことをポイントとしてあげているかというと、「営業の沿革」が虚偽申告に繋がりやすい書類のひとつだからです。記入漏れや他の書類との整合性がとれるように、必要な情報はメモにまとめるなどして情報を整理してから記入することをオススメします。
記入例
記入例は以下のとおりです。
項目ごとに解説していきますね。
「創業以来の沿革」について
建設業者として、事業を立ち上げてから、今日(現在)に至るまでの歴史を記載します。
「創業」「商号」をはじめ、「名称の変更」「資本金額の変更」「組織変更」「営業の休止や再開」「合併や分割」などがあった場合、すべて記載しましょう。
なお、創業の年月日は、事業を開始した日を記載しますが、個人事業から法人成りした場合には、個人事業の事業開始日をもって創業の年月日とします。同じ商号や屋号において、創業当初は建設業以外を行っていた場合には、その当時の事業を開始した日が創業の年月日となりますので注意しましょう。
記入例の解説
①「個人事業主として建設業許可を申請する方」もしくは「個人事業から法人成りした場合の方」は記入しましょう。
②「法人として建設業許可を申請する方」は記入しましょう。
③「資本金を増資した方」は記入しましょう。年月日を分けて増資した場合には一欄ごとに記入します。
④「商号を変更(社名変更)した方」は記入しましょう。
⑤何らかの理由で「事業を停止したことがある方」は記入しましょう。
⑥「事業を停止して再開した方」は記入しましょう。
「建設業の登録及び許可の状況」について
建設業の最初(初回)の登録、許可について、および「業種の追加」「特定許可」なども記載します。許可を受けた工種(建設業法で「29種類に分類された工事の種類と業種」)や許可番号等も、詳細に記載しましょう。
工種に関係なく今回の建設業許可申請が初回となる方は、この欄は「空白」になります。
記入例の解説
⑦「過去に許可を受けた方」は記入しましょう。
⑧「許可の更新を行わず失効させた方」は記入しましょう。
「許可を受けた工種を更新した」という内容は記入不要です。
「賞罰」について
刑法上のものに限らず、行政処分なども含めてすべて記載します。該当がない場合には「なし」と記載しましょう。
こちらは記入することがないに越したことはありませんが、記入する内容があったからといって建設業許可の申請ができないわけではありませんのでご安心ください。
記入例の解説
⑨「該当しない方」は「なし」と記入しましょう。その際は、年月日の記入は不要です。
⑩「該当する方」のみ記入しましょう。複数ある場合には、複数行に分けて記入します。
申請の際に調査が入りますので、警察にお世話になった方は隠さずに記入しましょうね。
虚偽申告や不正が発覚した場合にはどうなるの?
それは建設業法第47条にその内容が示されており、「虚偽、不正の事実に基づいた営業許可」に該当した場合、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」を受ける可能性があります。
重い罰則が規定されているので、許可を申請する際に虚偽申告や不正申告とならないように気をつけましょう。
PICK UP
■3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(建設業法第47条)
- 無許可で、かつ、軽微な建設工事以外の建設工事を請け負う建設業を営業した場合
- 特定建設業者でない者が一定金額以上の下請契約を締結した場合
- 営業の停止に違反して営業した場合
- 虚偽又は不正の事実に基づいて許可(許可の更新を含む)を受けた場合
情状により、懲役及び罰金を併科されることがあります。
「営業停止処分」や「許可の取消処分」になった場合には、知事許可の場合には「業者名」「所在地」と共に官報や公報に公告されてしまうペナルティがあり、大臣許可においても、その情報が国土交通省のホームページに公表されます。それに加えて、むこう5年間は許可が取得できなくなる恐れがあります。
ここでは紹介しませんが、違反行為と罰則や処分の内容については、建設業法で明確に分けられています。
建設業法違反や罰則、処分について、もっと詳しく知りたい方はこちらを参照ください。
まとめ
今回は様式第20号「営業の沿革」について、フォーカスして解説してきました。ポイントを振り返ってみましょう。
まとめ
- これまでに建設業者として歩んできた歴史をすべて洗い出しする
- 建設業者として事業を開始してからこれまでの歴史を記入する
- 賞罰がある方は漏れなく記載する
- 虚偽申告とならないように嘘偽りなく記入する
「営業の沿革」のポイントでもある「賞罰」欄に、どの内容は記入すべきかという判断を、申請者個人が的確に判断することはなかなか難しいものです。もしかしたら「許可申請すらできないんじゃないか?」と不安に思われた方、諦めてしまった方もいらっしゃるかもしれません。
建設業許可の取得のプロとして培ってきた知識と経験で、アドバイスできることが必ずあります。あなたの力になります!建設業許可のことなら何でもご相談ください!ぜひ一度、行政書士のおさだ事務所までお気軽にご相談ください。