建造物を支えるのにアンカー工事は欠かせない工事です。
日本はとても地震が多い国ですので、耐震補強など外観では見えない部分のアンカー工事がとても重要な役割を担っているのです。
今回は、そんなアンカー工事に視点をおいて、500万円以上の大きな工事を請け負う際に必要な建設業許可の取得についてご紹介します。
アンカー工事ってどんな工事?という基本的な観点から、建設業許可に必要なポイントまで丁寧に解説していますので、これから「アンカー工事で建設業許可を取りたい」と思っている方や、「アンカー工事で建設現場に立ち活躍したい」とお考えの方は必見の記事になっています!!
ぜひ最後まで目を通していただき、今後の活動に役立ててください。
アンカー工事で建設業許可をとるには?
アンカー工事は建設業許可29種の中の「とび・土木・コンクリート工事」の中に分類されます。
ですので500万円以上の工事を請け負うためには「とび・土木・コンクリート工事」での建設業許可取得が必要ということになります。
許可を取得するには《6つの要件》全てを満たさなければなりません。
- 経営業務の管理責任者の要件
- 専任技術者の要件
- 欠格要件に該当しないこと
- 資産要件(500万円以上の預金があるか)を満たしていること
- 適正な社会保険にはいっていること
- 誠実であること
今回はこの中で特に難易度が高いと言われる『経営業務の管理責任者の要件』『専任技術者の要件』について解説していきます。
なお、その他の要件については、こちらの記事で詳しく解説しています。よろしければご覧ください。
経営業務の管理責任者の要件
経営業務の管理責任者は建設業許可取得に必須要件です。
これらの要件のいずれかを満たせば経営業務の管理責任者になることができます。
- 「とび・土木・コンクリート工事業」を営む会社で役員(取締役)として5年以上の経験がある。
- 「とび・土木・コンクリート工事業」以外の工事業を営む会社で役員(取締役)として6年以上の経験がある。
- 「とび・土木・コンクリート工事業」を営む個人事業主として5年以上の経験がある。
- 「とび・土木・コンクリート工事業」以外の工事業を営む個人事業主として6年以上の経験がある。
- 「とび・土木・コンクリート工事業」を営む会社または個人事業主の元で6年以上の経営補佐経験がある
ポイント
- 上記の経験(経営管理経験)はいずれも建設業許可を取得していない事業主の元での経験でも大丈夫です。
- 別業種での経験年数は合算できます。(とび・土木工事業2年+防水工事業2年+造園工事業2年=『計6年の経験』でもオッケーです。)
- 経営の経験年数が6年以上あると、「とび・土木・コンクリート工事」に限らず29業種全ての工事業において経営業務の管理責任者になれます。
かなりの経験が必要ですね…取得したいからと言ってすぐに申請できるわけではないんですね
条件で見るとかなり豊富な経験が必要になります。ただし、上記の経験を持った人が常駐していれば取得は可能ですので、すぐにあきらめる必要はありませんよ。
専任技術者の要件
専任技術者になるには下記の条件が必要になります。
- 対応する国家資格を持っている
資格 | 備考 | 資格合格率(一次) | 資格合格率(二次) |
1級建設機械施工技士 | 29,7% | 72,4% | |
2級建設機械施工技士 | 第1種~第6種 | 50,3% | 82.5% |
1級土木施工管理技士 | 60,6% | 36,6% | |
2級土木施工管理技士 | 土木・薬液注入 | 73,6% | 35,7% |
1級建築施工管理技士 | 36% | 52,4% | |
2級建築施工管理技士 | 躯体 | 49% | 52,9% |
技術士「建設・総合技術監理」 | 建設・鋼構造及びコンクリート・農業土木・水産土木・森林土木 | 31,3% | 11,6% |
資格の取得が一番お手軽かもしれませんが、合格率をみるとなかなか厳しいものがあるかもしれません。
- 指定学科を卒業し、かつ、一定の実務経験がある
指定学科 | 実務経験 |
大学で土木工学又は、建築学に関する学科を卒業 | とび・土木・コンクリート工事業の実務経験が3年以上 |
高校で土木工学又は、建築学に関する学科を卒業 | とび・土木・コンクリート工事業の実務経験が5年以上 |
- 10年以上の実務経験がある。
「とび・土木・コンクロート工事業」で10年の実務経験があれば専任技術者の要件を満たすことができます。
今回解説いたしました「経営業務の管理責任者の要件」「専任技術者の要件」は、経験年数や資格の有無がとても重要なポイントになります。
この要件をクリアする事で、建設業許可の取得にぐっと近づきますよ。
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アンカー工事とは?
アンカー工事とは、アンカーボルトを使った工事のことを言います。
身近にある自動販売機の設置から、大きな建造物の補強など用途として幅広く使われており建設工事の中でもとても重要な工事の一つです。
主にコンクリートに対して打ち込む形になるのですが、まずはどのような目的でつかわれているかご紹介します。
アンカー工事の主な目的
アンカー工事は主に地盤の強化や構造物の固定に使われます。
このような補強は大変重要であり、アンカー工事がなくては建造物を建てることはできないのです。
まさに縁の下の力持ちってことですね!!
補強や固定だけでなく吊り下げに使われたりもしますよ。主な目的をあげてますので見ていきましょう。
使用用途 | 内容 |
耐震補強用 | 地震などが発生した際の構造物絵の影響を軽減するよう、構造物に耐震性を持たせます。 安定している岩盤と斜面をアンカー工事で直接緊結しがけ崩れや、地すべりへの対策をします。 |
コンクリートの補強筋 | コンクリートを使用した施工において、無筋だと強度が出ません。 その為、アンカー工事によって筋を入れることで強度が増し、より強固な建築物を建設することができます。 |
構造物の固定用 | 安定した岩盤と構造物を固定し、安定性を高めます。大きなものを想像しますが身近な自動販売機の固定も、この中に含まれます。 |
天井内の下地吊りボルト固定用 | 何もない天井で下地を吊るす際、不安定な下地になります。吊りボルトで固定する事でより頑丈で安定した天井下地を組むことができます。 |
配線ラック・配管の固定 | 漏電などの事故を防ぐためにアンカー工事によって所定の場所にしっかりと固定する事を目的としています。 |
用途を見ていただくとアンカー工事の重要性がよりお分かりいただけると思います。
これだけ大事な役割を担う工事ですので、様々な資格も関わってきます。
資格一覧はこちら→【日本建築あと施工アンカー協会】参照
あと施工アンカー工事
次は簡単に施工方法をご紹介します。コンクリートにアンカーを打ち込むのですが、打ち込み方にもいくつか種類があります。
金属系アンカー
金属系アンカーはコンクリートに削孔した穴の中でアンカーボルトそのものが拡張し、突っ張る効果をもたらすことで固定します。
耐久性や耐食性、耐火性に優れる特性を持ち、建築や交通インフラに使用されることが多いです。
接着系アンカー
接着系アンカーは、コンクリートに削孔した穴に接着剤を流し込み、そこにアンカーボルトを挿入する事で接着剤を撹拌させ、固定する方法です。
コンクリートの固着強度や耐熱性があらゆる場所での汎用度が高いので、核構造物に使用されています。
そのほかにも様々な施工方法があるので、詳しく知りたい方は下記のリンクから確認してみてくださいね。
【日本建築あと施工アンカー協会】参照
そもそも建設業許可って必要なの?
おおまかに言うと、500万円以上になる大きな工事を請ける場合に建設業許可が必要になります。反対に、500万円に満たない軽微な工事の場合は建設業許可がなくても工事ができます。
ただし、必ず必要な業種もあるので工事を請け負う際には注意が必要です。
建設業許可取得のメリットとデメリット
建設業許可の取得は、建設業を営む方にとって、大きな一歩になります。
多くの場合、建設業許可の取得はメリットとなるのですが、今回はデメリットも含めて紹介したいと思います。
5つのメリット
特に大きなメリットになるポイントを紹介します。
- 500万円以上の工事を請けることができる
- 社会的信用が圧倒的に増す
- 公的な融資制度を利用できる可能性が増える
- 大手ゼネコンの下請けになる事ができる
- 公共工事に参入できる
上記の項目だけでも十分にメリットとして考えられるのではないでしょうか。
事業の拡大には欠かせない項目の数々ですね!
4つのデメリット
建設業許可の取得には様々な要件のクリアが必要となるので容易ではありません。
では、反対にデメリットも紹介いたします。
- 許可の取得には最低10万円程度、維持にも5万円程度の費用がかかる
- 年に一度決算変更届や、5年に一度の許可更新など取得後の継続手続きもなにかと煩わしい
- 途中で欠格要因などがひっかかってしまうと、許可が飛んでしまうことがある。(再度取得は条件が厳しくなることが多い)
- 一括下請負の禁止や技術者の配置等、様々な建設業法に縛られる事が出てくる
メリットも大きいですが、上記のようにデメリットに感じる部分があるのも確かです。
ただ、これからの発展を考えると建設業許可取得は間違いなく重要です。デメリットを乗り越えても取得する価値は大いにありますよ!
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はアンカー工事に視点を置き、
- 建設業許可取得へ『経営業務の管理責任者の要件』『専任技術者の要件』のポイント
- アンカー工事の重要性
- 建設業許可取得のメリットデメリット
について、ご紹介いたしました。
アンカー工事業として活躍されている方や、これからアンカー工事業をして始めていきたいといった方には、興味を持って読んでもらえたかと思います。
『建設業許可』の取得は、建設業を営まれている方たちにとって、今後の事業拡大に欠かせない申請です。今まで時間もなく躊躇っていたり、まだ始めたばかりでこれから大きな工事を請けていきたい、というような方はこの記事を読んで大きな一歩を踏み出していくきっかけを掴んでもらえると大変嬉しいです。
少し難しい内容もあるので大変そうだなと感じる事がありましたら、いつでも私たちおさだ事務所へご相談ください。
あなた様のご連絡を心よりお待ちしております。