建設業許可をさく井工事業で取得しようとお考えですか?
建設業許可取得のために何から始めれば良いか分からない方も多いと思います。
簡単に言ってしまうと、「要件さえクリアしていれば、書類を作って申請!」ですが、書類は40枚以上ありますし、そもそもご自分の会社(事業)が要件をクリアしているかどうかも分からず不安ですよね。
この記事では建設業許可取得の「ゴール」へ向けた簡単なフローを紹介しています。「まずは何をしたらいい?」等、全体のおおまかな流れを掴みたい方はぜひチェックしてください。
また、後半ではさく井工事業の建設業許可で必要な「専任技術者」について詳しくまとめています。退職などで専任技術者が不在になってしまった場合の対処法を紹介していますのでご一読くださいね。
規模が小さい事業所や少人数で経営している法人の場合、人員配置について注意が必要ですのでこの記事で確認してください!
【さく井工事】建設業許可申請のフロー
建設業許可の取得は、以下のようなフローで作業を進めます。
建設業許可取得への道のり
- 建設業許可を取得する業種を決める
- 建設業許可取得の要件をチェックする
- 書類や人材の確保
- 申請
まずは1つ目の業種の選択について、次の項目でチェックしてみましょう。
さく井工事業に含まれる工事
さく井工事は大きく9つに分かれています。
この9つの中にご自分が請け負う専門工事がある場合は、さく井工事業で建設業許可を取得が可能です。
項 | さく井工事の種類 | 工事の概要 |
1 | さく井工事 | 地下水を汲み上げるための井戸を掘る工事等 |
2 | 観測井工事 | 地盤沈下の観測や地下水位の観測のための観測装置の設置に関する工事 |
3 | 還元井工事 | 汲み上げた地下水を戻したり、地熱発電後の蒸気を還元するための井戸を掘る工事 |
4 | 温泉掘削工事 | 温泉を掘ったり、地熱発電のために穴を掘る工事 |
5 | 井戸築造工事 | さく井工事で開けた穴を利用して井戸を設置する工事 |
6 | さく孔工事 | 爆薬等で地面や石材、鉄筋コンクリート等に穴をあける工事 ※一見さく井とは関係なさそうですが、さく井工事の技術を応用しているため |
7 | 石油掘削工事 | 石油を掘る工事 |
8 | 天然ガス掘削工事 | 天然ガスを掘る工事 |
9 | 揚水設備工事 | 地上まで湧きあがらない地下水等を汲み上げる設備を設置する工事 |
以上のリストにご自分の専門工事がない場合、ほかの業種に該当する可能性がありますので再度検索してみましょう。
国土交通省のホームページに建設業29業種について詳しく解説された表が公開されています。特に表の中の「建設工事の例示」の部分が分かりやすいので、内容を詳しく読んでみてくださいね。
リンクから該当の表へ直接ジャンプできます。国土交通省HP
ボーリング調査はさく井工事に含みません
さく井工事はボーリング工事と呼ばれることがあります。
「ボーリング」といえばよく耳にするのが地盤調査ですね。しかし地盤調査は上記の表には記載されていません。構造物を作成する工事ではないので、建設業許可が必要な業種には該当しないからです。
ご自分が申請する業種を選択する際には十分注意し、間違いの無いよう準備を進めてください。
業種が決まったら建設業許可取得のための要件をチェックしてみましょう!
建設業許可取得の要件とは!
建設業許可取得のためには、何が必要なのでしょうか?
人材やお金の他にも、社会的信用を得るために必要なものがあります。以下6項目を見てみましょう。
項 | 建設業許可の要件 | 概要 |
1 | 経営業務の管理責任者 | 建設業を営む業者での役員、もしくは個人事業主の経験が5年以上ある |
2 | 専任技術者 | さく井工事業に関する資格や実務経験について、国が定める基準以上ある(年数は条件により異なる) |
3 | 誠実性 | 過去に不正や不誠実な行為が無い |
4 | 資金力 | 500万円以上の資金がある |
5 | 欠格要件に該当していない | 過去5年で懲役刑を受けていない、暴力員でない等 |
6 | 社会保険に加入している | 2020年の建設業法改正により健康保険などの社会保険への加入が義務化 |
6の社会保険の加入についての項目は2020年の改正で実質義務化された要件です。
法人の場合は従業員数に関わらず、社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)の加入は必須です。従業員を5人以上雇用している個人事業主に対しても社会保険の加入が必須条件となりました。
逆に従業員が4人以下の個人事業主は社会保険の加入義務はありません。
建設業許可の要件について詳しく説明されている動画がありますので、ぜひ視聴してみてください。
※音声が出ますので、再生時には注意してください
さぁ、必要なものが分かったら全てを揃えて申請すればOKです!
建設業許可の申請はおさだ事務所へ
以上で建設業許可取得への流れがハッキリしましたね。しかしここから実際に申請し、許可を受けるまでがとても大変な作業なのです。
実は、建設業許可を申請する都道府県によって、書類や申請内容に様々な癖があります。個人でそれらすべてを把握し、建設業許可を取得するには沢山の時間が掛かってしまいますね。
ぜひプロに任せてみませんか?
おさだ事務所では、的確なヒアリング、迅速な書類作成、あなたに合ったアドバイスが可能です。建設業許可を取得するにあたっての不安や疑問にもお答えしますので、ぜひ一度お気軽にご連絡ください!
さく井工事の専任技術者を深堀り
さて、ここまでの情報はほかの記事でもよく見かけますが、この記事では専任技術者について少しだけ深堀していきます。専任技術者は、請負契約の管理や見積もり、契約先との交渉等を担当し事務所でデスクワークする人材です。
実際に現場で工事を管理するのは主任技術者や監理技術者ですので間違えないようにしてくださいね。
以下の記事では、監理技術者や主任技術者との違いについて詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
内部リンク予定「建設業許可を取得したら監理技術者って必要?規制緩和のポイントも紹介!」
さく井工事の専任技術者
- さく井工事業の実務経験が10年以上ある人
- 指定学科(土木工学、鉱山学、機械工学、衛生工学)を卒業し、実際のさく井工事の実務経験がある人
- 職業能力開発促進法「技能検定」(さく井)等、国家資格等を有する人
この3つのうちどれかを満たしていれば、さく井工事の専任技術者になる資格があります。
コロナ禍で、オンライン商談等ある程度のリモートワークを許容されるようになりましたが、各営業所に必ず常駐しなくてはならない重要な人材です。
しかし、従業員数が少ない会社だと急病や、退職等で専任技術者が突然不在になってしまう場合があります。専任技術者になるための資格を持っている人材が他にいない場合はどうしたらいいのでしょうか?
【困った】専任技術者が不在になる場合
専任技術者が退職してしまいます!どうしよう!
ほかに専任技術者の要件を満たしている人材が在籍している場合は、変更後(前任者の退職後)14日以内に専任技術者が交代する旨の変更届を提出しましょう。変更が完了すれば、今まで通り建設業許可の保持が可能です。
専任技術者の変更
専任技術者の退職後、14日以内に変更届を提出
新たな人材を用意できない場合は、専任技術者が退職した旨を届け出ます。こちらも退職後14日以内に届け出る必要があります。
届け出後、専任技術者が不在(=要件を満たしていない)になるので建設業許可を保持し続けることはできません。変更届の提出後は廃業届を提出して、許可を取り消します。
「廃業届」というとドキッとしますよね。
この後専任技術者を再度確保できた場合、ほかの要件を満たしたままであればすぐに建設業許可を復活(取得)させることが可能ですので安心してください。
代わりが見つからない場合
専任技術者の退職後14日以内に変更届を提出。その後廃業届を提出して許可を取り消し
※廃業届を提出後、再度要件を満たせば建設業許可を取得可能
困ったときは行政書士へ相談
建設業許可取得後も安心はできません。会社を取り巻く環境や人材は常に変化していきます。建設業許可の要件はいつも頭の片隅に置いておきましょう。
欠格要件があった場合はすぐに担当行政や、行政書士へ相談して早めに対処してくださいね。
各種変更届、建設業許可の更新もお手伝いしますのでご相談ください。
将来に向けた人材育成を!
急な欠員にその場で対応するのは難しいことです。
継続して建設業許可を保持するためにも、従業員育成に力を入れましょう。
- 実務経験のみでも専任技術者になれるような人材を育てる(長期雇用)
- 国家資格取得のための補助
- 要件を満たす学歴を持つ人材を常に募集する
従業員がやる気を持って、仕事ができる環境を整えることが大切です。意欲のある人材には会社側から国家資格の取得を勧めてもいいかもしれませんね!
事業拡大のためにも、人材育成に力を入れてみましょう。
まとめ
全体の流れはつかめましたか?
細かい要件については担当行政の窓口で相談することも可能ですので、まず第一歩を踏み出してみましょう。
建設業許可を取得している業者は平成12年のピークを境に減少傾向が続いており、建設業界全体は縮小が続いています。
しかし、さく井工事は災害対策として井戸・地下水の利用のための工事や、再生エネルギー関連の工事にもかかわるため将来性がある事業です。
安定的に経営を続けるためにも、ぜひ将来に向けた人材育成を始めましょう。
もちろん今から始めても遅くはありません。ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね!