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【令和7年改訂】【大臣許可】【関東地方整備局】経営事項審査の手引きが公開!最新の変更点まとめ

令和7年4月、関東地方整備局は「経営規模等評価申請・総合評定値請求の手引き」に関する改訂を行いました。

これにより、経営事項審査に関する実務が少し変わります。

今回は、大臣許可に関する改正のポイントをわかりやすく解説し、実務上の注意点を整理していきます。

【令和7年1月改正】経審処理期間の変更

大臣許可の経営事項審査(経審)は処理期間が標準で5週間です。

これが令和7年1月より、電子申請(JCIP)にて経審をうけると大幅に短縮されるようになりました。

経審の書類に問題がなければ、審査終了の翌⽉曜に結果通知書が発⾏され、最短1週間で処理が完了します。

書⾯申請と⽐較すると、電子申請では発⾏までに最⼤で4週間の短縮となったのです。

以前は2カ月弱ほど処理に時間を要していましたので、それから比較すると非常に早くなっています。

今回の処理期間の短縮により、経審業務に余裕が生まれる可能性があります。

令和7年度は主に電子化に伴う変更が多く、電子申請が徐々に広まってきているのがわかります。

【令和7年7月予定】資本性借入金に係る事務取扱いについて

審査基準日が令和7年3月31日以降で単独決算を申請している業者を対象として、経審上自己資本とみなすことのできる資本性借入金の取扱いが変わります。

主に以下の要件に当てはまるものが該当します。

返済期限が5年以上あること
弁済順位が一般の債権よりも劣後していること
利益連動の返済条件があること
公認会計士等による証明書や契約内容を証明する書面があること

資本性借入金は、これらの要件を満たせば自己資本と同等に評価されるようになります

これにより、「自己資本額」や「自己資本比率」が増加し、経営状況評価(Y点)に良い影響を与える可能性があります。

次に、令和7年度4月の経審手引きの変更点について詳しく見ていきましょう。

【令和7年4月版】工事経歴書の記載方法に追記

建設業
経営事項審査
経審
大臣許可
国土交通大臣許可
関東地方整備局
最新
2025年度
令和7年度

今回、工事経歴書の書き方の説明に修正がありました。

経審用の工事経歴書は、記載のルールが複雑です。

作成に慣れている人であってもうっかり見落としてしまうような決まりもあります。

関東地方整備局の手引きでは、とても細かくわかりやすく工事経歴書の作成方法が説明されています。

決算変更届を提出した時に工事経歴書が経審用で作られていなかった場合、、経審を受ける際に再度工事経歴書を作り変えて再提出しなくてはなりません。

さらに、経審では工事経歴書をもとにして「工事請負契約書」「注文書+注文請書」の確認書類を添付しますので、早い段階で正しく工事経歴書を作成することが求められます

しっかりと手引きを見ながら工事経歴書を作りましょう。

【令和7年4月版】法令根拠の変更

旧:「講習受講」・・・『法第26条の4から第26条の6』まで
新:「講習受講」・・・『法第26条の6から第26条の8』まで

建設業法に基づく講習制度の根拠条文が変更されました。

誤って古い法令を根拠に準備してしまうと、申請の差し戻しや確認作業の手間が増えてしまう可能性があります。

条文まで確認をしながら申請書類を作成する人はあまりないかもしれませんが、常に新しい手引きを確認するようにしましょう。

【令和7年4月版】専門業種の表記の明確化

計装について、資格等級が明示されるようになりました

旧:「063 計装」
新:「063 計装(1級)」

経審では等級区分が評価・点数に影響するため、正確なものを確認しておくようにしましょう。

【令和7年4月版】電子申請利用時の添付書類の省略可

今回、電子申請利用時において一部の書類提出が不要になりました。

「工事経歴書」(JCIPで決算変更届を出している場合)
「直前3年の施工金額(直3)」(JCIPで決算変更届を出している場合)
「貸借対照表」(JCIPで決算変更届を出している場合。二期平均時はさらに前回の経審をJCIPで行っている場合)

JCIPは運用を開始してまだ時間がたっていないので、手引きに頻繁に修正が入ります。

しかし、回数を重ねるにつれて電子で保存される情報が増えるので、省略可能な書類も増えてきます。

JCIPを活用することで事務負担が軽減され効率的になりますので、電子申請が可能であれば積極的に利用するようにしましょう

また、経審の手引きには「経営事項審査チェックシート」があり、紙提出版と電子申請(JCIP)提出版があります。

チェックシートを見ながら書類を準備するとよいでしょう。

【令和7年4月版】確定申告書類の取扱いの変更

消費税関係の書類提出について、次のように変わりました。

:確定申告書は税務署の受付印が必要
:受付印は不要。申告者控えのみで可

また、e-Tax提出データの印刷提出についても変更があります。

:送信データ受付メッセージが必要
:この要件は削除

2025年1月1日以降、税務署に提出する申告書等の控えへの収受日付印(受付印)の押なつが廃止されました。

いままであった受付印がなくなり戸惑うかもしれませんが、これも電子化や事務作業の効率化に伴う動きとなります。

またe-Tax提出において納税情報取得機能が利用できるようになったため、受付メッセージの添付の手間が省けるようになりました。

書類の不備が減り​スムーズに審査が進みますね。

【令和7年4月版】自己資本額・利益額の添付書類の変更

経審ではX2と呼ばれる評価項目において、自己資本額と利益額を基に計算が行われます。

 自己資本額は貸借対照表の純資産の合計額であり、営業利益と減価償却額の平均が利益額となります。

この金額が高ければX2評点も高くなりますのでとても重要な項目です。

自己資本額(項番17)

自己資本額を確認するための貸借対照表については、決算の種類により添付が異なります。

:単独決算の場合:基準決算は添付不要。2期平均の場合は当期分と前期分を添付
連結決算の場合、基準決算、2期平均ともに当期分と前期分を添付
:単独決算の場合:基準決算は添付不要。2期平均の場合は当期分と前期分を添付
連結決算の場合:基準決算は当期分を添付。2期平均の場合は当期分と前
期分を添付

単独決算とは、親会社(あるいは本体企業)単体の経営成績や財務状況を表す決算のことです。

連結決算とは、親会社とその子会社をひとつのグループとしてまとめた決算です。

資本関係のある関連会社がある場合は、単独決算か連結決算のどちらかになりますので、確認しておきましょう。

基本的に、公共工事を単独で請ける際には子会社であっても単独決算にて経審を受審することになります。

また、「基準決算」「2期平均」かを選ぶことが可能で、P点の高くなる法を選択するのが通常です。

電子申請の場合は、次のようになります。

:提出した申請書をPDFにして添付
:基準決算の場合 :決算変更届を紙で提出した場合、決算変更届をPDFにして添付

決算変更届をJCIPで提出した場合は、添付不要
  2期平均の場合 :決算変更届を紙で提出した場合、決算変更届2期分をPDFにし添付

決算変更届と、前回の経審をJCIPで申請した場合は、添付不要

JCIPでの申請は、確認書類をPDFにして添付しなくてはならない書類があります。

しかし、電子申請することでオンラインでの確認が取れるものもあり、申請の不備が減ることにもつながります。

利益額(項番18)

利益額について、電子申請の場合の添付書類に次のような変更がありました。

旧:決算変更届について紙提出・JCIP申請どちらの場合も、提出した申請書をPDFにして添付
新:決算変更届を紙で申請した場合は、提出した申請書をPDFにして添付

JCIPで決算変更届を提出した場合は、「損益計算書」のみ添付不要
法人税確定申告書はPDFで添付が必要。

JCIPを利用することで、損益計算書の添付が省略できるようになりました。

【令和7年4月版】技術職員に関する証明書類の変更

建設業
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経審
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令和7年度

常勤性及び雇用期間の証明

健康保険証の取り扱いや確定申告書の受付印廃止に伴う変更により、技術職員の常勤性の証明書類が変わりました。

後期高齢者医療制度対象者の常勤性

技術職員名簿に記載されている後期高齢者医療制度対象者の常勤性の証明書類が、次のように変更になりました。

旧:確定申告書(表紙と受付印のある役員報酬明細(写))
新:確定申告書(表紙と役員報酬明細(写))

こちらは主に役員に関する記載となります。

新規掲載者の常勤性

今回より新しく技術職員名簿に記載をする人の常勤性の書類が、次のように変更になりました。

旧:事業所の名称が記載された健康保険証、資格証明書、雇用保険被保険者資格取得確認通知書
新:雇用保険被保険者資格取得確認通知書、雇用年月日が記載されている所属企業の雇用証明書の写し のいずれか

また、マイナ保険証が導入されたことにより、「健康保険証は、被保険者等(本人)の記号、番号及び保険者番号を必ずマスキングして提出すること」の記載が削除されました。

継続雇用制度の適用を受けている者について

継続雇用制度について、確認書類および様式第3号「継続雇用制度の適用を受けている技術職員名簿」に変更があります。

旧:様式第3号には「65歳以下の者に限る」と記載されていますが、66歳以上の方もすべて記入すること。
新:削除

電子申請の場合は次のようになります。

旧:JCIPで作成した場合は、就業規則の写しのみをPDFにして添付
65歳以上の技術職員を記載する場合はJCIPでは作成せず、別に作成した様式第3号をPDFにして添付
技術職員名簿の「継続雇用」にチェックはいれない
新:JCIPで作成すること。就業規則の写しはPDFにして添付すること

出向者について

出向者は、常勤であれば出向先の職員として技術職員名簿に載せることができますが、その扱いは複雑です。

旧:出向者は経審上評価の対象となるが、直接且つ恒常的な雇用関係ではないため、建設現場に配置する主任技術者等にはなれないので注意すること
新:削除

出向元でも技術者として載せてしまう二重計上や、給与・社会保険料等をどちらが負担するかなど注意点がたくさんあります。

また出向期間を示した出向協定書が更新されずに古いままといった場合もありますので、常に確認するようにしましょう。

技術職員の資格等の証明

資格を証明する書類としては合格証や有資格区分変更者申出書がありますが、その年の技術職員の状況によって扱いが変わります。

パターン別にみていきましょう。

前回申請時から資格が変更となる技術職員が一人もいない場合

有資格区分変更者申出書について、以下の追記がされました。

新:前年度他地整や都道府県で経審を受けている場合、前年度提出した技術職員名簿を確認書類に添付すること
また、前年度申請時と変更がない技術職員については資格等の証明は提出不要

電子申請時の修正点は次の通りです。

旧:PDFにして添付すること。
新:ファイル名を「有資格区分申出書」としPDFにして添付すること

JCIP内の「その他添付ファイル」の部分に添付すること

前回申請時から資格変更となる技術職員が一人以上いる場合(新規掲載者を除く)

この場合、必要な書類は有資格区分変更者申出書と合格証ですが、手引きの記載に変更がありました。

旧:② 前回申請時から資格が変更となる技術職員が一人以上いる場合(新規掲載者は除く)
新:② に「業種の追加となる」の文言が追加

また、合格発表日が審査基準日以前か以降か確認できない場合は、追加で合格通知書を求める場合がある

さらに、電子申請の場合は次のようになります。

旧:合格証等はPDFにして添付
資格番号等(10桁)を入力した場合は、添付不要
新:合格証等はPDFにして添付

資格番号等(10桁)を入力した場合は、添付不要
有資格区分変更等申出書については、ファイル名を「有資格区分申出書」としPDFにし、JCIP内の「その他添付ファイル」の部分に添付すること

新規掲載者

技術職員名簿に新規で技術者を追加する場合において、合格証等の添付に以下の追記がありました

新:合格発表日が審査基準日以前か以降か確認できない場合は、追加で合格通知書を求める場合がある

【令和7年4月版】CPD(継続教育)に関する変更

継続教育(CPD)を受けている場合は「CPD単位を取得した技術職員名簿」「認定団体による証明書類」が必要となります。

今回、電子申請時において次の修正がありました。

旧:CPD単位を取得した技術職員名簿はシステムにて作成し、それ以外の書類はPDF化して添付すること
新:技術職員名簿に記載されている技術者のみCPD取得している場合は、CPD単位を取得した技術職員名簿の作成が不要

技術職員名簿外の人も取得している場合はJCIPで作成し添付

【令和7年4月版】CCUSに関する評価項目の削除

令和5年8月14日以降を基準日とする申請では建設キャリアアップシステム(CCUS)は評価対象として取り扱われていましたが、今回この項目について次のように変更になりました。

旧:令和5年8月14日以降を審査基準日とする申請より評価対象
それ以前の申請では要件を満たしている場合であっても加点対象とはならない
新:削除

CCUSは国が推進する仕組みですので、許可業者はCCUSを導入をし継続することが望ましいです。

【令和7年4月版】会計士・登録経理試験の添付書類簡略化

公認会計士等の数または1・2級登録経理試験合格者について、電子申請時の添付書類が省略されるようになりました。

旧:電子申請の場合、PDFにして添付すること。
新:電子申請の場合、合格証明番号を入力した場合は添付不要

基本的に登録経理講習は5年に一回の受講が必要ですので忘れないようにしましょう。

まとめ

  • 電子申請(JCIP)を活用すれば、添付書類の省略が多数可能。
  • 常勤性・雇用証明・資格などの確認書類準備の負担が軽減。
  • 申請に使う法令の根拠や記載要領が一部変更。
  • 確定申告書など税務関連書類の取り扱いが簡素化。

今回の変更では電子申請(JCIP)への対応強化や、手続きの簡素化、確認資料の省略など、実務において重要な変更が多く盛り込まれています

とはいえ、電子申請特有のルールや追加で必要な書類など、注意が必要な点もあります。

今後の申請に備えて、最新の手引きを確認し適切な書類準備を行うことが重要です。

特に経営事項審査(経審)は入札参加資格などに関わるため、変更点をしっかり把握しておきましょう

また、提出する書類や作成方法によって評価や点数が変わります。

自社の状況を最大限活用するためにも、専門家による経審の受審をお勧めします。

おさだ事務所では経営事項審査の書類作成も行っています。

経審に精通したプロフェッショナルが対応しますので、安心してお任せください!

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