今回は、建設業許可の区分である「大臣許可」と「都道府県知事許可」の違いについて解説します。
東京都で建設業を営んでいる友人が今度神奈川県にも営業所を建てたいそうです。
そうなんですね。
ちなみにご友人は既に建設業許可を申請しているんですか?
複数の営業所を設立しようとする場合、都道府県知事の許可だけ得ていても設立できない場合があります。
「建設業許可を取得して、公共工事を請けていきたい!」とお考えの方は今回の記事を参考にしてください。
建設業許可の区分「大臣許可」と「都道府県知事許可」の違いとは
結論を先にお伝えすると、「大臣許可」と「都道府県知事許可」との違いは営業所の所在地の状況の違いです。
軽微な建設工事を請負う場合を除き、建設業を営むためには建設業許可を取得しなければなりません。
その際に設立する営業所によって必要な許可は、下記の通りに分かれます。
都道府県知事許可
1つの都道府県にのみ営業所を設ける場合
大臣許可
複数の都道府県に営業所を設ける場合
つまり、東京都で建設業を営んでいる方が神奈川県に営業所を建てる場合には、都道府県知事許可だけでなく大臣許可も必要なんですね。
その通りです。
許可申請をせずに営業所を建てると罰則を受ける可能性があります。
▼こちらの記事では、足場の附帯工事における建設業許可について紹介しています。大臣許可と同じく建設業を運営するために必要な許可ですので、気になる方は参考にしてください。
大臣許可申請の流れ
大臣許可を申請するにはどうすればいいんですか?
大臣許可申請には申請書類の提出と手数料の納入が必要です。
許可申請に必要な書類一覧
許可申請に必要な書類は、個人と法人によって異なります。
主な申請書類は、以下の通りです。
申請書類の名称 | 法人 | 個人 |
建設業許可申請書 | 〇 | 〇 |
役員等の一覧表 | 〇 | × |
営業所一覧表(新規許可等) | 〇 | 〇 |
営業所一覧表(更新) | 〇 | 〇 |
収入印紙、証紙、登録免許税領収証書又は許可手数料領収証書はり付け欄 | 〇 | 〇 |
専任技術者一覧表 | 〇 | 〇 |
工事経歴書 | 〇 | 〇 |
直前3年の各事業年度における工事施工金額 | 〇 | 〇 |
使用人数 | 〇 | 〇 |
誓約書 | 〇 | 〇 |
成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書 | 〇 | 〇 |
成年被後見人又は被保佐人とみなされる者に該当せず、また、破産者で復権を得ないものに該当しない旨の市町村の長の証明書 | 〇 | 〇 |
常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書 | 〇 | 〇 |
常勤役員等の略歴書 | 〇 | 〇 |
常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書 | 〇 | 〇 |
常勤役員等の略歴書 | 〇 | 〇 |
常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書 | 〇 | 〇 |
健康保険等の加入状況 | 〇 | 〇 |
専任技術者証明書(新規・変更) | 〇 | 〇 |
技術検定合格証明書等の資格証明書 | 〇 | 〇 |
実務経験証明書(必要に応じて卒業証明書を添付) | 〇 | 〇 |
指導監督的実務経験証明書 | 〇 | 〇 |
建設業法施行令3条に規定する使用人の一覧表 | 〇 | 〇 |
許可申請者(法人の役員等・本人・法定代理人・法定代理人の役員等)の住所、生年月日等に関する調書 | 〇 | 〇 |
建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書 | 〇 | 〇 |
定款 | 〇 | × |
株主(出資者)調書 | 〇 | × |
貸借対照表 | 〇 | × |
損益計算書・完成工事原価報告書 | 〇 | × |
株主資本等変動計算書 | 〇 | × |
注記表 | 〇 | × |
附属明細表 | 〇 | × |
貸借対照表 | 〇 | × |
損益計算書 | × | 〇 |
登記事項証明書 | × | 〇 |
営業の沿革 | 〇 | 〇 |
所属建設業者団体 | 〇 | 〇 |
納税証明書(納付すべき額及び納付済額) | 〇 | 〇 |
主要取引金融機関名 | 〇 | 〇 |
許可申請に必要な手数料
許可申請する場合は、「登録免許税」や「許可手数料」を納入する必要があります。
大臣許可を申請する場合
大臣許可に必要な手数料は、以下の通りです。
大臣許可に必要な手数料
- 登録免許税:15万円
- 許可手数料:5万円
都道府県知事許可を申請する場合
都道府県知事許可に必要な手数料は、以下の通りです。
都道府県知事許可に必要な手数料
- 都道府県知事の新規の許可手数料:9万円
- 都道府県知事の許可の更新及び同一許可区分内の追加の許可手数料:5万円
申請書類と手数料を用意したら、大臣許可は本店の所在地を管轄する地方整備局長等、都道府県知事許可は各都道府県知事に提出します。
▼おさだ事務所では、2020年時点で東京都建設業許可申請を5627件支援した実績を基にクライアントをサポートさせていただいております。建設業許可申請でお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
建設業法に違反したときの罰則
大臣許可を取得しないとどうなるんですか?
違反の度合いにもよりますが、建設業法に違反すると罰則や監督処分などがあります。
建設業法に違反したときの罰則
建設業法に違反すると、以下のような罰則が考えられます。
建設業法に違反したときの罰則
- 3年以下の懲役または300万円以下の罰金
- 6か月以下の懲役または100万円以下の罰金
- 100万円以下の罰金
- 10万円以下の過料
建設業法に違反したときの監督処分
建設業法に違反すると、以下のような監督処分が考えられます。
建設業法に違反したときの監督処分
- 業務改善命令
- 営業停止処分
- 許可取消処分
建設業法に関する知識は身に付けておくと、建設業法違反を未然に防げます。
まとめ
今回は、「建設業における大臣許可と都道府県知事許可の違い」について解説しました。
- 「大臣許可」と「都道府県知事許可」との違いは営業所の所在地の状況の違い
- 許可申請に必要な書類は、個人と法人によって異なる
- 許可申請する場合は、「登録免許税」や「許可手数料」を納入する必要がある
- 建設業法に違反すると罰則や監督処分などがある
建設業許可申請は、建設業開業のファーストステップです。許可申請を確実に成功させて、良いスタートダッシュを切りましょう!
ご愛読いただきありがとうございました。