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監理技術者の対象工事の金額がバラバラ!?根拠条文を掘り下げてチェック

監理技術者対象工事はどんなものでしょうか。「それなりの規模の工事」というイメージがあっても、具体的な要件まで明確にこたえられるでしょうか。実際、監理技術者は、民間・公共どちらの工事を問わず、個人住宅以外のほとんどの現場で必要になっています。工事現場で日々にぶつかる法規定はどんなものなのか。

インターネットからの検索結果をみても、金額の数字が異なっていたり、法律が変わり古い時のものだったりと、混乱した経験はないでしょうか。
こういった規定はどういった法律からきているのでしょうか。ここでは根拠条文をたどり、監理技術者を必要とする対象工事を明確にしていきます。

小佐田

法律は独特の文章のために読みづらいですが、頑張って紐解いてみましょう。少しだけでも法律の見方を体験してもらえればと思います。

監理技術者の対象工事とは?

監理技術者は各工事現場での技術的な事がらでの指導監督の役割があります。計画作成、スケジュール調整、品質管理といったものです。具体的には、施工計画書などの作成、そのつどの修正、主な工程の立ち会い、工事の進捗(しんちょく)チェックや安全確認の為の現場巡回、下請間の工程調整、工程会議などの開催、現場作業による実地における技術指導などを行います。

これは立地など、唯一無二の各現場において、完成した後に瑕疵(かし)がないかのチェックが難しいため、常に現場の状況確認が必要なこと。天候や社会情勢でスケジュールへの影響が大きい現場でのスムーズな工事のためです。

監理技術者に関しての詳しい説明は別記事にて紹介しています。ぜひ合わせてお読みください。

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配置と専任は条件が異なる

監理技術者の対象工事として、法律では「配置」を求めるものと「専任」を求めるものと別れておりそれぞれ対象となる金額が異なっています。これは根拠条文が異なっているためです。

同じような金額ですが、根拠が違っています。

清水

「配置」が必要となる工事

監理技術者を「配置」が義務化がされている工事は下記のとおりです。

  • 元請の工事
  • 請負う合計額が4,500万円を超える場合(建築一式工事にあたっては7,000万円を超える場合)

監理技術者は、1次-2次…と広がっていく工事現場構造において、まとめの役割のため、元請業者が総括として設置する必要があります。そして工事の規模の指標として、かかる金額を基準として、一定以上の大きな工事に技術者を配置する義務を負わせます。これは「建築業法」によって定められています。

「配置」義務の根拠法

上記のような監理技術者の「配置」を求める条文が、建設業法 第二十六条2項です。

発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。

引用:e-Gov法令|建設業法 第二十六条2

建設業法施行令 第二条で定める「配置」義務の対象工事

条文内で「配置」が義務化がされている工事とは、【第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合の工事】となり、これは建設業法施行令 第二条に規定されています。

(法第三条第一項第二号の金額)
第二条 法第三条第一項第二号の政令で定める金額は、四千五百万円とする。ただし、同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合においては、七千万円とする。

引用:e-Gov法令|建設業法施行令 第二条

それぞれをまとめ直すと、監理技術者は、【建設業法 第二十六条2項】による定めで、「元請工事」と【建設業法施行令 第二条】で定められた「4,500万円を超える場合(建築一式工事にあたっては7,000万円を超える場合)の工事」では、「配置」が義務付けられる と読むことができます。

「専任」が必要な工事とは違う?

先に監理技術者への「配置」義務の根拠条文を挙げましたが、それとは別に監理技術者の「専任」の義務があり、それは以下となります。

・請負う合計額が4,000円を超える場合(建築一式工にあたっては8,000万円を超える場合)の工事
・公共性がある施設・工作物・または多数の者が利用する施設・工作物に関する重要な工事

専任とは、ほかの工事との兼任による職務品質の低下を避けるために定められたものです。

先の監理技術者の「配置」義務と、金額が異なっています。これは根拠条文が、主任技術者・監理技術者両方を対象にする法律だからです。

「専任」義務の根拠法

監理技術者の「専任」を求めているのが、建設業法 第二十六条3項です。

公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。ただし、監理技術者にあつては、発注者から直接当該建設工事を請け負つた特定建設業者が、当該監理技術者の行うべき第二十六条の四第一項に規定する職務を補佐する者として、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者に準ずる者として政令で定める者を当該工事現場に専任で置くときは、この限りでない。

引用:e-Gov法令|建設業法 第二十六条3

つまり「配置」義務と「専任」義務では根拠条文が違っているため金額も異なるわけです。

第二十七条で定める専任義務の対象工事

建設業法施行令 第二十七条では、先の条文の中の工事を具体的に挙げて規定しています。

(専任の主任技術者又は監理技術者を必要とする建設工事)

第二十七条 法第二十六条第三項の政令で定める重要な建設工事は、次の各号のいずれかに該当する建設工事で工事一件の請負代金の額が四千万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、八千万円)以上のものとする。

一 国又は地方公共団体が注文者である施設又は工作物に関する建設工事

二 第十五条第一号及び第三号に掲げる施設又は工作物に関する建設工事

三 次に掲げる施設又は工作物に関する建設工事

イ 石油パイプライン事業法(昭和四十七年法律第百五号)第五条第二項第二号に規定する事業用施設

ロ 電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第五号に規定する電気通信事業者(同法第九条第一号に規定する電気通信回線設備を設置するものに限る。)が同条第四号に規定する電気通信事業の用に供する施設

ハ 放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第二十三号に規定する基幹放送事業者又は同条第二十四号に規定する基幹放送局提供事業者が同条第一号に規定する放送の用に供する施設(鉄骨造又は鉄筋コンクリート造の塔その他これに類する施設に限る。)

ニ 学校

ホ 図書館、美術館、博物館又は展示場

ヘ 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条第一項に規定する社会福祉事業の用に供する施設

ト 病院又は診療所

チ 火葬場、と畜場又は廃棄物処理施設

リ 熱供給事業法(昭和四十七年法律第八十八号)第二条第四項に規定する熱供給施設

ヌ 集会場又は公会堂

ル 市場又は百貨店

ヲ 事務所

ワ ホテル又は旅館

カ 共同住宅、寄宿舎又は下宿

ヨ 公衆浴場

タ 興行場又はダンスホール

レ 神社、寺院又は教会

ソ 工場、ドック又は倉庫

ツ 展望塔

引用:e-Gov法令|建設業法施行令 第二十七条

多くの例が挙げられていますが、実質的には個人住宅以外の工事はほぼすべてに該当します。

それぞれをまとめ直すと、監理技術者は、【建設業法 第二十六条3項】による定めで「請負金額4,000円を超える場合(建築一式工事にあたっては8,000万円を超える場合)の工事」と「建設業法施行令 第二十七条で定められた工事」で、「専任」が義務付けられる と読むことができます。

令和5年の法改定

上記の配置義務と専任義務における金額は、令和5(2023年)年1月1日より改定され、金額が引き上げられ、条件が緩和されました。

配置条件 4,000万円(建築一式工事にあたっては6,000万円)⇒4,500万円(建築一式工事にあたっては7,000万円)
専任条件 3,500万円(建築一式工事にあたっては7,000万円)⇒4,000万円(建築一式工事にあたっては8,000万円)

という変更です。

古い記事や文書では改定前の金額の表示のままになっている可能性があります。注意しましょう。

葛西

今回「建設業法」と「建設業法施行令」という2種類の条文をみましたが、この2つはそれぞれ別物です。こういったさまざまな条文が合わさって現在の法規定があるのですが、正しく使うための専門家の存在が欠かせません。法律の中でも建設業に特化したおさだ事務所をご利用ください。

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まとめ

監理技術者の対象工事には、「配置」が義務付けされた工事と「専任」が義務付けされた工事とそれぞれで根拠法が違い、条件も違ってきます。

「配置」条件は 建設業法 第二十六条2項で

ポイント

  • 元請の工事
  • 請負う合計額が4,500万円を超える場合(建築一式工事にあたっては7,000万円を超える場合

「専任」条件は 建設業法 第二十六条3項で

ポイント

  • 請負う合計額が4,000円を超える場合(建築一式工事にあたっては8,000万円を超える場合)
  • 公共性がある施設・工作物・または多数の者が利用する施設・工作物に関する重要な工事(建設業法施行令 第二十七条にて指定)

ポイント

それぞれ令和5年(2023年)金額が引き上げられ、緩和された

監理技術者の対象工事は法規定ではこのようにあらわされます。

実際は個人住宅以外のほとんどにおいて監理技術者の対象工事となっているのは、こういった法律の裏付けがあるからです。金額の違いの理由がわかりましたでしょうか。

見慣れない条文を理解するのは難しいかもしれませんが、実務とのギャップが縮まれば幸いです。

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