営業許可

建設業許可の取得に掛かる期間はどのくらい?取得不要な場合も含めて解説

建設業の許可をこれから取得しようとお考えの方にとって、取得に掛かる期間は気になる事の一つではないでしょうか。

  • 建設業の許可って取得するのにどのくらい掛かるの?
  • そもそも、許可の取得って必須なの?

そこで今回は上記の疑問に応えつつ、申請に掛かるおおよその期間やその他取得に関する概要、許可が必要ない場合を体系的に分かりやすくまとめました。

葛西

この記事を読めば、許可の取得に掛かる期間、知っておくべき概要、許可が必要ない場合をまるっと理解する事が出来るでしょう。

建設業許可取得にかかる期間

建設業許可の取得にはどれくらいの期間必要なのかご存知でしょうか?

一般的には、提出書類に不備が無ければ、およそ1ヵ月~4ヵ月で完了するといわれています。もちろん書類に不備があれば、書類修正に関するやり取りも増え、その分取得に掛かる期間は延びてしまいます。

出来れば書類の不備無く、スムーズに最短で建設業許可を受けたいところ。その為に建設業許可の流れなど十分に理解する事も大切ですが、しかるべき機関に助言をもらうのも非常に重要です。

「しかるべき機関」というのは、各都道府県の土木事務所の事です。土木事務所に提出する予定の書類を持参し、助言をもらいながら無理なく無駄なく書類を揃えていくのが理想でしょう。

では、取得までの期間に「1ヵ月~4ヵ月」と幅があるのはなぜでしょうか。

それには「許可の区分」が関係しています。区分については次に記述します。

建築業許可の区分について解説

建設業の許可には、大きく分けて国土交通大臣によって認可される「大臣許可」と都道府県知事によって認可される「知事許可」の二つがあります。これは営業所の所在地に関する分類になります。

そして、「一般建築業」と「特定建築業」という区分もあります。これは下請契約の発注金額の規模による分類になります。発注金額により、「一般建築業」または「特定建築業」の認可を国土交通大臣あるいは都道府県知事から受けます。

更に、この認可は建設工事の種類別(全29業種)に受ける必要があります。それでは、それらの区分について解説していきます。

「大臣許可」と「知事許可」の2種類がある

営業所の所在地に関する分類には、「大臣許可」と「知事許可」があります。2ヵ所以上の都道府県に営業所を設置し業務を行う場合は、国土交通大臣から認可を受ける「大臣許可」です。

そして、営業所を1ヵ所の都道府県に設置し業務を行う場合は、都道府県知事から認可を受ける「知事許可」となります。下記の表にまとめます。

区分 概要 申請手数料 備考
大臣許可(国土交通大臣) 営業所が2ヵ所以上の都道府県にある 15万円 本店の所在地を管理下におく地方整備局局長等が許可を行う
知事許可(都道府県知事) 営業所が1ヵ所の都道府県のみ 9万円 営業所の所在地を管理下におく都道府県知事が許可を行う

「営業所」とは、建設業にかかわる受託契約を結んだり、その契約の指導にあたる等、建設業に関与する事務所の事を指します。よって、営業所が複数の都道府県にあっても、建設業にかかわるのは1ヵ所であれば「知事許可」です。

ここまでの話で「認可を受けた地域の工事しか実施出来ないの?」と思われる方もいるかもしれません。その点はご安心ください。この区分は営業所の所在地に対する仕分けで、工事を実施出来る地域に影響しません。

つまり、東京都知事が認可した業者でも、その他の地域で行う工事を受注する事は出来ます。もし、他県に営業所を増設して受注するのであれば、区分を変更して対応する事になるので注意してくださいね。

認可の区分がわかったところで、取得に掛かる日数の違いですが、「大臣許可」は約4ヵ月、「知事許可」は約1〜2ヵ月掛かります。

どうして取得日数にこれ程の差があるのか気になるポイントだと思います。まず知事許可ですが、審査に必要な書類を申請先の建設事務所もしくは土木事務所に提出します。受理されると審査が始まり、そのままそこで決裁も行われます。

続いて大臣許可。

こちらも申請先は同様に建設事務所もしくは土木事務所に審査に必要な書類を提出します。そこから、その書類は申請先を経由して営業所(本店)を所在地におく地方整備局に提出されます。このように「大臣許可」は、書類の移送日数に加え、2つの行政機関を通して承認が行われる為に、その分時間が掛かります。

なお、上記の日数は必要書類が全て揃っている前提の話。なので、許可取得に必要な要件の確認や、書類を用意する日数を含めて考えると、約1〜4ヵ月より更に日数が掛かるという事です。

審査に掛かる日数はこちらの方で減らすのには無理がありますが、要件確認や必要書類の準備に掛かる時間は効率的に行えば短縮出来ます。出来るだけ早く許可を取得したい場合は、経験豊富な行政書士事務所に相談するのも一つの方法です。

葛西

この「大臣許可」と「知事許可」についての違いは、文面だけでは理解が難しいかもしれません。

そうですね。こちらの動画をご覧になれば、より理解が深まりますので視聴してみてください。

小佐田

「一般建設業」と「特定建設業」

続いて、下請契約の発注金額の規模による分類を解説していきます。

建設業は、「軽微な建設工事」のみ取り扱う場合を除き、「一般建設業」の許可を受ける事が義務づけられています。
(「軽微な建設工事」については、後述の「建設業の許可が必要ない場合」に詳しく記載があります。)

「軽微な建設工事」の範囲を超えた高額な工事であっても、発注者から直接受注した業者が全て自分達で施工すれば、「一般建設業」に該当します。また、下請け業者として受注する場合も同様に「一般建設業」となります。

ただし、一定の規模を超えた工事を元請け業者として下請けに出す場合は「特定建設業」となります。

“一定の規模を超えた工事”というのは、発注者から直接受注した工事1件あたりの金額が4,000万円以上、建築工事業なら6,000万円以上となる工事を指します。

建築工事業とは、後述する専門工事29業種のうち「土木工事業」と「建築工事業」がそれに該当します。下記の表にまとめます。

区分 元請け業者として請け負った金額 備考
特定建設業 4,000万円以上 「土木工事業」「建築工事業」以外の専門工事業
6,000万円以上 「土木工事業」または「建築工事業」
一般建設業 上記に該当しないもの

これが下請契約の発注金額の規模による分類です。

例えば、発注者から元請け業者として「土木工事業」もしくは「建築工事業」が実施する工事を受注し、下請けに出す場合。その工事1件あたりが6,000万円以上であれば「特定建設業」となりますが、6,000万円を超えなければ「一般建設業」で問題はありません。

専門工事29業種別許可制

建設工事を細かく分類すると、実に29業種もあり、各々求められる技術や知識が異なります。

例えば、情報処理設備や有線電気通信設備等の設置工事を行う「電気通信業」と整地や植栽、景石の据え付けを行い、庭園や公園、緑地を築造する「造園工事業」とでは、求められる技術は大きく異なるだろうと簡単に想像出来ます。

清水

よって、29業種別に認可を受ける必要があるのです。

種類ごとに認可を受けるという事は、その分用意する書類も多くなり、大変です。また、間違えて必要のない申請を行えば、無駄な時間を取られます。

やはり効率良く許可を取得する為には、自分達に必要な区分をよく理解する事がカギとなるでしょう。

許可の有効期間

建設業許可は5年間有効です。

例えば令和2年9月1日が許可を取得した日だとすれば、5年後の令和7年9月1日の前日、令和7年8月31日が満了日となります。当然、更新を受けなければ許可は失効します。

そして、更新申請は満了日の30日前までに行わなければなりません。それは、満了日を迎えると同時に、新しい許可通知書を受け取る為です。更新審査には約30日掛かります。

なお、有効期間は許可を受けた際に送られてくる許可通知書と、業者票にも記載があります。有効期間がわからなくなった際は、そちらを参考にすると良いでしょう。

建設業の許可が必要ない場合

最後に、建設業の許可が必要ない場合について触れておきます。

建設業でも「軽微な建設工事」に該当する場合は許可を受ける必要はないとされています。建設業許可を取得するにしても、許可が必要ない場合を知っておいた方が良いでしょう。

なぜなら、発注者から軽微な建設工事を受注した後、建設業許可のない下請け業者に任せることも起こり得るからです。軽微な建設工事とは何か、下記の表にまとめました。

軽微な建設工事
(1)建築一式工事 請負代金税込み1,500万円未満の工事
延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
(2)建築一式工事以外 請負代金税込み500万円未満の工事

ここで注意すべき点は「消費税込み」である事です。うっかり税抜きで考えてしまうと、指定の金額を超えて建設業法違反となってしまいます。

また、注文者自ら用意した材料を使用する場合も注意が必要です。工事代金には材料費や材料を用意するのにかかった運送費も含めて考えなければいけません。

工事自体は指定の金額以内でも、注文者が用意した材料にかかる費用を合計したら指定の金額を超えてしまった……、というケースも起こり得ます。仮に、指定金額を超えてしまう場合は「工事を分割して2件工事を受注した事にして、指定金額内に収めてしまえば良いのでは?」と思われるかもしれません。

例えば500万円を超え、550万円になってしまった――としたらどうでしょうか。275万円ずつに分けてしまえば、たしかに指定金額以内には収まります。ところが、分割した工事を同じ業者が請け負う場合、その工事の合計額で判断されます。

よって、275万円ずつ分けたとしても同じ業者が請け負う限り、結局は合計金額で考える事になるのです。

では、指定の金額を超えて建設業法違反となった場合はどうすれば良いのでしょうか。このケースについては次に記述します。

無許可で指定の金額を超えてしまった場合は?

本来、許可を取得した業者がするべき工事を無許可で引き受けてしまったとすれば、それは無許可営業です。無許可営業をすると、『3年以下の懲役または300万円以下の罰金(建設業法第47条)』という罰則が科されます。

小佐田

これは建設業法の罰則の中で一番重いものになります。

この罰則は欠格要件に該当する為、「やっぱり許可が欲しい!」となっても、5年間は取得することはできません。

ただし、無許可営業の内容で判断されるので、必ずしも罰せられるとは限らないのです。「指定の金額以上の工事を受けてしまった。でも、許可を取得したいと考えている。」という場合、ぜひ一度行政書士に相談してみましょう。

まとめ

許可取得までにどの程度日数が掛かるのか?という疑問から、建設業の許可について解説しました。

ここまで読むと、どんな決まりがあり、どの程度日数が掛かるのかを理解していただけたかと思います。これから建設業許可の取得を考えている方は、用意しなければならない沢山の書類に戸惑うかもしれません。

だからこそ私達のような建設業に特化した行政書士・社会保険労務士事務所が存在します。更に、東京都で許可を取得したいと考えているのであれば、東京都限定の行政書士おさだ事務所にお任せください。お問い合わせをお待ちしております。

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