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【建設業許可】空調工事の独立開業に必要?許可要件や工事業種を解説します

住宅や事業所にエアコンを新しく設置したり、メンテナンスしたりするのが空調工事。このご時世、エアコン無しで生活することはもはや不可能と言っても過言ではありませんね。

工事の需要は年々高まる一方なので、日頃空調工事に携われている方でしたら、独立開業は人生の選択肢の一つになるでしょう。

「空調工事で仕事を開業したいな」と考えたとき、一体何から始めれば?と不安に思いますよね。

この記事では、「空調工事に建設業許可は必要か」という観点から、取得に必要な要件や空調工事が何工事に該当するのかについても解説していきます。

清水

記事を読み終える頃には、独立開業に向けて建設業許可の取得を検討されるかもしれませんね。

建設業許可は空調工事の独立開業に必要?

空調工事は建物工事に付随する工事とみなされるため建設業に分類します。したがって建設業許可が必要です。工事の請負金額が500万円以内等、規模によっては許可が不要な場合もあります。

しかし、工事を依頼する顧客の立場になってみると、きちんと許可を取得している業者のほうがより安心感を得られますよね。

では、どのような手続きを踏めば建設業許可を取得できるのでしょうか。ここで要件について見ていきましょう。

建設業許可を取るために必要な要件

  • 経営業務管理責任者が在籍
  • 専任技術者が各営業所に在籍
  • 請負契約に対して誠実性がある
  • 財産的基礎または金銭的信用がある
  • 定められている欠格要件に当てはまらない
  • 社会保険への加入

の6つになります。

ひとつずつ簡単に説明していきます。

①経営業務の管理責任者が在籍

定められている期間以上建設業の営業業務に従事した人を配置する必要があります。企業の場合は、役員のうち1人、一人で営む場合はその本人が経営業務管理責任者として在籍することが条件となっています。

また、事業所が適正な社会保険に加入していることも求められています。

②専任技術者が各営業所に在籍

建設業は専門的な知識が必要な業種です。よって、国で定められている資格や経験を保有した専任の技術者を各事業所に置くことが義務付けられています。

こちらの項目で注意してほしいのは、建設業許可を取得した後に専任技術者が不在になってしまった場合!一度許可を受けていても取り消しになります。

③請負契約に対して誠実性がある

工事するための請負契約を履行するにあたって、不正を働く恐れのある事業者は建設業許可を受けられません。

④財産的基礎または金銭的信用がある

工事するには、資機材や人員の確保など多額の資金が必要になります。それを十分に賄える財政状況ではないと判断された場合には許可を受けられません。

⑤欠格要件に当てはまらない

許可申請するための書類に虚偽の記載があったり、重要な事項の記載が抜けている場合。また、申請者や役員、使用人が以下の項目のうち一つでも当てはまってしまうと許可を受けられません。

  • 破産している。そしてそれに対する免責をまだ受けていない状態。
  • 建設業許可を取り消し処分を受けている。取り消されてから5年経過していない。
  • 禁固刑以上の刑を受けている。処分から5年以上経過していない。
  • 暴力団の構成員であること。
  • 精神状態が悪く、業務上必要な判断を適正に下せない。

⑥社会保険への加入

適正な社会保険への加入が義務として会社には求められます。この社会保険の中に含まれるのは健康保険、厚生年金保険、雇用保険の3つです。

こちらの要件は2020年10月1日に新しく制定されたものです。許可を申請する際に上記社会保険が未加入であれば、加入するように指導が行われます。

建設業許可のうち空調工事は管工事に該当する

先ほどの項目でご紹介した「建設業許可」に関して細かくみていくと業種は29種類に分けられています。

空調工事はどの業種に分類されるのでしょうか。

空調工事といえば家電量販店や下請けの電気屋さんが設置工事するイメージが一般的で電気工事に分類されるのでは?と思いますよね。

しかし実は、管工事に分類されます。

管工事とは、「水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事を業とする建設業」のことを指します。エアコンを電源に接続する工事というよりも、室外機まで配管を伸ばしたり、といった工事がメインと捉えられているようですね。

空調工事=家庭用エアコン工事に限らず、業務用の天井エアコンも勿論空調工事のひとつ。確かに、大きなショッピングモールや飲食店に行くと、大きな天井エアコンから長い配管が剝き出しになっている光景を目にすることがあります。

そのイメージで空調工事=管工事と覚えておくといいかもしれませんね。

管工事の建設業許可を取得するには?

空調工事は建設業許可の業種の中で管工事に該当することが分かりましたね。では管工事での建設業許可を取得するにはどういった要件が必要となるのでしょうか。

業種によって必要な条件が変わるのは「専任技術者」の要件になります。また、一般建設業許可と特定建設業許可では専任技術者の要件は異なります。

一般建設業許可とは

元請けとして請け負った工事を下請けに発注する場合、工事金額が4,000万円未満(建築一式工事となる場合は6,000万円未満)となる工事を請け負う場合、もしくは下請けに出さず全ての工事を請け負う場合に必要な建設業許可のこと。

特定建設業許可とは

元請けとして請け負った工事を下請けに発注する場合、工事金額が4,000万円以上(建築一式工事となる場合は6,000万円以上)となる工事を請け負う場合、もしくは下請けに出さず全ての工事を請け負う場合に必要な建設業許可のこと。

管工事における「専任技術者」の要件とは

専任技術者とは業務にあたって「定められた経験や資格を有する者」でしたね。

管工事における専任技術者は一体どのような経験や資格が必要となるか説明していきます。

資格

主に必要となる資格(いずれかのうちひとつ)は下記の通りになります。

  • 一級管工事施工管理技士
  • 二級管工事施工管理技士
  • 建築設備士(1年以上の実務経験が必要)
  • 一級計装士(1年以上の実務経験が必要)
  • 技術士(上下水道部門、衛生工学部門、機械部門)

特定建設業許可を取得する場合は資格条件が厳しく、一級施工管理技士もしくは技術士(上下水道部門、衛生工学部門、機械部門)のいずれかの国家資格が必要となります。

経験

管工事に従事して10年以上の実務経験があれば必要とされている資格や学歴がなくても管工事における専任技術者になれます。

特定建設業許可を取得する場合は、一般建設業許可における専任技術者であることを前提に、管工事での請負金額が4,500万円以上となる工事を2年以上指導、監督する立場の業務に従事していたという実務経験が必要となります。

実務経験を証明するには

実務経験を証明するには、その期間在籍していたことを証明する書類や、実務経験期間中の工事内容を証明する書類が必要となります。

国土交通省が指定する指定学科を卒業していれば10年の実務経験が短縮される場合もあります。

指定されている学科を卒業している+実務経験の組み合わせで専任技術者となれますが、「どの程度の実務経験が必要なのか?」「実務経験を証明する書類は何が必要か?」等疑問や不安に思うこともたくさん出てくると思います。

「誰かに相談したいけど誰に聞いたらいいんだろう?」そんな方は是非建設業許可を専門としている行政書士事務所、おさだ事務所にご相談くださいね。

もちろん電気工事士の資格も必須!

一般的に、家庭用の通常の壁掛けエアコンの取り付けには特別な資格は必要ないとされています。

しかし、経済産業省が定める標準的なエアコン設置工事には、内外接続電線を取り付ける作業、接地線の接続作業が含まれ、これに該当する作業にあたるためには電気工事業の登録も必要になります。

エアコンを取り付ける工程で電気配線を触る必要がある場合は電気工事士の資格も必要になるということですね。

まとめ

いかがでしたか?ここまで空調工事で開業するにあたって必要な建設業許可やその取得方法について紹介してきました。

まとめると

  • 空調工事には建設業許可が必要
  • 空調工事は建設業種において電気工事ではなく管工事に該当
  • 管工事の建設業許可を取得するには専任技術者の要件に注意
  • 電気工事士の資格は必須

以上の4つが押さえておきたいポイントになります。

空調工事を始めるにあたって必要な書類の作成、建設業許可の取得等、おさだ事務所が開業を全力でサポートしますので、お気軽にご相談下さい。

建設業専門おさだ事務所

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