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東京都知事許可業者が知っておくべきこれからの成長戦略!【法人化・事業承継】

近年、東京都では都市再開発やインフラ整備の需要が高まり、建設業者にとっては新たなビジネスチャンスが増えてきています。

特に東京都の建設業者にとっては、先を見据えた経営戦略を練ることが重要になっています。

一方で、経営不振や承継問題による事業の廃業も増加しており、業界全体としては大きな流れの中にいるといえるでしょう。

今回はそんな厳しい時代を勝ち抜くために、東京都知事許可業者に特化した成長戦略について考えてみましょう。

東京都の建設業界の今

東京都の建設業界は、今まさに大きな変化の中にあります。

都市再開発やインフラ整備の需要が増える一方で、資材の値上がりや職人さんの高齢化、人手不足といった課題も深刻です。

2025年からは、新築住宅においては太陽光パネル設置が義務づけられるなど法律も厳しくなり、現場の対応力がますます問われています。

また、働き方改革により残業時間の制限や週休2日の導入が進められていますが、中小企業にとっては簡単なことではありません。

こうした中で、東京都の建設業者はこれからどのような対応が必要になってくるのでしょうか。

東京都知事許可業者の最新登録数

東京都における建設業許可業者数は、令和7年3月末時点で44,655業者に達し、全国の約9.2%を占め全国1位となっています。

2位は大阪府であり、41,645業者、3位は神奈川県で29,464業者です。

全国的にも建設業許可業者数は2年連続で増加しており、令和6年度末には483,700業者と、前年から4,317業者(0.9%)増加しました。

建設業者の数は一時期減少した時もありましたが、全体的に増加傾向にあります。

都市開発・再開発の増加

東京都の建設業者数が多い理由は、再開発やインフラ整備の活性化による都市部での建設需要の集中によるものです。

実際に、品川の「高輪ゲートウェイシティ」や港区の「麻布台ヒルズ」、渋谷の「サクラステージ」など、複合機能を備えた大規模プロジェクトが次々と竣工・開業を迎えています。

これらの再開発は、オフィス・住宅・商業施設の融合による“職住近接”の実現や、スマートシティ機能の導入によって、持続可能な都市づくりを推進しています。

また、交通インフラの整備や緑地開発などにより、都市部の居住性も向上しています。

今後も東京都では、湾岸エリアや日本橋などで再開発が予定されており、建設業界にとっては継続的に需要の拡大が見込まれます。

中小建設業者への期待

建設業界では今、中小の建設業者に対する期待が高まっています。

大手企業だけでは対応しきれない地域密着型の工事や細やかな対応が求められる現場では、中小業者の存在が欠かせません。

特に高齢化が進む中で、地域のインフラを守るためには地元をよく知る中小業者の力が必要とされています。

また、最近では若い人材の確保や働き方改革にも積極的に取り組む中小企業が増えており、柔軟な働き方や新しい技術の導入など業界全体の活性化もしています。

国や自治体も支援制度を整え、経営の安定や技術力の向上を後押しています。

これからの建設業界を支えるためには、中小建設業者の持つ強みを活かし、地域とともに成長していくことが大切です。

東京都知事許可とは

建設業を営むには、一定の条件を満たし国や都道府県から「建設業許可」を受ける必要があります。

東京都知事許可とは、東京都内にのみ営業所を持つ建設業者が取得する許可のことを指します。

建設業許可を取得することで、一定規模以上の工事を請け負うことが可能となり、信頼性や取引先からの評価も高まります。

許可を得るには、人的要件や資金力などの条件を満たす必要があり、申請には多くの書類や手続きが伴います

許可の種類

建設業許可には「一般建設業許可」「特定建設業許可」の2種類があります。

一般建設業は、比較的小規模な工事や下請契約金額が少ない場合に必要な許可で、多くの中小企業が取得しています。

一方、特定建設業は、1件あたり5,000万円(建築工事は8,000万円)以上の下請契約の場合に必要で、より高い技術力や財務基盤が求められます。

さらに、許可の管轄によって「国土交通大臣許可」と「都道府県知事許可」に分かれます。

複数の都道府県に営業所がある場合は大臣許可、1都道府県内のみで営業する場合は知事許可が必要です。

また、建設業許可は29の業種に分類されており、それぞれの専門分野に応じた許可を取得する必要があります。

許可更新・変更届の注意点

許可の有効期間は5年間であり、更新を忘れると「無許可営業」となってしまいます。

また、下記のような変更があった際には「変更届」を決められた期限内に提出する必要があります。

  • 商号・代表者の変更
  • 営業所の所在地の変更
  • 営業所等技術者(専任技術者)・常勤役員等(経営業務管理責任者)の変更

また、建設業許可業者は常に許可要件を満たしておかなくてはなく、変更の内容によっては許可が取り消されることもあります。

日ごろから提出スケジュールや要件を把握しておくようにしましょう。

最新の許可業者名簿の活用法

東京都では毎月1回程度、「建設業許可業者名簿」を更新しており、都知事許可業者の登録情報が見られます。

この名簿で、業者の商号、許可番号、業種、所在地などが記載されており、地域や業種別に競合の動向を分析することも可能です。

新規参入や営業戦略の立案にも役立ちます。

特に公共工事や大規模案件では許可の有無が重要視されるので、発注者が信頼性のある業者を選ぶ際の判断材料にもなります。

建設業者の法人なり・法人化とは

建設業における「法人なり」とは個人事業主として営んでいた建設業を法人化し、会社として事業を継続することを指します。

ただし、建設業許可を持っていた個人事業主が法人化する場合、許可をそのまま引き継ぐには「事業承継」の手続きが必要になることがあります。

これには事前の認可申請や多くの書類準備が求められ、無許可期間が発生しないよう慎重なスケジュール管理が必要です。

法人なりには、事業承継のほかに廃業して新規に許可を取得する方法もあり、それぞれに特徴と注意点があります。

自社の状況に合った方法を選ぶことが、スムーズな法人化のカギとなります。

法人化や事業承継には、専門家への相談もおすすめです。

法人化のメリット・デメリット

建設業における法人化には、事業の成長や信頼性向上につながる多くのメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。

メリットについて説明しましょう。

  • 社会的信用の向上
  • 節税の可能性
  • 有限責任
  • 人材確保がしやすい

法人になると信頼性が高まり融資を受けやすくなります。

また、法人税は一定の税率なので、個人事業主の税制よりも有利になる場合があります。

役員報酬や退職金を経費に入れることも可能です。

万が一負債がでたとしても出資額の範囲内で責任を負うことになったり、人材の採用もしやすくなるといったメリットが考えられます。

一方、デメリットは次のようになります。

  • 設立・維持コストがかかる
  • 事務作業が複雑になる
  • 社会保険料の負担
  • 赤字でも税金が発生する

法人の設立の際には定款認証などの費用が掛かり、毎年の決算申告や登記の手続きなどが必要になります。

会計処理や税務申告も煩雑になり、社会保険の加入が義務付けられるので会社負担が増える場合もあります。

また、利益が出ていなくても法人住民税の均等割によって税金がかかります。

事業の規模や将来の展望によって、法人化が有利かどうかは変わってきます。

迷ったときは、税理士や行政書士に相談するのがおすすめです。

法人化のタイミング

建設業において法人化を検討するタイミングは、事業の成長や将来の展望に大きく関わりますので判断が難しいものです。

消費税の課税対象となる前に法人化することで2年間の消費税免除を受けられる可能性もあります。

さらに、取引先の拡大や公共工事への参入を目指す場合、法人格があることで社会的信用が高まり、契約や融資の面でも有利になります。

人材採用や福利厚生の充実を図りたいときも、法人化は有効な手段です。

事業の規模が拡大しより安定した経営を目指す段階が、法人化の適切なタイミングといえるでしょう。

法人化の手続き

建設業を法人化するには、まず会社を設立し、その後に建設業許可を取得する流れが一般的です。

会社設立では、定款の作成・認証、登記申請、法人印の作成、税務署への届出などが必要です。

株式会社の場合、登録免許税や定款認証費用などで約20〜30万円の初期費用がかかります。

会社設立後は、建設業許可の新規申請をします。

この場合は個人事業で許可を持っていた場合でも、法人として改めて許可を取得する必要があります。

ただし、一定の条件を満たせば「事業承継」の手続きを通じて許可を引き継ぐことも可能です。

新規で建設業許可を取得すると手数料9万円がかかりますが、事業承継であれば建設業許可の承継認可自体に手数料はかかりません。

どちらが良いかは自社の状況に合わせて判断するようにしましょう。

建設業の事業承継とは

建設業の「事業承継」とは、会社の経営者が事業を他者に引き継ぐことを指します。

特に許可を持っている建設業者は、単なる経営権の移転だけでなく建設業許可の承継手続きも重要になります。

東京都では事業承継による許可の引継ぎも活発化しており、後継者不足への対応として注目されています。

2020年の建設業法改正により、一定の条件を満たすことで許可番号や施工実績をそのまま引き継ぐことが可能になりました。

ただし、法人化の際にこの制度を使わない場合は、原則として個人の許可を廃止しその後法人で新規取得となります。

許可の空白期間を避けスムーズに事業継続ができます。

承継には、常勤役員等(経営業務の管理責任者)や営業所等技術者(専任技術者)の確保、財務基盤の確認などが必要で、事前の計画と準備が不可欠です。

後継者不足が課題となる中小建設業者にとって、事業承継は将来の安定と地域インフラの維持に直結する重要な手段となります。

東京都知事許可業者の承継課題

現在、東京都内の中小建設業者では経営者の高齢化という課題に直面しています。

一方で、円滑な事業承継が行われている業者も多いわけではなく、まさに“後継ぎ問題”が業界の将来を左右しています。

高齢化が加速する中、後継者が未定のまま廃業する業者も後を絶ちません。

こうした業者は後継者不在企業となり、潜在的な社会課題となっています。

事業承継のパターン

事業承継には主に3つのタイプがあります

  • 親族内承継:経営者の子どもや親族が事業を引き継ぐ
  • 従業員承継:右腕的な従業員や役員に引き継ぐ
  • 第三者承継(M&A):外部企業や個人に事業を売却・譲渡

それぞれに必要な準備は異なり、早いうちから「情報整理」と「関係者との合意形成」が鍵となります。

たとえば、財務状況の開示や取引先への引き継ぎ説明、技術・ノウハウのマニュアル化なども必要です。

東京都では中小企業向けの事業承継支援窓口を設置しており、税理士・中小企業診断士・M&Aアドバイザーによるサポートを無料で受けられる制度も整っています。

「まだ自分は引退するには早い」と考える経営者も5年先・10年先を見越して承継の計画を立てることで、安定した会社の経営につながるでしょう。

事業承継のタイミング

建設業者の事業承継の理想的なタイミングは、経営者がまだ元気で、会社の業績が安定している時期です。

後継者の育成や許可の承継手続きには時間がかかります。

特に建設業では人的要件を満たす必要があり、後継者がすぐに条件を満たせるとは限りません。

また、建設業許可の承継には「認可申請」が必要で承継予定日の1か月前までに申請しなければならないなど、厳密なスケジュール管理が求められます。

さらに、金融機関や取引先との信頼関係を維持するためにも、計画的な承継が重要です。

経営者が急に引退や病気になった場合には無許可状態になるリスクもあります。

元気なうちに“次の一手”を考えることが大切です。

事業承継の手続き

建設業の事業承継をする際には、建設業許可の承継手続き(認可申請)が必要です。

これは、許可を持つ事業者が法人化、合併、分割、譲渡、または相続によって事業を引き継ぐ場合に、許可番号や施工実績をそのまま引き継ぐための制度です。

事業承継では、承継予定日の90日前までに事前相談をし、必要書類を整えて認可申請を提出します。

申請後、審査を経て認可が下りると、承継者は被承継者の建設業者としての地位を引き継ぐことが可能です。

承継の形態によって申請書類や様式が異なるため、事業譲渡・合併・分割・相続等どれに該当するかをしっかりと確認し、適切な手続きを選ぶことが重要です。

許可の空白期間を避けるためにも、早めの準備と専門家への相談が成功のカギとなります。

まとめ

個人事業主として建設業を行う業者にとって、今後の成長には「法人化」と「事業承継」が重要なカギとなります。

東京都では都市再開発による需要増の一方で、経営者の高齢化や後継者不足が深刻化しており、早期からの計画的な対応が必要です。

時代の変化に適応した戦略こそが、これからの建設業者の成長を左右します。

おさだ事務所では、法人化や事業承継についての相談も承っています。

建設業許可に関する質問や相談は、ぜひおさだ事務所にご連絡ください

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