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【経営事項審査】経営状況分析って何?内容・算出方法すべて解説!│虎の巻

公共施設やインフラなどの工事は、国や自治体が発注者です。つまり国民の税金をつかった工事=公共工事です。公共工事は誰でも受注できるわけではなく、経営事項審査を受審した建設業者のみが公共工事の入札に参加できます。経営事項審査を受審するには【経営状況分析】が欠かせませんが、一般的には聞きなれない言葉ですよね。経営状況分析とは一体何を・どのように分析するのでしょうか。

  • 経営事項審査と経営状況分析の関係は?
  • 何を分析するの?
  • どこに申請したらいいの?
小佐田

こんな悩みはこの記事を最後まで読めば解決できますよ

経営事項審査における経営状況分析について、その意味・内容・分析方法をすべて解説していきます。

経営事項審査│経営状況分析とは

公共工事を受注したい建設業者が工事の入札に参加するための【経営事項審査】のなかで、財務的、会計的な分析を行うことを【経営状況分析】といいます。経営状況分析を通して、経営事項審査を申請するために必要な添付書類の1つとなる経営状況分析結果通知書を取得しておかなければなりません。つまり建設業者は経営事項審査を受けるために、まず経営状況分析機関に経営状況分析を申請します。

経営事項審査を受けるための第一ステップということですね!

清水

経営状況分析機関に申請書など必要書類を添付して申請すると、数日で「経営状況分析結果報告書」が届きます。この結果報告書が届かないと、経営事項審査の次のステップに移れないのです。

経営事項審査の3ステップ

ステップ1 建設業許可の取得

経営事項審査を受けるということは、建設工事の公共工事に参加するということですので、建設業許可を保有していることが大前提です。入札に参加したい業種の建設業許可であれば、【都道府県知事許可/国土交通大臣許可】【一般建設業許可/特定建設業許可】の種類は問いません。

ステップ2 経営状況分析(Y)の取得

申請に必要な書類に【決算報告書】があるので、決算作業が終わってから経営状況分析を申請します。

小佐田

今回はここの経営状況分析について解説していきます

ステップ3 経営規模等評価(X・Z・W)・総合評定値(P)の取得

経営状況分析の結果通知書が届いたら、総合評定値(P)を取得します。建設業許可の種類が知事許可なら各都道府県知事に、大臣許可なら各地方整備局へ申請します。

▼関連記事:経営事項審査とは?簡単に解説|公共工事を直接請け負うには必須項目!

経営状況分析機関

経営状況分析は、国土交通省の登録を受けた機関でしか分析できません。登録機関は東京都をはじめ北海道から九州まで全国に拠点があります。

▼分析機関はこちらをご覧ください。
参照:国土交通省│登録経営状況分析機関一覧

経営事項審査を受審した建設業者の結果内容は、誰でも閲覧できます。はじめて経営事項審査を申し込むか迷ったときは、ぜひこの算出方法を試してみて、ほかの建設業者と見比べてみてもいいかもしれませんね。

分析機関はどこに申請しても分析結果が変わることはありません。どこに申請しても同じ結果になるので安心です。ただし、通常はじめて申請するときは直近3年分の決算報告書を提出しますが、翌年からは直近1年分の決算報告書の提出で済みます。毎回分析機関を変更すると、毎回提出する書類が増えてしまう手間がありますので、なるべく同じ分析機関に依頼したほうがいいでしょう。

経営状況評点(Y)の算出方法│3段階

経営状況評点(Y)は、3段階で算出されます。まず8指標(X1~X8)までの各指標を算出し、その数字をもとに経営状況評点(Y)を算出します。それぞれの算出方法を詳しくみていきましょう。

1-3 経営状況分析の8指標

まずは経営状況分析の指標に沿って算出されます。【①負債抵抗力】【②収益性・効率性】【③財務健全性】【④絶対的力量】の4点から算出されます。それぞれの意味と内容をチェックしていきましょう。

①-1 負債抵抗力│純支払利息比率(X1)

意味:建設企業の有利子負債の状況を支払利息の観点からみた比率で、小さいほど良い。

記号経営状況分析の指標単位算出式上限下限良い方
X1純支払利息比率%(支払利息ー受取利息配当金)/売上高×1005.1-0.3

①-2 負債抵抗力│負債回転期間(X2)

意味:会社にとって返済などの必要がある経済的負担などが、月商(1カ月当たりの平均売上高)に対しどれだけあるかを示す比率で、小さいほど良い。

記号経営状況分析の指標単位算出式上限下限良い方
X2負債回転期間カ月負債合計/(売上高÷12)18.00.9

②-1 収益性・効率性│純資本売上総利益率(X3)

意味:総資本(負債純資産合計)に対する売上総利益の割合で、投資効率を企業のもっとも基本的な利益である売上総利益からみた指標。高いほど良い。

記号経営状況分析の指標単位算出式上限下限良い方
X3純資本売上総利益率%売上純利益/総資本(2期平均×100)63.56.5

②-2 収益性・効率性│売上高経常利益率(X4)

意味:売上高に対する企業の経常的な活動からの利益(経常利益)の比率。財務活動なども含めた通常の企業活 動における利益率であり、高いほどよい。

記号経営状況分析の指標単位算出式上限下限良い方
X4売上高経常利益率%経常利益/売上高×1005.1-8.5

③-1 財務健全性│自己資本対固定資産比率(X5)

意味:固定資産比率の逆数をとった比率で、設備投資など固定資産がどの程度自己資本(純資産)で調達されているかをみる。逆数をとっているので高いほど良い。

記号経営状況分析の指標単位算出式上限下限良い方
X5自己資本対固定資産比率%自己資本/固定資産×100350.0-76.5

③-2 財務健全性│自己資本比率(X6)

意味:総資本(負債純資産合計)に対し、自己資本(純資産)の占める割合をみるもので、資本蓄積の度合いを示す比率。高いほど良い。

記号経営状況分析の指標単位算出式上限下限良い方
X6自己資本比率%自己資本/総資本×10068.5-68.6

④-1 絶対的力量│営業キャッシュフロー(X7)

意味:営業活動で得られた資金が、どれだけ増加したかをみる指標で、高いほど良い。

記号経営状況分析の指標単位算出式上限下限良い方
X7営業キャッシュフロー億円営業キャッシュフロー(二期平均)/1億15-10.0

④-2 絶対的力量│利益剰余金(X8)

意味:会社設立以来の損益の蓄積の度合いをみる指標で、高いほど良い。

記号経営状況分析の指標単位算出式上限下限良い方
X8利益剰余金億円利益剰余金/1億100.0-3.0

参考:経営状況分析センター│経営状況分析の8指標(PDF)

2-3 経営状況点数(A)

上記のX1~X8まで算出できたら、次に経営状況点数(A)を算出します。

経営状況点数(A)の算出方法

A=-0.4650×(X1)-0.0508×(X2)+0.0264×(X3)+0.0277×(X4)+0.0011×(X5)+0.0089×(X6)+0.0818×(X7)+0.0172×(X8)+0.1906

3-3 経営状況評点(Y)

経営状況点数(A)が算出できたら、いよいよ経営状況評点(Y)を算出します。

経営状況評点(Y)の算出方法

Y=167.3×経営状況点数(A)+583

小佐田

8指標(X1~X8)→経営状況点数(A)→経営状況評点(Y)の順番ですね

経営状況分析│申請に必要な書類

実際に申し込むときに必要な書類をみていきましょう。共通の書類、法人/個人の場合に必要な書類、その他・必要に応じて提出する書類があります。あなたが必要な書類はどのくらいあるのでしょうか。

共通の書類

  • 経営状況分析申請書
  • 経営状況分析申請に関する補足書類
  • 郵便振替払込受付証明書
  • 建設業許可通知書/建設業許可証明書(写)
  • 委任状(写) ※行政書士などに委任する場合

法人の場合

  • 財務諸表など(建設業法施行規則別記様式第15号から17号の2、および第25号の12)
  • 減価償却実施額確認書類
  • 独立監査人の監査報告書または会計参与報告書

個人の場合

  • 財務諸表など(建設業法施行規則別記様式第18号から19号、および第25号の12)
  • 減価償却実施額確認書類

その他の書類

  • 法人税申告書(別表1~5(2))
  • 法人事業税・納税証明書
  • 法人税申告書添付の決算書
  • 法人税申告書添付の勘定内訳明細書
  • 税効果会計の計算資料
  • 貸付金に係る金銭消費貸借契約書(写)
  • 借入金に係る金銭消費貸借契約書または借用証書(写)
  • 総勘定元帳
  • 公認会計士または税理士の証明書
  • 換算報告書

引用:経営状況分析分析センター│郵送申請に必要な提出書類

必要な書類がけっこう多くて大変です・・・・・・

清水

特に申請書などは記入ミスがないように慎重に記載しなければなりませんので、まとめて行政書士に委任すると安心です。東京都での建設業許可取得、経営事項審査にお悩みの方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

まとめ

  • 経営状況分析は経営事項審査を受審するために必要
  • 財務的、会計的に客観的に点数化する
  • 国土交通省の認めた分析機関に申請する
  • 算出方法が決まっている
  • どこの分析機関に申請しても結果は同じ

私たちの税金が使われる公共工事ですので、財務的にも安定している建設業者を選びたいですよね。経営状況分析は事業者の財務状況を客観的に点数化してもらうので、平等で健全な分析といえます。重要な分析ですので、申請書類をそろえたりするには少々時間がかかるかもしれません。ご自身で申請することが難しいようでしたら、行政書士に委任することも考えてみましょう。

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