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【建設業許可】戸建建築工事に許可は必要?判断のポイントを紹介します

建設業許可と聞くと、大きな現場を受注するような大規模な会社が取得するものと思われがちです。

では、比較的小規模な戸建住宅の建築や工事を主としている業者さんに、建設業許可は必要なのでしょうか?許可を取得していない方にとっては、現場を請負う際の心配事の一つですよね。

今回は、どんな場合なら許可無しでも戸建建築工事が可能なのかを紹介していきます。

小佐田

今注目されているリフォーム工事に関しても解説しますので、最後まで読んでみてくださいね!

建設業許可なしで戸建建築工事は受注できる?

建設業法が定める基準を超えなければ建設業許可が無くても請負可能です。

しかしこの基準は、あなたが「元請」として受注するのか「下請」として受注するのかによって変わります。リフォームについては後ほど別で解説しますので、こちらでは新築工事の場合についてお話していきますね。

元請が受注する場合

建設業法では、元請が大規模で複雑な建築工事を請負う場合「建築一式」の建設業許可が必要です。大規模かつ複雑な工事でなければ、許可無しでも請負可能ということです。

建設業法ではこの”大規模かつ複雑でない工事”のことを「軽微な工事」と呼んでいます。ではどんな工事であれば「軽微な工事」に当てはまるのでしょうか?軽微と聞くと「数十万円程度?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、そうではありません。

下記が工事の大小を決める基準です。

建築一式の軽微な工事

  • 受注金額が1500万円未満
  • 延べ面積が150㎡未満
  • 延べ面積が150㎡未満であれば1500万円を超えても許可は不要

ここでは金額と延べ面積がキーになっています。

この基準は、昭和の時代から材料や人件費の高騰を踏まえて一定期間ごとに価格が見直されています。昭和46年当時では一式工事の場合、金額が450万円未満で延べ面積は150㎡未満が基準とされていました。その後何度かこの基準は見直され、平成6年に現在の金額へ変更されました。

先代から会社を受け継いだ場合、前経営者から今の基準と違う金額を教えられた方もいらっしゃると思います。

現在の基準は「1500万円未満」「150㎡未満」です。元請として受注する場合はこの基準に気をつけながら受注しましょう。

葛西

今後は今の金額も見直される場合がありますので、常に最新の情報を入手しましょう!

下請が受注する場合

こちらも金額によっては各専門工事の建設業許可が必要です。これは一次下請けでも、二次下請け(孫請け)でも同じで、工事に関わる業者すべてに当てはまります。

しかし、軽微な工事を受注する場合は建設業許可が不要です。元請の場合とは条件が違いますので以下をご覧ください。

専門工事の軽微な工事

  • 請負金額が500万円未満の工事

こちらはとても分かりやすいですね!

500万円以上の請負金額となる現場については建設業許可が必要です。こちらも受注金額に注意しましょう。

建設業許可のご相談は行政書士へ

「将来は建設業許可を取得して会社を大きくしたい!」等お考えの方、建設業許可の取得はおさだ事務所にお任せください。

初めての手続きは分からない用語に悩まされがちです。許可要件をクリアできているかも心配の種ですね。書類作成も一からすべてを準備しようとするとかなり大変ですので、ご自分で対応される場合は本業に大きく影響を与えてしまいます。

行政書士にご依頼頂いた場合は、事前準備についての案内や、実際の書類作成、将来に向けて建設業許可の保持についてもアドバイスが可能です。この機会に第一歩を踏み出してみませんか?ぜひご連絡お待ちしております。

小佐田

悩んでいる方はまずご相談ください!

請負金額についての注意

この金額について、2点気を付けていただきたいことがあります。この受注金額はどちらも「消費税込み」「材料費込み」ということです。

請負金額が上限に近い場合、非常にヒヤヒヤしますよね。この2つが抜けていると再計算した時に上限金額を超えてしまい、建設業許可なしでは受注不可となる場合があります。

以下に特に注意すべき事例を紹介しますので、チェックしてください。

消費税込み

税抜きの金額が前述の上限以下でも「消費税込み」の受注金額がこのラインを越えてしまうと建設業許可が必要です。

特に材料の見積書は、欄外に「別途消費税が発生します」等注意書きがされているものがあります。消費税は見落としがちですので、契約の際には再度チェックしてください。

材料費込み

材料費は請負金額の中に含まれる項目です。建設業法では「注文者が材料を支給する場合でも、その材料代は請負業者の契約代金(請負金額)に含まれる」としています。

専門工事業者がハウスメーカーの下請け工事などを受注する場合では、特に注意が必要です。大手ハウスメーカーなどでは本部側がメーカーに特注で資材を作ってもらっている場合があります。

〇〇ハウス特注タイルや〇〇工務店専用キッチン等はよくある事例です。こういった商品は材料の流通ルートが限られている場合が多いので、一般の業者が資材を発注することはできません。工事の発注側が材料を提供する場合がほとんどです。

しかし資材を発注しないからといって、請負金額から資材の代金がマイナスされるわけではありません。

支給される材料費を足して請負代金が500万円を超える場合、許可無しでは請負できません。請負代金は「材料と工事代金の合計」になることが基本です。

頭の隅に置いておきましょう。

リフォーム工事の条件は新築と同じ?

近年新築の戸建て工事の着工件数は目に見えて少なくなっています。最近では資材価格の高騰や物流費の上昇等も相まって、コストを抑えられるリフォーム工事が注目されています。この記事を読んでいる方の中には、リフォーム工事の請負を考えている方もいらっしゃると思います。

しかしリフォーム工事という言葉の意味は、かなり幅広いものです。

小規模なもので言えば玄関ドアやトイレを新しいものに入れ替える工事もリフォーム工事ですが、建物の床面積の拡張や削減を伴う増減築もリフォーム工事と呼ばれています。

では建設業許可を持たない業者さんがこれらの工事を受注するときは、どんなことに気を付けたらいいのでしょうか?

今回は増減築があるかどうかがカギとなりますので、以下をチェックしてください。

増減築なしのリフォーム

キッチンの刷新、内装壁の張替や間取りの変更など、増改築を伴わない工事については「建築一式工事」ではなく「それぞれの専門工事+附帯工事」が集まった工事と認識されます。元請として請け負うのであれば、基本的に請負金額の上限が無くなります。(あまりに金額が大きいと建築一式の建設業許可が必要になる場合もあります)

下請け、またはそれぞれの専門工事を直接施主から請け負う場合は、請負金額が500万円未満であれば許可無しでも請負が可能です。

もちろん消費税や材料代を組み込んだ金額が500万円未満です。きっちり計算して受注しましょう!

附帯工事とは?

附帯工事とは建設業許可を取得している工事(主工事)に対して附帯する工事(従工事)です。
例)エアコン工事(管工事)を受注して、エアコン工事に関連する電気工事が必要になった場合の「電気工事」は附帯工事

建物自体を増減築するリフォーム

増減築を伴うリフォームは建築確認が必要な工事です。こちらの工事は建設業法で総合的な現場の管理や企画が必要とされる「建築一式工事」と認識されます。

建築一式の建設業許可が無い場合は1500万円未満、延べ面積500㎡未満の工事であれば元請として受注可能です。

ただし、リフォームの対象となる建物が防火地域外に建設されている場合などは、増減築があっても建築確認が不要です。請負金額の上限は前述の増改築なしのリフォームと同じ条件になります。

建築確認が必要かどうかは、自治体によって認識が異なる場合がありますので注意してください。下請けとして受注する場合は、500万円未満であれば許可無しでも請負可能です。

すり抜けのための分離発注は違法です

許可逃れのために、1つの工事をわざと分けることは違法です。罰金や3年以下の懲役などの刑罰があります。

以前は元請け側や施主(発注者)が工事を書類上で意図的に分割して、同じ業者に発注する分離発注が「抜け道」として行われていました。これは現在では違法とされています。

しかし、この分離発注については、法的に事情がしっかり説明できる場合は正しいとされるものもあります。

状況によって判断が難しい分野ですので、お困りの際はぜひ行政書士へご相談ください。

建設業許可の取得をお勧めします

今後、事業を継続するにあたって建設業許可の有無は現場を請負う度にあなたを悩ませるポイントとなります。

近年では500万円以下の請負工事でも、コンプライアンスの一環として建設業許可の取得が求められる機会が多くなっています。せっかくの受注の機会を逃したくはないですよね?

許可要件を満たすのは簡単なことではありませんが、これから許可取得に向けて動き出してみてはいかがでしょうか。

リンク先はおさだ事務所の記事です。建設業許可に向けて何から始めるかが詳しく書かれています。ぜひご一読ください。

内部リンク予定「建設業許可を取るための条件について解説!」

まとめ

建設業許可を取得していない業者さんが、戸建てなどの小規模工事を受注する際には金額と延べ面積に注意が必要です。あなたが元請か下請かによって上限は変わりますので、都度注意して受注に臨みましょう。

もし可能であれば、今後は建設業許可の取得を視野に入れてもいいかもしれません。

近年は大型現場に限らず、戸建てのハウスメーカーやビルダーも現場でも建設業許可を取得していないと、請負不可とされる場合もあります。建設業許可は企業としての信頼を周りにPRできるツールにもなります。ぜひ取得を検討してみてください。

もちろん建設業許可の取得でお困りの際はぜひおさだ事務所へご相談くださいね。的確なヒアリング、正しい知識であなたの建設業許可取得をサポートします。ぜひご連絡ください!

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