許可がいらない軽微な工事であっても、建設業許可の所持を義務化している元請業者があります。今後、そのような元請業者が増えていけば、許可業者ではない企業様にとって死活問題になることが予想されます。
しかし、慣れていない方が本業の合間に個人で調べて申請することは、時間がかかり大変ですよね。また、建設業許可の手引きは、専門用語が多く難しい印象です。
そこで、少しでも役に立つためにこの記事を作成しました。
機械設置工事と他の専門業種との区別をはじめ、機械設置工事で許可を取得するために、必要な資格や経験についても詳しく解説します。
現状維持では満足できない・新しいことに挑戦したい方は、最後までお付き合いください。
【建設業許可】機械設置工事は専門業種との区別がポイント

機械設置工事は、他の専門業種と区別することが非常に複雑で間違えやすいのが特徴です。
どれが機械設置に該当する工事なのかを判別することが難しいのですが、区別する業種は主に4種類です。では、その詳細を見ていきましょう。
機械設置工事と重複する4種類の業種とは
機械器具設置工事は全ての機械器具類の設置にかかわる工事です。機械器具の種類ごとに「他の28工事業種のどれにも競合しない機械器具」あるいは「他の専門工事と複合する機械器具の設置」が該当します。
機械器具の設置で重複する業種は
- 電気工事
- 管工事
- 電気通信工事
- 消防施設工事
この4種類ですので、詳しくみてみましょう。
電気工事
発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事のことをいいます。
しかし、官公庁施設や工場・ビル・事務所・住宅など、あらゆる建設物の電気設備「設計」や「施工」を共有するため、「機械器具設置工事」と区別することがとても困難です。
大型機器の回路メンテナンスは、機械保全技能士としての専門スキルを所持している電気工事士等の立ち合いが必要です。
管工事
空調設備や冷暖房設備、給排水設備、管を通して水・ガス・水蒸気を送る設備などを設置するための工事です。
身近なものでは、水洗トイレや厨房につながる排水管や換気管などが該当します。しかし、隣接する他の工事との違いがよくわからないという方も多いはずです。
施設の敷地内での配管工事は、専門スキルを所持している管工事施工管理技士等の立ち合いが必要です。
電気通信工事
「情報通信設備に関する工事」のことで、電話・テレビ・インターネット・防犯カメラ・火災報知器・放送設備など情報伝達や電力を制御し、建物や施設の中で情報を伝達する設備を施工します。
ネットワークに接続するための工事は、専門スキルを所持している電気通信主任技術者等の立ち合いが必要です。
消防施設工事
消防用設備として「火災警報設備」「消火設備」「防排煙設備」などの消火・消火活動に必要な設備の構築、又は工作物に取付ける工事のことで、被害が最小限で済むように、個々の用途に合った消火設備を設置します。
火災時に使用するはしごを設置する工事は、消防施設工事の許可の取得が必要です。
機械器具設置工事のポイント
- 現場で機械器具の組立てをする設置工事かどうか?
- 単独で本来のパフォーマンスを発揮できる機械であるか?
判別が難しいので、上記の4種類の業種をあわせて取得することをオススメします。
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機械設置工事の代表的な工事例

異業種とのつながりの多い業界ですので、扱う分野の幅が広いことが特徴です。具体的に以下のような工事のことをいいます。
- プラント設備工事
- 運搬機器設置工事(例:エレベーター・エスカレーターなど)
- 給排気機器設置工事(トンネル、地下道などの給排気用に設置されるもの)
- 立体駐車場設備工事・舞台装置設置工事・サイロ設置工事
ここでは、4つの工事の詳細を紹介します。
プラント設備工事
プラントとは工場設備の一式のことを指し、「産業プラント」とは名前の通り日常生活に必要不可欠なモノを生産するプラントのことを言います。
プラント建設は、「ポンプ」「ファン」「ボイラー」など新しい機械・設備の据え付けをします。また、精密機械などの衝撃や傾きに弱いものも扱うため、機械の水平を保つ技術や、必要に応じて重量物を吊り上げる技術が必要になります。
運搬機器設置工事
近年、高齢化社会とともに「ホームエレベーター設置」・「動く歩道の設置」など、建築物の中の人や物をスムーズに効率良く移動させるための設備のニーズが高まってきています。
「階段昇降機」は階段にレールが設置され、階段を昇降する機械です。
いすに座ったまま階段を昇り降りできる「いす式階段昇降機」「車いす用の階段昇降機」があり、介護施設や病院などに多数設置されています。そのため、今後ますます需要が増えることが予想される工種となります。
給排気機器設置工事
トンネル上部に設置されている巨大な扇風機のような機械は、ジェットファンと呼ばれ、給気口と排気口の両方、またはどちらかにファンを設置する事でスムーズな給気と排気ができ、安定した換気を得る事が出来る方法です。
建物の中で快適に、安全に過ごすためには、建物内の給気と排気がバランスよく行われるように常に換気設備を良い状態に管理していかなければいけません。
立体駐車設備工事
立体駐車場というと大がかりなものをイメージする人も多いかもしれませんが、実は小規模店舗用、集合住宅用、家庭用などもあります。
自走式立体駐車場は機械設置工事にかかわる工事で、目的の階まで車を運転していって駐車するタイプの立体駐車場です。「フラット式」「スキップ式」「連続傾床式」の3種類あり駐車台数を確保するためには、大きな土地が必要となりますが、平面駐車場に比べて、防犯面で優れています。
単一で営業展開も可能です
機械器具設置工事は、複合的な機械器具の設置で重複することが懸念事項ですが、
上記の大きな案件を受注出来れば、単一業種での営業展開を考えられます。
【機械設置工事】専任技術者になれる人物とは

専任技術者とは、建設工事の営業所に常勤で工事の方法・工事の仕様の検討や決定などを実行する技術者のことです。ここでは機械設置工事業の建設業許可に必要な専任技術者の必須事項を解説します。
機械設置工事で専任技術者になる方法
機械設置工事業の専任技術者になるためには、「資格」「実務経験」「卒業学科」のチェックが必要です。
資格保有者で実務経験なし・学歴不問
- 技術士法の機械部門(「流体工学」と「熱工学」を除く) 総合技術監理「機械」(流体工学と熱工学を除く)
- 技術士法の機械部門「流体工学」又は「熱工学」・総合技術監理「機械-流体工学」または「機械熱工学」
建築学、機械工学、電気工学に関する学科を卒業後一定期間の実務経験
- 大学または高専卒業後、3年以上の実務経験を有するもの
- 高校の指定学科卒業後、5年以上の実務経験を有するもの
10年以上の実務経験
「資格なし」「学歴不問」で実務経験10年以上を有するもの
機械設置工事は実務経験証明で許可を取ることが困難
難しいところは、専任技術者になれる資格が「技術士」などの難関国家資格に限られているため、多くは10年間の実務経験を証明しなければならないことです。
具体的には
- 工事の契約書・請求書の原本(10年分)
- 通帳の原本(10年分)
- 工程表(10年分)
- 部品の内訳書
- 機械器具のカタログ
- 技術者の健康保険証
これらすべての書類が必要で、そこから実務の経験の有無を判断しますが、書面の記載から内容が「機械設置工事」と分かりづらいケースがあります。
こちらの動画では、専任技術者を10年の実務経験で取る方法を詳しく解説しています。宜しければご覧ください。
勤続年数の管理方法について
勤続年数の管理には注意が必要です。下記はエクセルのYEARFRAC関数を使用した、勤続年数管理表です。

この表を使用した管理方法については、こちらの記事に詳しく記載しています。是非ご覧ください。
内部リンク予定「【建設業許可】大工工事業とあわせて取得したいオススメ5業種を紹介します」
まとめ
機械設置工事は、異業種と複合的な工事が多いため、判別が難しいことが多くあります。そのため、4種類の業種をあわせて取得することをオススメします。
しかし、忙しい現場仕事の合間をぬって、個人で調べて複数業種の取得を目指すことは現実的ではないかもしれません。
そんな時はぜひ、行政書士を頼ってください!
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おさだ事務所は東京都限定で建設業許可を専門に扱う行政書士事務所です。「建設業許可を取得したい」と思ったら、当事務所にお気軽にご相談ください。