営業許可

【建設業許可】営業所が無い県の工事は受注可?越県について解説します

建設業許可の取得時に登録した営業所がある県以外で、工事を受注する機会に出会う方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。工事や契約の際「営業所がある県から外に出る」という場面に直面した時、「これ、大丈夫かな?」と少しドキドキしたことはありませんか?

小佐田

知らない間に、違法行為をしていたら大変ですよね!

これ以外にも、本店と違う都道府県で支店を構えたいけれど、注意点はあるの?など、今回は県をまたいで事業を展開している方にむけて「越県」について深堀していきます。今回は遠方の方との契約も便利になる、クラウド契約についても触れていますので導入に興味がある方も最後まで読んでみてくださいね。

【建設業許可】営業所が無い県の工事を受注したい

工事を受注するときに、工事場所が県外でドキッとしたことはありませんか?

清水

東京都知事許可の建設業許可なのに、神奈川県の工事をしたら違法になりますか?

このパターンの場合、建設業許可を取得している業種について、許可を持っている都内営業所で契約を結ぶのであれば、違法にはなりません。しかしこれには、皆さんがよく勘違いするポイントがありますので、以下で詳しく見てみましょう。

建設業許可がある営業所で契約締結を!

前述の例で言えば、東京都知事の建設業許可を取得している営業所以外に、埼玉県に許可を取得していない営業所があったとします。

葛西

埼玉県の現場を受注予定だから、埼玉県の営業所で契約締結しよう!

と思いがちですが許可を取得している業者の場合、許可ありの営業所以外での契約締結は認められていません。契約先の業者と近いから、便利だからといって近くの許可無し営業所で契約を結ぶことはできないのです。必ず建設業許可を取得している営業所で、契約を結びましょう。この場合、契約する営業所には縛りがありますが、工事の場所自体に縛りはありません。

営業所の許可業種に気を付けて!

建設業許可を取得している営業所で契約締結しましょう!とお話ししましたが、気を付けていただきたいことがあります。例えば複数の許可を取得している企業で、A(許可業種は左官、屋根)とB(許可業種は板金、屋根)営業所があるとします。AとBは共に屋根工事の許可を取得しているので、各々の営業所で屋根工事の契約を結ぶ場合、請負う金額に対して制限もありませんし、県を超えて工事を受注しても違法にはなりません。

しかしこちらのパターンはどうでしょうか。左官工事を受注する場合です。前述のAでは左官に対する建設業許可がありますので問題ありませんが、Bでは許可を取得していないので、左官に関しての工事契約はできません。この場合にはA営業所で契約締結する必要があります。

清水

A営業所に左官工事の許可が無いのであれば、500万円以下の左官工事ならA営業所で受注してもOKでは?

と、勘違いする方が多くいらっしゃいます。これはどの業種の許可も取得していない方(企業)なら上限金額内に限りOKです。しかし、建設業許可を取得している方は附帯工事と認められる工事以外、許可を取得していない工事の受注は違法とされています。

これはちょっと驚きですよね?もちろん前述の通り附帯工事であれば、施工は違法にならないものもあります。どのパターンでもNGということはありませんが、工事契約する前にしっかりチェックしましょう!

附帯工事とは?

附帯工事とは、メインの工事を施工するときにどうしても一緒に発生してしまう工事のことです。例えば壁材を剥がして配管工事をする場合、配管工事終了後の内装仕上げ工事はどうしても発生してしまいます。この場合の内装仕上げ工事が附帯工事に該当します。

条件を満たした場合に限り許可が無くても施工OKとされています。

もっと附帯工事について知りたい方はこちらの記事をどうぞ!

行政書士に相談してみませんか

事業を拡大していくと、越県する場合に限らず様々なことが心配になりますよね。新たに許可を取得する場合や、5年ごとの更新申請等は本業で忙しいあなたにとって、大きな負担になることと思います。手一杯になって思わず誰かに手伝ってほしい!と思ったこともあるのではないでしょうか?

そのほか、今回のような越県に関する心配事は様々なパターンが考えられますので、ご自分で調べるだけでは意外な落とし穴に気づかない場合もあります。知らないうちに違法行為をしていたら、会社に大きなダメージを与えてしまいますので絶対に避けたいポイントです。

そんな時はぜひ建設業許可専門の行政書士へご相談ください。建設業許可のエキスパートがあなたの問題解決の最短ルートをご案内します。あなたのご連絡お待ちしております。(建設業許可|おさだ事務所

県外に営業所を増やす場合の注意点

本店とは別の県に、営業所を新設したいと考えている方もいらっしゃいますよね。この際、既に取得している建設業許可の「区分」を変更する必要があります。この区分変更のための申請を「許可換え新規」と呼んでいます。

そもそも許可区分とは何でしょうか?営業所を1つしか持っていない場合は、許可区分を気にする必要が無かったので意識しなくて済んでしまう場合もあります。以下で解説しますね。

許可区分って何?

許可換え新規はまず許可区分について詳しく知ることが大切ですので、最初に説明しますね。

小佐田

2種類の許可区分が存在するのをご存知ですか?

知事許可 一つの都道府県内に、建設業に関わるすべての営業所がある場合
大臣許可 複数の都道府県に、建設業に関わる営業所が点在している場合

この区分は、許可を求める対象が各都道府県の知事か、国土交通大臣かの違いです。許可を申請する内容は全く変わりませんので安心してくださいね。ちなみにご自分の許可区分は、許可証や金看板にも記載されています。チェックしてみてくださいね。

許可換え新規って何?

許可換え新規は、先ほど説明した許可区分を変更するための申請です。知事から大臣に変更する場合はもちろん、その逆の場合も許可換え新規とされます。ではどういった場合に適用されるのでしょうか?建設業法では具体的に、3つのパターンが示されています。

1、国土交通大臣の許可を受けた者が一の都道府県の区域内にのみ営業所を有することとなったとき
2、都道府県知事の許可を受けた者が当該都道府県の区域内における営業所を廃止して、他の一の都道府県の区域内に営業所を設置することとなったとき。
3,都道府県知事の許可を受けた者が2以上の都道府県の区域内に営業所を有することとなったとき

国土交通省HP|許可換え新規

少し表現が固いので、分かりやすく説明します。まず、1は大臣許可を持った方が、県をまたいで存在していた支店や営業所を閉めて、1つの都道府県内にすべての営業所を構える時です。2は知事許可を持った方が、営業所を引っ越して別の都道府県で営業する時。3は知事許可を持った方が、別の都道府県内に営業所を増やして営業する時です。

大臣許可を既にお持ちの方で、支店を増やす場合等は許可換え新規ではなく変更届を提出します。変更届は変更があった時点から提出までの期限が決まっていますので、早めに届出するようにしましょう。


変更届についてはこちらから。内部リンク予定9月納品記事【建設業許可】これさえ読めば大丈夫!!営業所の移転に必要な手続きとは?

判断に迷った場合は、行政窓口や行政書士に相談してくださいね。多くの申請には期限がありますので、早めの検討をお勧めしています。行政書士への相談はこちらへどうぞ!(建設業許可|おさだ事務所

建設業許可の要件チェックも忘れずに!

許可換え新規は、旧許可から新許可へスムーズに移行し、許可無しの期間が生じないようにする制度で、申請する内容としては概ね新規申請と同じです。ずいぶん前に建設業許可を取得されている方は、許可要件を少しお忘れではないですか?こちらでおさらいしていきましょう!

建設業許可の要件

  1. 経営管理責任者の設置
  2. 専任技術者の確保
  3. 財産的要件
  4. 誠実性
  5. 欠格要件に当てはまらない
  6. 社会保険への加入

許可換え新規で申請する方については、現在進行形で建設業許可を取得して営業しているのでどの要件も問題ないと思います。財産的要件の500万円は忘れないように準備してくださいね!

全くの新規ではないのでバタバタすることはありませんが、書類作成の大変さは以前の新規申請と変わりません。なるべく早めに取り掛かるようにしましょう。

電子契約を上手に使いこなしましょう!

営業所が県外にたくさん増えたり、遠くの会社と取引をすることが増えてくると、契約書などの書類の管理が大変になりますよね。2001年に電子契約自体は建設業法で許可されましたが、長年にわたってグレーゾーンが多く問題視されていました。しかし、2022年1月に法律が改正され許可の内容が明確化され、現在はコロナ禍、テレワークの波に乗り、電子契約システムを導入する企業が増えています。

紙媒体にも良さがありますが、移動時に持参が必要であったり、印刷がめんどくさい、重い、保管場所に困る、テレワークだと内容を閲覧できない等、問題も多く抱えています。電子媒体の場合は、書類作成、押印、署名もすべてクラウド上で行うので、管理が簡単です。日本中どこで働いていても、同じ環境で契約書等にアクセスできるのが最大の魅力ですよね。

葛西

でも、契約書の電子化ってどうやって導入すればいいでしょうか?

具体的には、クラウド型の電子契約システムを提供している会社と契約する必要があります。現在、このシステムを提供する会社は沢山ありますので、ご自分で契約先を決めなくてはなりません。

システムによって月額費用の違いもあれば、使用できるコンテンツも多種多様です。「ここが絶対!一番お勧め!」というシステムはありませんが、まずは第一歩として業界大手のクラウドサインや(クラウドサイン|弁護士ドットコム)、初心者向けと言われているマネーフォワードクラウド契約(マネーフォワードクラウド契約|株式会社マネーフォワード)等のホームぺージを覗いてみましょう。簡単なフォーム入力で資料請求できる企業もありますし、土日でもチャットや電話等で相談にのってくれる場合もありますよ。

この他にも、GoogleやYahooの検索窓に「建設業 クラウド 電子契約」等といれて検索すると沢山候補が出てきます。興味がある方はぜひ調べてみてくださいね!

まとめ

以上、建設業許可を取得している方の越県についてまとめました。いかがでしたか?ポイントをしっかりおさえれば、県外の工事契約も認められています。契約する営業所、工事内容について注意しながら受注を進めましょう。県をまたいで営業所の展開を考えている方は、許可換え新規に該当するか、変更届を提出すればOKなのかを把握しておく必要があります。
クラウド型電子契約の導入を検討している方は、契約先の企業をリストアップして資料請求してみましょう。電子契約に変更すれば印紙代を節約できる場合がありますよ。

建設業許可のことで迷った場合は必ず、早めに然るべき行政窓口や行政書士へ相談してくださいね!

-営業許可